Radeon R9 290Xのリファレンスカードで、そのパフォーマンスを確認していこう。ベンチマーク環境は、前回、Radeon R9 280Xを計測した環境にあわせたうえで、比較対象にGeForce GTX 780を追加した。今回のGeForce GTX 780カードは、ZotacのZT-70202-10Pで、リファレンス仕様に沿った製品だ。そのほかの使用機材は下記の表を参考にしてほしい。
比較対象 | Radeon R9 280X(OC) | Radeon R9 270X | Radeon R7 260X | GeForce GTX 770 | GeForce GTX 760 | Radeon R9 280X(定格) | Radeon R9 290X | GeForce GTX 780 | |
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CPU | Core i7-4770K | ||||||||
定格クロック | 3.5(3.9)GHz | ||||||||
メモリ(速度) | 8GB×2、PC3-12800 | ||||||||
メモリ | 8GB×2、PC3-12800 | ||||||||
マザーボード | ASUSTeK Z87-Pro | ||||||||
チップセット | Intel Z87 | ||||||||
ビデオカード | ASUSTeK R9280X-DC2T-3GD5 | リファレンス | リファレンス | MSI N770GTX Twin Frozr 4S OC | MSI N760GTX Twin Frozr 4S OC | ASUSTeK R9280X-DC2T-3GD5(定格) | リファレンス | ZOTAC GeForce GTX 780(ZT-70202-10P) | |
ストレージ | OCZ Technology Vector VTR1-25SAT3-128G | ||||||||
OS | Windows 8 Pro | ||||||||
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) | ||||||||
3DMark 11では、EntryからExtremeまでの各プリセットで、常にGeForce GTX 780を上回るスコアを出した。その一方で、3DMarkでは、Ice Stormのような低負荷なプリセットを中心に苦戦している。Graphicsスコアでは常にGeForce GTX 780を超えているので、低負荷時のPhysicsスコアでのマイナスが響いていると考えられる。
アーキテクチャはGCNのままであるため、おそらくはドライバのチューニング不足とGCN自身の傾向だろう。しかし高負荷なプリセット、Fire Strikeでは、GeForce GTX 780に大きな差を付けリードした。Performanceでは1000ポイント超、Extremeでも500ポイント超のリードだ。
Unigineの2つのテストでは、Radeon R9 290XがGeForce GTX 780よりも高いフレームレートを見せた。これまでならRadeonはGeForceより1歩劣るところだったが、これを跳ね返した格好だ。ただし、もう1つのテッセレーションテストであるTessMarkでは、従来のRadeonよりは高いものの、GeForceの2枚には大差を付けられている。
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編は、低解像度では不振するものの、1920×1080ドットで追いつき、2560×1440ドットでGeForce GTX 780を逆転した。
Battlefield 3は、すべての解像度でGeForce GTX 780のほうが上だった。2560×1440ドットでも60fpsを上回っているため、パフォーマンス自体は十分といえる。なお、AMDはBattlefield 4への最適化をうたっており、もしかするとBattlefield 4ではこの状況が変わってくるのかもしれない。
Bioshock Infiniteは、1280×720ドットでGeForce GTX 780を下回ったが、この解像度ではフレームレートが天井についている印象もある。その他の解像度なら、Radeon R9 290Xのほうが高いフレームレートで、2560×1440ドットなら10fps以上の差をつけた。トゥームレイダーとMetro: Last Lightは、最高負荷設定だが、どちらも常にRadeon R9 290Xがリードしていた。
最後に消費電力を見ると、アイドル時で若干高いのがまず気になるところ。高負荷時に関しては、ほぼGeForce GTX 780相当で、いちおうRadeon R9 290Xのほうが3.5ワットほど高いが、このくらいになると測定誤差ともいえる。
Radeon R9 290Xのパフォーマンスは、およそGeForce GTX 780相当であり、特にフルHD以上の高解像度でその性能を発揮するようである。1600×900ドット以下では、性能が発揮できていないシーンがチラホラ見られるが、これはドライバのチューニングがまだ進んでいないためだろうか。ただ、Radeon R9 290Xの想定する高解像度環境なら、十分なゲームパフォーマンスが得られそうだ。
消費電力も、GeForce GTX 780相当ではあるが、これはパフォーマンス/ワットの点でも同等といったところだろう。GeForce GTX 700やRadeon HD 7900と同じ世代のプロセスであるため、大幅な削減というのは難しい。
そのほかの課題は価格と歩留まりだろう。原稿執筆時点では、まだ価格は明らかにされていないが、GeForce GTX 780とつり合うか、若干の価格メリットも欲しいところ。歩留まりも、Radeon R9 280Xより大きなダイである点から懸念されるところだ。十分な流通量を確保できるのか、あるいは希少なGPUになってしまうのか、注目される。
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