Qualcommは6月1日(台湾時間)、「COMPUTEX TAIPEI」を取材する報道関係者向けに、ARMアーキテクチャCPU用のPC版Windows 10(以下「ARM版Windows 10」)を同社のモバイル向け最新プロセッサ「Snapdragon 835」を搭載するテストマシンで動かすデモを披露した。
Snapdragon 835とARM版Windows 10を組み合わせたデバイスは、「Always Connected PC(常時接続PC)」としてHP、Lenovo、ASUSが製品化を予定している。
実際、ARM版Windows 10はどんな感じなのだろうか……?
今回のデモで使われたのは、PC版「Windows 10 Enterprise」のInsider Preview版で、ビルド番号は「16188.rs_prelerease.170430-1928」。デスクトップを見る限りは、従来のPC版Windows 10と変わりはない。
しかし、システムのプロパティを開いてみると、CPU欄が「Qualcomm Snapdragon SDM835」となっている。確かに、このWindows 10はSnapdragon 835で動いているのだ。なお、このテストマシンのメインメモリは4GBと、同CPUを搭載するスマートフォンでは一般的な容量だった。
デバイスマネージャーを開いてみると、CPUの8つのコアが全て認識されていることが分かる。Snadragon 835のCPUコアは、ハイパフォーマンスな大きいコアと省電力性重視の小さいコアを組み合わせる「big.LITTLE」デザインとなっているが、ARM版Windows 10はbig.LITTLEの制御にも対応しているという。もちろん、GPUは内蔵の「Adreno 540」だ。
実際に動作する様子を見ていると、従来のPC版Windows 10との違いは全くといっていいほどない。仮想デスクトップは問題なく使えるし、マルチディスプレイにも対応している。繰り返しだが、操作を見ている限りは違いが全く分からないレベルだ。
ここでMicrosoft Officeアプリを動かすデモが行われた。Excel、PowerPointやWordが「普通」に、「滑らか」に動いている。
……というと、何の驚きもないように思われるが、このデモで稼働しているOfficeアプリは既存の32bit版。要するに、異なるCPUアーキテクチャ向けのアプリを動かしているのだ。
ARM版Windows 10は、既存の32bitプラットフォーム向けWindowsアプリを実行する機能を備えている。そのため、現行のPC版Windows 10で動く32bitアプリは、ARM版Windows 10でも基本的に問題なく実行できる。もちろん、ARMアーキテクチャに最適化されたプログラムを実行することが望ましいが、今まで慣れ親しんできたアプリをそのまま使えるという点で大きなメリットがある。
ただし、現状では64bitプラットフォーム向けのWindowsアプリは実行できない。今後、ARM版Windows 10をアップデートしていく中で対応する予定とのことだ。
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