第13世代Coreプロセッサは先代の「Intel 600シリーズチップセット」を搭載するマザーボードにも対応している。マザーボードの費用を抑えたいのであれば、1世代前のマザーボードを搭載するモデルを買うという選択肢も検討可能だ。
しかし、ハイエンド向けの「Intel Z690チップセット」を備えるマザーボードは、Z790チップセットを搭載するモデルへの置き換えが進んでいて、在庫が少なくなりつつある。入手性を考えると、これから第13世代Coreプロセッサを軸にした自作PCを組むのであれば、UEFIの更新も不要な「Intel 700シリーズチップセット」を搭載するマザーボードを選んだ方が間違いはない。
……と、少し話がそれそうになったが、ここからはPRIME Z790-A WIFI-CSMを使って自作PCを実際に組んでいこうと思う。今回は既存のケース、電源(750W)、水冷キットを流用して、残りの“中身”を入れ替える前提で構成を検討した。ケースだけでなく、OS(Windows 11 Pro)のライセンスもそのまま流用することで出費も抑えている。
結果、筆者は以下のような構成の自作PCを組み立てることになった。なお、価格は全て1月18日時点の税込み実売価格をもとに算出し、今回は水冷キットのリテンションキットの買い換えは考慮に入れていない。
上記で合計金額はおおむね19万5000円である。結構ギリギリになってしまったが、Wi-Fi/Bluetoothモジュールや2.5GBASE-T対応有線LANアダプターを別途買わなくて済むということを考えたら、結構お得なのかなとも思う。
Core i5-13600Kはパフォーマンスコア(Pコア)が6基12スレッド(3.5GHz〜5.1GHz)、高効率コア(Eコア)が8基8スレッド(2.6GHz〜3.9GHz)という構成で、アンロックに対応している。グラフィックスカードを搭載する場合、内蔵GPUを省いた「Core i5-13600KF」を購入すれば3000円ほど節約できるが、グラフィックスカードにトラブルが発生した際のフェールセーフの観点から、あえて「GPUなし」を避けている。
グラフィックスカードは「最新のものを狙いたいが、値段的に届かない……けれど、HEVC(H.265)動画のエンコードはサクサク進めたい」という考えのもとに選んだ(参考レビュー)。
ここからは、このPCを使って各種ベンチマークテストを実行していく。参考として、一部のテストでは過去にPC USERでレビューした「Core i5-12400F」(2.5GHz〜4.4GHz/Pコア6基12スレッド)を搭載したPCにおけるスコアも併載する。
3Dレンダリングを通してCPUの性能をチェックする「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りである。
アンロック対応の有無(≒元々の稼働クロックが高さ)の違いはさておき、マルチコアのスコアは、やはりEコアの有無がモノをいう。第13世代CoreプロセッサではEコアを搭載するモデルが増えているが、特にクリエイティブ用途を意識してPCを組み立てる場合はEコア付きのモデルを選ぶ方がが吉といえそうだ。
続けて、PCの総合性能をチェックする「PCMark 10」を実行してみよう。総合スコアは以下の通りである。
CPUは1世代差で、GPUは「XT」が付くか付かないかの違いということもあってか、スコアの差はそれほど大きくない。しかし、着実にスコアは向上している。
予算次第ではあるが、数千円差で収まるならCPUやGPUは少しでも良いものを選んだ方が良い。
搭載しているグラフィックスカードに差があることは承知の上で、3Dグラフィックスのベンチマークテスト「3DMark」も実行してみた。総合スコアは以下の通りだ。
今回の自作では、「フルHDでゲームを快適に楽しめる」という裏テーマを設定している。そういう観点では、今回のシステムは十分な性能を発揮できてはいる。予算がもう少し潤沢であれば、ハイエンドグラフィックスカードを用意してWQHD(2560×1440ピクセル)あるいは4K(3840×2160ピクセル)でも快適なゲーミング環境を構築できるだろう。
昨今のPCパーツの価格事情を踏まえて、今回は20万円以内で“中身”をリプレースする想定で第13世代Coreプロセッサを使った自作PCを構築してみた。今回は前世代(第12世代Coreプロセッサ)との比較を行ったが、同じクラスでも1世代分の進化としては意外と大きい。普段お使いのシステムからのアップグレードをする際の目安にしてもらえると幸いである。
最新世代のCPUを使うことを優先する場合、節約するポイントはケースバイケースだが、多くの場合ではマザーボードの予算を削減すると効果てきめんである。ただし、アンロック対応CPUを組み合わせる場合、あるいは高性能なグラフィックスカードを搭載したい場合は、マザーボードの仕様をよく確かめた上で購入するようにしたい。
その点、ASUS JAPANのPRIME Z790-A WIFI-CSMは、Intel Z790チップセットを搭載するマザーボードとしては現時点において最もコストパフォーマンス(費用対効果)に優れた選択肢の1つといえる。最新ハイエンドCPU(と最新GPU)を使いつつ、予算を抑えて自作したいという人は、ぜひ心に留めておいてほしい。
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