さて気になるのは、こうした睡眠データの取得がどれくらい正確で、かつ実用的かということだ。
今回約1カ月にわたって試用したが、床についた時間、および実際の就寝時間と起床時間は記憶と一致しており、矛盾は感じられない。筆者はまとめて6〜8時間の睡眠を取るのではなく、2〜3時間単位で細切れに睡眠を取る生活サイクルをここ数年ほど続けているのだが、そうした一般的ではない睡眠スタイルであっても、データは概ねきちんと取得できている。
また今回、メーカーからの借用機材を用いての試用中に、自腹で購入した私物も到着したので、2台並べて(別のGoogleアカウントで)同時に記録してみたのだが、ほぼ変わらないデータを取得できた。仮にもGoogle製デバイスでは有り得ない話だが、粗悪なフィットネス製品でよくある、計測せずにランダムな値を返しているだけという心配はなさそうだ。
もっとも2台を横に並べるのではなく、1台を離れた場所に設置し、再調整を行わないまま記録した睡眠データを比較したところ、起床時間の解釈が誤っているなどの誤差が生じるのが確認できた。置き場所を変更した場合の再調整は、こまめに行った方がよさそうだ。
記録された睡眠データで唯一疑わしいのが、いびきの記録だ。というのも、記録上は目覚めている時間まで、いびきが記録されているケースが見受けられるからだ。本製品の注釈には「デバイスの位置、近くにいる人やペット、雑音が原因で、正しく読み取られないことがあります」とあり、音楽や動画などの音が誤認されている可能性がある。
ちなみに、先日海外で公開された同社Fitbitアプリのいびき/ノイズ検出機能も、就寝中にホワイトノイズやその他の環境音を再生しないことを推奨しており、現状の技術では限界があるようだ。正確な取得が難しい環境ならば、サウンド回りだけはアクティビティーをオフにするのも1つの手だろう。
これとも関連するのだが、本製品での測定はほぼブラックボックスと言っても差し支えないため、多少の気持ち悪さはある。製品ページには「体の動き、音、他のデバイス、センサーデータ」を使用しているとあるが、試した限りでは頭と足の位置を入れ替えたり、布団で完全に体を覆ったりした状態でも問題なく取得されるので「すごい。でも仕組みが分からずちょっと気持ち悪い」という印象は常につきまとう。
むしろ「このような理由でこの時間帯はデータが取得できませんでした」などとたまに表示してくれた方が一定の信頼感が得られるのだが、何のエラーも出ないせいで、本来存在しているグレーの部分が強引に白または黒に仕分けされているのではという不安はある。このあたり、うまい解決方法が筆者は思い浮かばないのだが、何らかの適切な見せ方は必要なように思う。
なお、本製品には睡眠データを元にアドバイスをくれる機能が用意されているが、内容が漠然としすぎていて実用性はいまひとつだ。どうせならば、就寝時の姿勢が横向きだといびきが抑えられる傾向があるので、そうすると睡眠の深さが現在5段階評価で「3」なのが「4」に上がる可能性があります……といった具合に、モチベーションアップにつながる見せ方がほしいと感じた。
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