IntelとAMDから新しいデスクトップ向けCPUが相次いで発売された。両社共に魅力的なCPUを繰り出していることもあって、「そろそろ自作PCを組んで(リプレースして)みようかな……」と考えている人も少なくないだろう。
ただ、これらを使って自作PCを組み立てようとする際にハードルとなりうるのがCPUを含むパーツの価格だ。
少し前より緩和こそされているが、昨今は為替の円安傾向が続いており、その影響でパーツの価格も以前より割高感があることが多い。とりわけマザーボードは、装備するポートを増やしたりコンデンサーなどのパーツを高級化する傾向にあり、特にハイエンド製品では10万円を超える値付けも珍しくなくなった。
グラフィックスカード(GPU)については、需要過多に起因する割高感こそ薄れてきた。それでも、ひと昔前と比べると「高い買い物」の度合いが高まっている(もちろん、その分性能も上がっているのだが)。
無限に予算がないとなると、どのパーツの予算(≒スペック)を抑えるべきかを考えるのが一番重要なポイントとなる。その際に、一番しっかりと検討すべきなのがマザーボードである。この記事では、ASUS JAPAN製のマザーボード「PRIME Z790-A WIFI-CSM」(税込み実売価格5万円台前半)を使って、コストパフォーマンスを重視した第13世代Coreプロセッサを搭載する自作PCを考えていこうと思う。
実際にPCを構築する前に、今回利用するPRIME Z790-A WIFI-CSMの特徴を簡単に紹介していこう。
ASUSのブランドのマザーボードには、いくつかのシリーズとグレードがある。最近よく聞くのは、ゲーミング用途向けの「ROG(Repubulic of Gamers)」ブランドの製品だと思うが、こちらは「仕様の豪華さ」や「オーバークロックへの耐性強化」を重視する傾向にある。
それに対して、「PRIME」ブランドの製品はオールラウンド(スタンダード)という位置づけで、ROGブランドと比べると“派手さ”はない。しかし、実用上十分な拡張性はしっかりと備えている。
そしてこの製品のモデル名に付いている「CSM」は「Corporate Stable Model」の略、つまり企業利用に求められる安定性を重視した構成であることを意味している。最近は「自作≒ゲーミング」という図式で語られがちだが、ビジネスでの利用にも最適なチューニングがなされているということは心強い。
第13世代Coreプロセッサ、特に名前に「K」の付くアンロック対応モデルでは、フルパワー動作時の消費電力は200Wを超え、CPUの発熱も100度近くに達する。そのため、マザーボード側の電源回路や冷却設計がしっかりしていないと「K」付きCPUの高負荷での安定稼働は難しい。
オールラウンドモデルではあるが、PRIME Z790-A WIFI-CSMはIntelの最新かつ最上位のチップセット「Intel Z790」を搭載している。そのこともあってか、CPUへの電源回路は「16+1フェーズ」設計で、それを冷却するための大型ヒートシンクも標準で装備している。「K」型番のCPUをフルに生かした使い方にも対応可能だ。
最近、ゲーミング向けの自作シーンではホワイト(白)を基調としたコーディネーションの流行が継続している。もちろん、ROGブランドのマザーボードにもホワイトモデルが用意されているのだが、超ハイエンドモデルなので簡単には手が届かない。
その点、PRIME Z790-A WIFI-CSMの税込み実売価格は5万円台前半と、まだ手が届く値段となっている。「白でそろえたいけれど、値段が……」という人にはある意味で福音のようなマザーボードである。
「拡張性は大丈夫?」と思うかもしれないが、ハイエンドモデルに引けを取らない拡張性をしっかりと確保している。SSDを搭載するためのM.2スロットは、合計で4基備えており、いずれもより高速なPCI Express 4.0 x4接続をサポートしている(※1)。SSD用ヒートシンクも標準搭載されているので、放熱もバッチリだ。
これだけのM.2 SSDを搭載できるのであれば、Serial ATA(SATA)接続の2.5インチ/3.5インチストレージを省いて「コンパクトかつハイスペックなマシン」を構築することも可能だ。
(※1)うち2基は「Type 22110」カードに対応。別の1基はSerial ATA接続にも対応
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