キーボード手前にある幅広のタッチパッドに、「DialPad」という新機能が搭載されている。パッドの右上をタップするとLEDでバーチャルなダイヤルが浮かび上がり、音量や画面の明るさ、アドビのクリエイティブアプリのブラシサイズ、色調補正のパラメーター指定などがダイヤル操作で行えるようになる。
実際に試してみたところ、はっきりいって使用感は良くなかった。操作に対するレスポンスが悪く、パッドが滑りすぎて細かい操作がしづらいからだ。パッド上にあるDialPadの位置には何の物理的なガイドもないために、目で見ながら操作するか勘に頼るしかない。
そもそも、パラメーター1つ変えるのにパッド上で指をくるくると移動させるというのは無駄で疲れる。スピードや正確さではテンキーでの直接入力にかなわず、この操作性ではどんなにチューニングしようとも解消できないように思える。物理的なダイヤルを備えた「ProArt Studiobook」シリーズならばともかく、パッド上にバーチャルで用意するメリットはあまり感じられなかった。
CPUはCore i7-11370H、GPUにはNVIDIA GeForce RTX 3050 Laptop(グラフィックスメモリは4GB)を搭載する。第11世代Core i7-11370Hは4コア8スレッドのモデルで、8コア16スレッドのCore i7-11800Hなどと比べるとマルチスレッド性能は見劣るが、そのぶん発熱は抑えられており、バッテリー駆動時間でも有利だ。持ち運びを意識した薄型のフォームファクターで、別途GPUにGeForce RTX 3050 Laptopを備えることなども併せて考えると悪くない選択だ。
GPUのGeForce RTX 3050 Laptopは、GeForce RTXシリーズとしては一番下位のモデルだが、それでもCPU内蔵GPUやGeForce MXシリーズとの差は大きい。最近はクリエイティブ用途でもRTXシリーズの得意とする機能(特にAI処理に特化したTensorコアを使う機能)を含む、GPUによる高速化が積極的に使われるようになってきており、レンダリング、プレビュー、エンコード、AIを活用した超解像処理や特殊効果処理など、さまざまな処理が高速に行える。
もちろん、GeForce RTX 3050 Laptopはゲームでも有効だ。画質設定を多少変更すれば、ほとんどのゲームは問題なくプレイできるだろう。また、NVIDIAは RTXシリーズの機能を活用して音声/映像のノイズリダクション処理、バーチャル背景などを利用できる「NVIDIA Broadcast」を配布している。ビデオ会議やゲーム配信用途でもGeForce RTXを搭載しているメリットは小さくない。
メモリは16GB、SSDはNMVe SSD(PCI Express 3.0 x4対応)を512GB搭載する。一般的な用途では十分だが、動画編集者やデザイナーを意識したクリエイターPCとしては物足りない内容だ。クリエイターにとってPCは道具であるため、基本スペックが重要になる。プロユースということになると、作業の快適さが時間効率に直結してくるので、この内容では選択肢に入らない可能性が高い。
もっとも、ビジネスや学習用途中心で、ゲームや写真や動画の編集も楽しみたいというくらいのユーザーの使い方であれば、外付けのストレージの活用で対応できるため、さほど不足に感じることもないだろう。
次に注目の有機ELディスプレイをチェックする。
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