本当に「ネイティブ超え」をしたのか? 新ツール「ICAT」で検証するNVIDIAの最新超解像技術の実力(1/5 ページ)

» 2021年12月30日 12時00分 公開
[西川善司,ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 NVIDIAは11月16日、同社のGPU「GeForceシリーズ」向けのコンパニオンソフトウェア「GeForce Experience」の最新版を公開した。その概要は、同日に公開した拙著で既に紹介している。

 今回の新バージョンは、新しい超解像技術「NVIDIA Image Scaling and Sharpening(NVIDIA ISS)」の実装と、GeForce RTXシリーズ向けの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」のバージョンアップが目玉なのだが、同社は合わせて「Image Comparison & Analysis Tool(ICAT)」なるツールを公開している。

 この記事では、ICATがどのようなものなのかを紹介しつつ、ICATを使ってNVIDIA ISSと新しいDLSS(DLSS 2.3)の“実力”をチェックしていく。

ICAT NVIDIAが新しいGeForce Experienceと同時に公開した「Image Comparison & Analysis Tool(ICAT)」

そもそも「ICAT」とはナニモノ?

 「ICATとはどんなツールか?」という問いに対して、短く答えるとすると「ゲームにおける画質の比較を行うためのツール」という説明が妥当だろう。

 しかしそうなると、NVIDIAは「このツールをGPUのレンダリング結果の正当性について、検証や自己検証するために作ったのかな?」とか「競合であるAMDの『Radeon』のレンダリング結果をこき下ろすために作ったのかな?」とか邪推したくなってしまう。15年以上前、両社は実際に“やり合って”いた時期があるので、特に後者については余計にいぶかしんで見てしまう。

 結果的に、この予想は(自己診断だが)「3割くらいは正解、7割くらいはハズレ」ということになる。まず、「3割くらいは正解」について解説していこう。

 AMDは2020年10月、Radeon RX 6000シリーズを発表した。そのタイミングで「うちにもDLSSのような超解像ソリューションがありますよ!」ということで披露されたのが「AMD FidelityFX Super Resoultion(FSR)」である。

 なお、AMDは既に、2019年のRadeon RX 5000シリーズにおいてFSRの類似技術「AMD FidelityFX Contrast Adaptive Sharpening(FCAS)」を実装している。ただし、こちらは解像度変換には非対応で陰影の鮮鋭化に特化したものだった(参考記事)。

 それだけに、FSRはRadeonユーザーにとって待望の解像度変換対応の超解像ソリューション……だったのだが、実際のリリースは2021年6月まで待つことになる。

FSRの説明 Radeon RX 6000シリーズの登場に合わせて発表されたFSRだが、登場には約8カ月を要した

 さて、このFSRの動作メカニズムは、2010年前後のハイエンドTVがよく採用していた「超解像処理スケーラー」とよく似ている。具体的には、GPUがレンダリングした各フレームを入力画像として扱い、画像中の各ピクセル周辺の輝度変移などに応じて陰影補間を行いつつ解像度を変換していく。

 実態としては、近代GPUのほぼ全てが採用している共通アーキテクチャである「プログラマブルシェーダー」の中の「Compute Shader」ベースで構築された(≒プログラムされた)ポストプロセス(あるいはポストエフェクト)と見なして良い。原理が原理だけに、RadeonだけでなくGeForceシリーズはもちろん、IntelのGPUでも動作可能ということにもなる。

原理 FSRは原理上、ある程度の要件を満たしたGPUならプラットフォームを問わず動作する。AMDも、説明会の場でこのことをしっかりと説明している

 多くのメディアは、FSRの「互換性の高い超解像技術」という部分に注目し、そのことを強調して記事をまとめている。それらを読めば、「FSRはRadeon以外でも使えるのに、DLSSはGeForce RTXシリーズでしか使えないんだ……」という感想を持つ人も少なくないかもしれない。

 実際にそんな感想を持った人がいたのかは定かではない。しかし、“何でも必勝”を信条とするNVIDIAがそんな状況を面白いと思うわけがない。「いやいや、DLSSの方が全然高度なことをしているんですよ」と説得力をもって説明するにはどうしたらいいか――ICATの開発に至った背景には、そんなNVIDIAの思いも透けて見える。

 ともあれ、同社は「FSR、DLSS、ISS、FCASをそれぞれ適用して同じゲームの映像を“しっかりと”見比べてほしい」と考えていることには違いない。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月24日 更新
  1. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  2. 若者向けのカラフルな新「Dell 14S」が日本上陸 11月1日まで4.5万円引きの14万9800円から (2026年10月22日)
  3. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  4. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  5. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  6. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
  7. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  8. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  9. スマホは「バッグの中」から「外」へ AULUMUのスリングバッグ2種で移動時のプチストレスを解消した (2026年10月22日)
  10. PFUから33万円キーボード「HHKB Professional Elite」登場! 英語配列のみで有線特化の“原点回帰” 全世界300台限定 (2026年10月22日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー