本稿の趣旨とはややそれるが、タブレットとしての基本的なスペックもチェックしておこう。
OSはAndroid 11を搭載しており、プロセッサはSnapdragon 870(オクタコア)だ。メモリは8GB LPDDR5、ストレージは128GBと、かなりのハイスペックで、Wi-Fi 6の無線LAN、Bluetooth 5.2にも対応するなど、細部に至るまで抜かりはない。
12.9インチiPad Proに匹敵する画面サイズということもあり、タブレットとしてはかなりの大迫力だ。スタンドと一体化していることから、横向きでの利用がメインになるという制約はあるが、大画面のタブレットを求めるニーズにはぴったりだろう。
本体右側面のUSB Type-Cポートは、Androidタブレットとして使っている場合は、別のディスプレイへと映像を出力できる。つまりホストのPCと組み合わせてサブディスプレイになるだけでなく、自身もホストとして振る舞えるというわけだ。ニーズがあるかはともかく、さまざまなつなぎ方をサポートしているのはプラス要因だろう。
若干気になるのは、本体背面上部に貼られたスエード素材だ。手触りこそよいのだが、跡が残りやすく、またホコリなどが吸着しやすいことから、見た目にあまり清潔感がない。もしかすると断熱などの理由があるのかもしれないが、仮にこのスエード素材が「あり」と「なし」のモデルがあれば、筆者は「なし」を選ぶだろう。
以上のように、本製品はAndroidタブレットと、モバイルディスプレイの2WAY製品として、高い完成度を備えている。こうした2WAYタイプの製品は、どちらの機能も平均点以下ということも少なくないが、本製品はどちらも高いレベルで基準をクリアしている。
モバイルディスプレイを初めて購入するユーザーにとって、自分の環境に本当にモバイルディスプレイが必要なのかは、不安の種だろう。そうした意味で、2WAYで使える本製品は、いい意味でつぶしが利く製品と言える。
税込み価格は実売8万8000円前後と、決して安い買い物ではないが、サイズが近い12.9インチiPad Pro(税込みで12万9800円〜)に比べると、むしろ安い部類だろう。13型クラスのモバイルディスプレイと比べるとさすがに価格差はあるが、本製品のようにAndroidデバイスとしてのスペックが高ければ、長期間使うことでモトは取りやすくなる。
前述のスエード素材の他、ワイヤー形状のスタンドを採用した無骨なデザインなど、外観で好き嫌いが分かれる要因はあるものの、汎用性も高く十分にお勧めできる製品だ。
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