最近は、クリエイター向けのアプリでもGPUパワーを存分に使うものが多い。そこで、今回のテスト環境をそのまま使い、クリエイター向けアプリのパフォーマンスチェックもしてみた。
まず、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を用いパフォーマンスの比較をしてみよう。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測している。結果は以下の通りだ。
4090は3090 Tiの1.6〜2倍のスピードでオブジェクトを生成している。作るアニメーションが多くなるほど、そして複雑になるほど、生産性の面でこの差は大きく効いてきそうである。
続けて「Adobe Premierer Pro」を使って、4K動画のエンコードに要する時間を比較してみよう。今回は「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K動画を30分ほどにまとめて書き出すのに要した時間を比較した。
アプリとグラフィックスドライバーの双方の最適化も進んだこともあり、以前のテストと比べると3090 Tiも書き出しに要する時間が短くなっている。しかし、それでも4090はエンコード時間を2分以上も短縮した。
今回はテスト用の素材/プロジェクトを利用したため、比較的短い時間で書き出しを完了している。より多くの素材を使って、より長い動画を書き出すのであれば4090を使うと大幅な時短を期待できそうである。
毎度のことかもしれないが、新世代のGPUの登場によって、これまでの「高画質」や「最高速」の記録は大きく塗り替えられてきている。しかし、今回のGeForce RTX 4090はとても強いインパクトで、これほどまでに「異次元」「怪物級」という言葉が合うGPUはない。
フルHD/WQHD解像度だけでなく、4K解像度でも従来のGPUから20〜50%のパフォーマンス向上と聞いて「え、本当か?」と信じがたい思いがあった……のだが、実際に複数のテストを通して、それが“真実”だと分かった。このことは事実として受け入れたい。クリエイター向けのレンダリング速度やエンコード速度についても、大きく高速化されている点も要チェックである。
動作中の発熱や動作音についても無理をしているような素振りもなく、これだけの性能を叩き出すのだから、GeForce RTX 4090のパフォーマンスにはまだ“余力”がありそうだが、気を付けたいのは消費電力である。今回テストした環境で起動後の落ち着いた時を「アイドル時」、3DMarkの「Time Spy Extreme」を実行して一番消費電力が上がった瞬間を「ピーク時」として計測した結果が以下の通りである。
一応、どちらのグラフィックスカードもグラフィックスパワー(負荷の高い状態での消費電力)は「450W」とされているものの、GeForce RTX 4090の方がより多くの電力を消費する傾向にあるようなので、電源を選ぶ際は余裕を持ったものを選びたい。また、カード自体の値段も税込み想定価格で29万8000円と高額である。暴力的な性能を持つGPUに見合うだけの装備品をそろえるとなると、システム全体の価格がはねあがりそうである。
ともあれ、ゲーム性能以外の性能もしっかり底上げされているGeForce RTX 4090の「最高峰」は、多くのエンスージアストにとって大きな魅力となるはずだ。
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