8月6日、AMDがデスクトップPC向けAPU(GPU統合型CPU)「Ryzen 5000Gシリーズ」の一部の市販を開始した。バルク品として市販された「Ryzen PRO 4000シリーズ」から約1年ぶりに登場した新APUということもあり、グラフィックスカードなしで運用する自作PCや小型ベアボーンキットに組み込む用途で人気を博しているようだ。
小型ベアボーンキットといえば、台湾ASRockの「DeskMiniシリーズ」が定番の1つとなっている。約80(幅)×155(奥行き)×155(高さ)mmというコンパクトボディーで、軽めのゲームなら存分に遊べるパフォーマンスの高いデスクトップPCを実現できることから、Ryzen APUを組み込めるモデルは特に人気を集めている。自室にPCの置き場がない、あるいは手頃なセカンドPCが欲しいというユーザーにお勧めだ。
この記事では、Ryzen APUに対応するDeskMiniの現行モデルである「DeskMini X300」にRyzen 5000Gシリーズを組み合わせて使う際に気を付けるべきポイントを解説しつつ、実際に「Ryzen 7 5700G」を組み込んだ際のパフォーマンスをチェックしていく。参考になれば幸いである。
DeskMini X300は、2020年10月に発売されたRyzen APU向けのベアボーンキットである。初代の「DeskMini A300」と比べると、チップセットを「AMD X300」に刷新し、Ryzen PRO 4000シリーズに対応したことが特徴だ。税込みの実売価格は2万1000円前後となる。
搭載できるメインメモリはAPUに依存する部分もあるが、DDR-3200規格のモジュールを64GB(32GB×2)まで搭載できる。A300と比べるとCPUクーラーのヒートシンクが大きくなったので、冷却性能も高まっている。A300のサイズを保ちつつ、ブラッシュアップしたのがX300ということになる。
コンパクトながらも、M.2 SSDを2枚、2.5インチHDD/SSDを2台と合計4つのストレージを搭載できる他、別売の「Wi-Fi対応キット」や「VESAマウントキット」の存在もあって、グラフィックスカードが使えないことを除けば十分な拡張性を確保している。
先述の通り、DeskMini X300にはグラフィックスカードを搭載できない。そのため、搭載するCPUは必ずAPUでなければならない。具体的には、Ryzen PRO 4000シリーズかRyzen 5000Gシリーズを搭載する必要がある。
ただし、出荷時状態のままではRyzen 5000Gシリーズを搭載できない場合がある。詳しいことは後述する。
ポート類は、正面に3.5mmマイク入力端子、USB 3.0 Type-C端子、USB 3.0 Type-A端子と3.5mmヘッドフォン出力端子を、背面に電源入力端子、DisplayPort出力端子、HDMI出力端子、アナログRGB出力端子、USB 3.0 Type-A端子、USB 2.0 Type-A端子と有線LAN(1000BASE-T)端子を備える。
別売のWi-Fi対応キットを用意すれば、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)とBluetooth 5.1にも対応可能だ。
DeskMini X300は、Ryzen 5000Gシリーズに正式対応している。ただし、UEFI(BIOS)を「バージョン1.60」以上に更新しなければならない。UEFIのバージョンが1.6未満だと、Ryzen 5000Gシリーズを搭載しても起動できない。Ryzen PRO 4000シリーズなど過去の対応APUを搭載した上で、UEFIをアップデートしてから搭載(換装)しよう。
UEFIの更新手順は以下の通りだ。書き換え途中で電源を切ると故障することがあるので気を付けよう。
なお、現在出荷されているX300の中には、UEFIをあらかじめバージョン1.60以上にしてあるものもある。これからX300を購入するという人は、新しいUEFIが適用されているものを選べば余計な手間が省ける。店頭で確認を取ってから買うようにしよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.