Tiger Lakeに有機ELディスプレイ搭載のプレミアム2in1モバイルPC「ZenBook Flip S UX371EA」を試す(4/5 ページ)

» 2021年04月13日 12時00分 公開
[マルオマサトITmedia]

Tiger Lakeの実力をベンチマークテストで実証

 ベンチマークテストの結果を見よう。評価機の仕様は4コア8スレッドのCore i7-1165G7(2.8GHz〜4.7GHz)、メモリがLPDDR4X-4266の16GB、グラフィックス機能がIntel Iris Xe Graphics、ストレージが1TBのNVMe SSD(Western Digital WDC PC SN730)、4K有機ELディスプレイという構成だ。

 My ASUSで設定できるファンモードは、パフォーマンスとスタンダードの2種類で測定した。特に断りがない場合、パフォーマンスモードを基準に言及する。また、比較対象として、6コア6スレッドのRyzen 5 4500U(第3世代Ryzen、2.3GHz〜4.0GHz)を搭載した「HP ProBook X360 435 G7」、筆者所有のThinkPad T480s(2018年発売モデル)のスコアも記載している。

ZenBook Flip S UX371EA テストに利用した評価機

 CPUのマルチスレッド性能の目安になるCINEBENCH R20のCPUスコアは1779だ。4コア8スレッドのCPUとしてはかなり良いスコアではあるが、6コア6スレッドのRyzen 5 4500U搭載機からは少し離されている。一方、シングルスレッド性能の目安となるCPUシングルコアのスコアではRyzen 5 4500Uを大きく上回る。第8世代のCore i5からは1.55倍以上と、しっかりと進歩は感じられる。

 PCMark 10では、日常操作のEssentialでRyzen 5 4500U搭載機に大きく差をつける一方、ビジネスアプリのテストであるProductivity、クリエイティブアプリでコンテンツ制作を行うDigital Content Creationでは分が悪い。Productivityで振るわないのは、最後のOpen CLテストのスコアが足を引っ張っているためで、Intel Iris Xe Graphicsのドライバ更新で改善される可能性はある。

 3DMarkのスコアは、FireStrike、SkyDiverともに本製品が圧勝している。LPDDR4X-4266対応の高速メモリを搭載しており、Intel Iris Xe Graphicsの3D描画性能をきっちりと引き出している。

 FINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマークも同様の結果だ。フルHD解像度でも「とても快適」評価と、これまでの内蔵GPUにはない水準の性能を備えているのが分かる。

ZenBook Flip S UX371EA CINEBENCH R20のスコア比較
ZenBook Flip S UX371EA PCMark 10のスコア比較
ZenBook Flip S UX371EA 3DMarkのスコア比較
ZenBook Flip S UX371EA FINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマークのスコア比較

バッテリー駆動時の高い性能も目立つ

 バッテリーに関するテストとして、PCMark 10/Modern Office Battery Lifeを実行した。ファンモードはスタンダード、ディスプレイの輝度は50%で測定した結果は9時間9分だった。約13.4時間という公称値よりはかなり短いが、4K解像度の有機ELディスプレイを搭載した製品としては健闘している。

 また、バッテリー駆動中のパフォーマンスを測定するBattery Life Performanceでは、7000超えの高いスコアを記録した。このテストは、EssentialsとProductivityに含まれるテストで構成されているが、日常的な操作をキビキビと快適に利用できることが分かる。

 また、このテストではRyzen 5 4500U搭載機を大きく引き離している。このバッテリー駆動中のパフォーマンスの傾向(Intelは速く、Ryzen Mobileは低下が大きい傾向)についてはIntelがたびたび主張しているが、それを裏付ける結果となっている。

 ボディーの発熱は、排気口のあるボディー奥側となるヒンジ部あたりが中心だ。ファンクションキーのキートップは38.8度だったが、常時手が触れるパームレストは体温以下の温度にとどまっており、放熱もうまくできている。

 動作音も、モバイルPCとしてはごく普通の挙動という印象だ。アイドル時や低負荷時は無音に近いが、高負荷時は少し目立つ音になる。パフォーマンスモードの方が少し負荷に対する反応が敏感な傾向はあるが、ゲームなどではどちらもあまり変わらない。

ZenBook Flip S UX371EA PCMark 10/Modern Office Battery Lifeのスコア
ZenBook Flip S UX371EA PCMark 10/Modern Office Battery Life(Battery Life Performance)のスコア比較
ZenBook Flip S UX371EA 動作音の比較。室温24度、暗騒音32dBだった
ZenBook Flip S UX371EA FINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマークの終了直前にFLIR ONEで撮影したサーモグラフィー画面。室温24度、パフォーマンスモードの場合

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月11日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  3. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  4. Minisforum、Intel N100を搭載したスティック型ミニPC「Minisforum S100」の国内販売を開始 (2024年05月10日)
  5. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. ASRock、容量約2Lの小型ボディーを採用したSocket AM5対応ミニベアボーンPCキット (2024年05月10日)
  8. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  9. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  10. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー