米Appleは28日(現地時間)、米Beats Electronicsとその音楽ストリーミングサービスの「Beats Music」を30億ドルで買収すると発表しました。Beatsといえば、ヘッドフォンがAppleのオンラインストアで販売されているので、オーディオ機器メーカーとして知っている人が多いかもしれません。
Beats Electronicsは2008年、アーティスト兼プロデューサーのドクター・ドレ氏と、Interscope Geffen A&M Recordsのジミー・アイヴォン氏が共同で立ち上げた音楽企業です。ヘッドフォンなどのオーディオ機器のほか、定額制音楽ストリーミングサービス「Beats Music」、高音質技術「Beats Audio」ブランドを手がけています。
Beatsのヘッドフォンはパワフルな重低音と、「b」のロゴが目立つ、カラフルでおしゃれなデザインが特徴。ファッションアイテムとしても人気で、高価格帯にもかかわらず、アメリカのティーン世代から50%近い支持率を得ています。
またBeatsは今年1月、月額9.99ドルの定額制音楽ストリーミングサービス「Beats Music」を開始しました。ユーザーの視聴環境、気分、一緒にいる人など細かいシチュエーションを指定し、状況にあった音楽を聴くことができる機能がウリ。現在日本でのサービス展開はなく、全体の加入者数は約11万人と報じられています。
Appleは買収後もBeats Musicブランドを残し、iTunes Radioと平行して提供していくようです。その結果、無料のストリーミングサービスはiTunes Radio、有料定額制ストリーミングサービスはBeats Music、ダウンロード販売はiTunes Storeと選択肢が広がることになります。Spotifyなど既存のサービスに遅れを取っているぶん、今回の買収でAppleは本格的に定額制音楽ストリーミングサービスに乗り込む形となるわけです。
3つ目の事業である「Beats Audio」は、特許を取得したBeats独自のオーディオ技術のブランドです。Beats Electronicsの製品だけでなく、ヒューレット・パッカード製品、車のクライスラーなどにも採用されています。2011年にはHTCの傘下に入り、Beats Audio搭載のスマートフォンも発売されました(現在は傘下から離脱)。今回Appleが買収したことで、純正のEarPodsが高音質のBeatsイヤフォンに取って代わる可能性もありそうですね。
6月2日(現地時間)に開幕するAppleの開発者向けイベント「WWDC 2014」には、共同創設者のドクター・ドレとジミー・アイヴォン両氏が登壇するとみられています。また、WWDCで発表されるかはまだ分かりませんが、iTunesがハイレゾ音源に対応し、6月に配信が始まるというウワサも。2013年のWWDCで発表された「iTunes Radio」に引き続き、何かしらのサプライズが期待されます。
今回のBeats Electronics買収によって、Appleの音楽ビジネスは再び大きく変わるかもしれません。今後の両社の動きに注目です!!
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