それでは、ストレージ用プレートを取り外して内部空間を見てみよう。レイアウトとしては向かって左上にCPU、その下はグラフィックスカード、右は電源といった配置だ。
グラフィックスカードはマザーボード上のスロットに直接挿しており、ライザーケーブルなどは用いていない。自作PC用でライザーケーブルを用いたMini-ITXケースはより小型のものがあるのだが、1度組んだらバラしたくなくなるほどメンテナンス性を犠牲にしたものが多い。この点、本製品はグラフィックスカードの着脱も比較的簡単に行える。
グラフィックスカードを取り外せば、メモリやM.2 NVMe SSDの換装、CPUクーラーのホコリ落としなどのメンテナンス作業が行える。マザーボードはMini-ITXフォームファクターで、M.2スロットの他にメモリスロットを2基備える。ATXタイプのマザーボードには劣るものの、通常の使用環境ではほとんど問題にならないはずだ。
本製品も、メモリに関してはBTOで最大32GBまで搭載できるので、ゲーミング用途では十分と言えるだろう。
このサイズ感ならではと言えるのがCPUクーラーだ。グラフィックスカードの高さ分だけボディーの幅があるため、背の低いリテールCPUクーラーではなく、9cm径のファンを装備したサイドフロー型CPUクーラーを採用している。
IntelのリテールCPUクーラーよりも大型のヒートシンクで、ヒートパイプの頭部分が8つ(おそらく4本のU字型と思われる)確認できる。熱交換の効率も良いようで、CPUへの負荷がメインとなるCINEBENCH R23のMulti-Coreテストを実行しても、うるさいとは感じないくらいに静かだった。
電源は一般的なATX電源を利用している。コンパクトPC用にはより小型のSFX電源もあるが、ATX電源を採用する本製品にはハイエンド構成でも余裕のある出力を低コストで実現できるといったメリットがある。
本製品が採用しているのは、出力700Wで80PLUS Bronze準拠の電源だ。最も高効率となる電源出力の50%負荷時でも、本製品の構成なら余裕がある。つまり電源変換時の発熱も少ないと思われる。80PLUS Bronze準拠の変換効率と合わせ、内部の発熱を抑えた選択と言えるだろう。
続いて、評価機のパーツ構成を見ていこう。
CPUはIntel第10世代のCore i7-10700だ。「K」型番ではなくTDPが65Wと低く、ここも静音性に一役買っている。一方、TDPの分だけクロックは定格2.9GHzに抑えられているが、それでもターボ時で4.8GHzと高めだ。コア/スレッド数も8コア16スレッドなので、多くのゲームタイトルに対して余裕で対応できる。現在のハイエンドPCとして不足はない。
メモリはDDR4-2666で、容量は16GB搭載しているが、ここはBTOカスタマイズが可能だ。余裕を持って装備するのがベターだが、ゲームを単体でプレイするのであれば16GBで足りるだろう。ゲームプレイと同時にブラウザで情報を得たり配信したりする場合は、32GBに引き上げることを検討したい。映像編集などの用途であれば、積めるだけ積むといった塩梅だ。
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