MSIの「Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITION」が持つ“逆らえない何か”を体感するこのマザーには白く輝く魔物がすむという(3/3 ページ)

» 2015年10月01日 10時01分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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ゲーミングマザーボードとしてのスペックをチェック

 ゲーミングPC向け機能というと、オーディオと有線LANも重視しなければならない。オーディオ関連機能では、これまでのMSIが投入してきたゲーミングシリーズに準じており、オーディオチップへのEMIシールド、日本ケミコン製オーディオコンデンサ、デュアルヘッドホンアンプ、金メッキ仕様の出力端子、オーディオ独立基板などを採用している。また、ソフトウェアではNahimicオーディオ技術も利用可能だ。

オーディオ機能は、ゲーミングシリーズに準じた機能を採用している

 有線LANでは、通常のゲーミングシリーズがKillerチップを採用するところ、本製品ではIntel i219チップを採用している。おそらくオーバークロックを優先した本製品の位置づけというところがあるだろう。オーバークロックにおける安定した動作や、ドライバを適用すると気のトラブル回避も重視した結果かもしれない。Intelチップとなるが、LANの静電保護機能や、ソフトウェア上から帯域におけるプログラムの優先度の割り当てなどには対応する。

プログラム毎にLAN帯域の割り当てなどを行えるユーティリティも付属する

 ほかにも、マルチGPUサポートやストレージに関しては前述のとおり、各種柔軟に対応できる。加えて、M.2スロットは別売のU.2ホストカードにも対応しているので、各種の高速SSDを接続可能だ。PCI Express x16スロットには金属カバー「STEAL ARMOR」を装着しており、重いハイエンドグラフィックスカードを装着したときに発生しやすいたわみを防いでいる。

 キーボードやマウスなどのゲーミングデバイスに対しては、ハードウェアでは信号精度を高めた「GAMING DEVICE」、ソフトウェアでは「Mouse Master」といったユーティリティで対応している。合わせてホットキー機能の「GAMING HOTKEY」も、本製品はハードウェア対応となっていることから、BIOS段階でも操作が可能だ。ゲーム中のホットキーはもちろん、電源投入やBIOS進入、CPU倍率やBCLKのオーバークロックに関しても操作できる。

OC Dashboardでオーバークロック操作がほぼ完結

 本製品におけるオーバークロック手段をまとめると以下の通りになる。

1. BIOSで設定

2. ソフトウェアで設定

3. OC Dashboardから操作

4. EASY BUTTON 3で設定

5. Game Boostから設定

6. GAMING HOTKEYから操作

 ソフトウェアからのオーバークロックも、実際にはGAMING APPとCOMMAND CENTERといった具合に2通りあるなど、オーバークロックの設定方法は多彩だ。GAMING APPやEASY BUTTON 3、Game Boostによるオーバークロックは比較的簡易的な手段で、本格的なオーバークロックに用いるのは、BIOS、COMMAND CENTER、そしてOC Dashboardになる。

GAMING APPなど、MSIのゲーミング向けユーティリティも利用可能。もちろん簡易オーバークロック機能も利用できる

 OC Dashboardを使ったオーバークロック設定フローは、・CPU電圧の設定をBIOSから行うため、GO2BIOSボタンでBIOSに入り設定、・その後は電源ボタンで起動し、倍率ボタンやBCLKボタンでOC設定を行い、・失敗した場合はリセットボタンで再起動、・あるいは電源ボタンで電源を切り、・CMOSクリアが必要な場合にはDISCHARGEボタンで残留電圧を放出して、・バックパネルなどのCMOSクリアボタンでCMOSクリアを行う、といった流れだ。

 なお、OC Dashboardは、MSIのオンボードスイッチ類同様、クリック感のあるボタンを採用しており、小気味よく設定していける。失敗した場合も、リセットボタンやGO2BIOSボタンによって、次のステップがOC Dashboard内ですぐに行える。もちろん、過去、OC Dashboard同様の機能をマザーボード上に実装していた製品はあった。ただ、OC Dashboardとなって延長ケーブルで手元に寄せられるのは、意外と便利だ。

 OC Dashboardの機能として電圧変更も統合してほしいが、実際のところ、電圧の設定箇所は細かく複数あり、統合は難しいだろう。サブディスプレイのような装置がなければカバーしきれない。そこまでするとコストも上昇してしまう。OC Dashboardは必要十分な機能を許容できる範囲の価格で、コンパクトにまとめてあり、オーバークロック設定における手間を効果的に省いている。

今回は軽く4.6GHz(46倍)まで試してみた。コア電圧は1.295ボルトに昇圧し、合わせてI/O電圧なども調整している

 CINEBENCH R15で4.6GHz動作の確認をしたが、CPUスコアは999 cb、Single CPUは199 cbで、定格クロックで計測した922/183から上げたクロック通りの向上が確認できた。メインストリームクラスのCPUクーラーユニットで測定したため、増えた発熱を処理しきれていない印象だが、ハイエンドのクーラーユニットを使えば、さらに上を目指すことは簡単だろう。また、液体窒素冷却向けのSlowモードなどの特殊機能も備えている。

4.6GHz動作時のCINEBENCH R15スコア

オーバークロック設定は必須でしょうー!

 Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONを試した印象としては、基本的に「XPOWER」だった。オーバークロック機能が充実しており、OC Dashboardによって、あるいは詳細なBIOS設定によって、チューニングを追求できる。外観もチタニウムをモチーフとして、デザイン性が向上したことで「GAMING」としての魅力もアップした。

 もちろん、オーバークロックとゲーミングは、パフォーマンスと耐久性を追求することで、ハイエンドとして似通ったところがある。元々のニーズとしてはかなりの割り合いで被っている。ゲームユーザーとしては個性的な(それだけに好みが分かれる)デザインに惚れ込んだPCゲームユーザーは選ぶモデルとなる。多機能であるだけに、ほかのゲーミングモデルよりも高価であるし、ケースに組み込むとなるとOC Dashboardは取り外したほうが収まりがよい。ただ、内部をブラックに統一したPCケースに収めたときの見た目のよさは、「逆らえない何か」があることを、あえて追記しておきたい。

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