(1)USBが2つ同時に使えるってホント?――「Surface 3(4G LTE)」をSurface Pro 3ユーザーがチェックした
(2)“Atomは遅い”はもう古い?――「Surface 3(4G LTE)」の性能を見極める
(3)Surface Pro 3より薄型軽量でもバッテリーは長持ち?――「Surface 3(4G LTE)」のスタミナを検証する
(4)Surface Pro 3と比較して気づいた進化点とは?――「Surface 3(4G LTE)」のType Coverに迫る
(5)Atom x7はゲームで“熱く”なる?――「Surface 3(4G LTE)」の3D描画性能と発熱をチェック
2015年5月19日、日本マイクロソフトから「Surface 3」の国内モデルが発表された。PC USERではすでにドリキン氏や本田雅一氏のレビューを掲載済みだが、6月19日の発売に先駆け、編集部にも個人向け4G LTE版が届いた。さっそく数回に分けてその実力をより掘り下げていこう。特に、筆者が愛用している「Surface Pro 3」との違いは要チェックだ。
ネーミングからすれば、OSにARM版「Windows RT 8.1」を導入する「Surface 2」の後継モデルのようだが、このSurface 3は「64ビット版Windows 8.1 Update」を採用している。つまり、Surface Pro 3と同じくx86/x64用に開発されたWindows用デスクトップアプリケーションをそのまま使えるため、幅広いニーズに対応できるのだ。名前こそSurface 3だが、Surface 2とはまったく別物で、Surface Pro 3の小型版と考えると分かりやすい。
Surface 3とSurface Pro 3は、一見すると画面サイズ以外にあまり違いが見られない。しかし、搭載するプロセッサをはじめとする基本スペックやインタフェース、LTE対応の有無など、違いは数多く存在する。両者のスペックを比較しつつ、Surface 3の特徴を見てみよう。Surface 3とSurface Pro 3のスペックは以下の通りだ。
Surface 3とSurface Pro 3の主なスペック | ||
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製品名 | Surface 3(4G LTEモデル) | Surface Pro 3 |
メーカー | 日本マイクロソフト | 日本マイクロソフト |
OS | 64ビット版Windows 8.1 Update | 64ビット版Windows 8.1 Pro Update |
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約267×187×8.7ミリ | 約292×201.3×9.1ミリ |
重量(実測値) | 約641グラム(639グラム) | 約800グラム(820グラム) |
画面サイズ(液晶方式) | 10.8型(IPS) | 12型(IPS) |
アスペクト比 | 3:2 | 3:2 |
タッチパネル | 静電容量式(10点マルチタッチ) | 静電容量式(10点マルチタッチ) |
デジタイザ | N-trig製、256レベル筆圧対応Surfaceペン(別売) | N-trig製、256レベル筆圧対応Surfaceペン(付属) |
ディスプレイ解像度 | 1920×1280ピクセル(約214ppi) | 2160×1440ピクセル(約216ppi) |
CPU(コア数/スレッド数) | Atom x7-Z8700(1.6GHz/最大2.4GHz) | Core i3-4020Y(1.5GHz)、Core i5-4300U(1.9GHz/最大2.9GHz)、Core i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz) |
チップセット | CPU内蔵 | CPU内蔵 |
vPro | − | 対応 |
GPU | CPU統合(HD Graphics) | CPU統合(Core i3:HD Graphics 4200、Core i5:HD Graphics 4400、Core i7:HD Graphics 5000) |
メモリ | 4Gバイト(LPDDR3、64GバイトeMMCの場合)、8Gバイト(LPDDR3、128GバイトeMMCの場合) | 4Gバイト(LPDDR3、128GバイトSSDの場合)、8Gバイト(LPDDR3、256G/512GバイトSSDの場合) |
メモリスロット(空きスロット数) | オンボード、デュアルチャンネル転送対応 | オンボード、デュアルチャンネル転送対応 |
ストレージ容量 | 64Gバイト、128Gバイト | 128Gバイト、256Gバイト、512Gバイト |
ストレージフォームファクタ | オンボード | mSATA |
ストレージ接続インタフェース | eMMC | Serial ATA 6Gbps SSD |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 |
NFC | − | − |
センサー | 近接、加速度、ジャイロ、電子コンパス、照度、GPS、Assisted GPS、GLONASS | 加速度、ジャイロ、電子コンパス、照度 |
有線LAN | − | − |
対応周波数 | UMTS/HSPA/HSPA+/DC‑HSDPA:850、900、1900、2100MHz 4G LTE:800、 900、 1800、 2100、 2600MHz LTE 2C CA Bands:3+20、 7+20 Data only. | − |
キーボード | −(オプションでタイプカバーを用意) | −(オプションでタイプカバーを用意) |
カメラ | イン350万画素/アウト800万画素 | イン500万画素/アウト500万画素 |
主なインタフェース | USB 3.0×1、Micro USB 充電端子×1、Mini DisplayPort出力×1、ヘッドフォン/マイク共用(3.5ミリ)、カバー用ポート | USB 3.0×1、Mini DisplayPort出力×1、ヘッドフォン/マイク共用(3.5ミリ)、カバー用ポート、DC入力(専用端子) |
メモリカードスロット | microSDXCメモリーカード | microSDXCメモリーカード |
SIMカードスロット | Nano SIM | − |
その他カードスロット | − | − |
スピーカー(音質補正ソフトウェア) | ステレオ | ステレオ |
マイク | モノラル | ステレオ |
セキュリティチップ | TPM 2.0 | TPM 2.0 |
セキュリティロックポート | − | − |
キックスタンド | 3段階 | 無段階調整(最大150度) |
InstantGo | 対応 | 対応 |
バッテリー動作時間 | 約10時間(ビデオ再生) | 約9時間 |
ACアダプタ実測重量(本体のみ/ケーブル込み) | 63グラム/114グラム | 161グラム/203グラム |
ACアダプタ出力仕様 | 5.2ボルト/2.5アンペア | 12ボルト/2.58アンペア、5ボルト/1.0アンペア(USB) |
ACアダプタ対応電圧 | 100〜240ボルト(50/60Hz) | 100〜240ボルト(50/60Hz) |
DC端子形状 | Micro USB | 角形(専用端子 ※改良型) |
プラグケーブル端子形状(ACアダプタ側) | USB | 2ピンメガネ型 |
防水/防滴 | − | − |
カラーバリエーション | シルバー | シルバー |
オフィススイート | Microsoft Office Home & Business 2013(Office Premium) | Microsoft Office Home & Business 2013 |
発売日 | 2015年6月19日 | 2014年7月17日 |
Surface 3 4G LTEは、SDP(特定シナリオを想定した電力指標)が2ワットの省電力な新世代Atom x7プロセッサと、10.8型で解像度が1920×1280ピクセル(アスペクト比3:2)のディスプレイを搭載。本体サイズは約267(幅)×187(高さ)×8.7(奥行き)ミリ、重量は約641グラム(実測値639グラム)となる。Type Coverを合わせても重量は約906グラム(実測値907グラム)と、1キロを約100グラムも下回る軽さがうれしい。
一方のSurface Pro 3は、TDP(熱設計電力)が11.5〜15ワット、SDPが6ワット以上の第4世代Coreプロセッサと、12型で解像度が2160×1440ピクセル(アスペクト比3:2)のディスプレイを搭載。本体サイズは約292(幅)×201.3(高さ)×9.1(奥行き)ミリ、重量は約800グラム(実測値820グラム)だ。これにタイプカバーを合わせると、約1095グラム(実測値1116グラム)まで重くなる。
このように、Surface 3はSurface Pro 3に比べて、幅を約25ミリ、高さを約14.3ミリ、厚さを約0.4ミリ削り、重さを159グラム落とし、一回り小さく、そして軽くなった。プロセッサに省電力のAtom x7を採用したことで、Surface Pro 3が搭載していた冷却ファンも省いている。Surface 2からフルのWindowsが動くマシンにアップグレードしながら、Surfaceシリーズ史上で最薄最軽量のボディを実現しているのは見逃せない。
これまでタブレットとしてはやや厚くて重いことが指摘されてきたSurfaceシリーズだが、Surface 3が登場したことで、一般ユーザーが考える「タブレット」のイメージにかなり近づいたのではないだろうか。
ただ、最新のiPadファミリーやAndroidタブレットと見比べると、まだ厚くて重いというのが正直なところだ。ここはiOSやAndroidのようなモバイルOSではなく、フルのWindowsに対応し、Type Coverと合わせて完全なノートPC代わりにも使える2in1であるというアドバンテージを加味すれば、納得できる薄さと軽さと言える。
実際にSurface 3を手に持ってみると、小型軽量となったボディに加えて、Surface Pro 3から継承した都会的なシルバーのカラーリング、金属の質感、キックスタンドの心地よい動きなど、製品として非常に魅力的に映る。
特に、マグネシウム合金ボディに「パーツがギュッと詰まっていること」が伝わってくる高い剛性感は、Surfaceシリーズを通してのお気に入りポイントだ。筆者はSurfaceシリーズを初代からずっと使い続けているが、バッグに入れるときに本体カバーやソフトケースの必要性を感じないほど剛性はしっかりしている。
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