「Radeon RX 7700 XT/7800 XT」はGeForce RTX 4060 Ti/4070を超える? 動画のエンコは早い? 実機を試して分かったこと先行レビュー(4/4 ページ)

» 2023年09月06日 22時00分 公開
[迎悟ITmedia]
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Adobe Premiere Proの4K動画の書き出しは高速?

 GPUの活躍の場面はゲームだけではない。最近はVlogやYouTubeなど、個人でも動画を取り扱うことが増え、重たいデータをより速く処理するために高速なGPUへのアップグレードを検討している人も多い。

 そこで今回は「Adobe Premier Pro」を使って、GPUエンコードを有効化した場合の動画の書き出し時間の計測を行った。今回は小型アクションカメラ「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K動画を、30分ほどの4K動画としてまとめて書き出すのに要した時間を比較した。結果は以下の通りだ。

  • Radeon RX 7800 XT:4分48秒
  • Radeon RX 7700 XTX:4分54秒
  • GeForce RTX 4070:7分47秒
  • GeForce RTX 4060 Ti:7分54秒

 Radeon RX 7700 XT/7800 XTには、AV1コーデック対応のハードウェア動画エンコーダーが2基搭載されている。エンコーダーを2基搭載している効果はてきめんで、競合GPUよりも高速に動画の書き出しを終えることができた。

 Radeon RX 7000シリーズの動画エンコーダーは、GeForce RTX 40シリーズに対する確実な強みになっているといえる。グラフィックスカードに何を求めるのかは人によって異なるとは思うが、「動画の書き出しさえ早ければ、ゲーム性能はそこそこ高い程度でいい」という人なら、Radeon RX 7700 XT/7800 XTは有力な選択肢になるだろう。

書き出し Adobe Premiere Proでの4K動画書き出し結果

WQHDゲーミングを目指すなら間違いなく狙い目!

 WQHD解像度のゲーミングをターゲットとするGPUは、Radeon RX 7000シリーズの“穴”となっていた。今回新たに登場したRadeon RX 7700 XT/7800 XTは、それを埋める期待の製品だ。AMDがライバルとして見据えている同クラスのGeForce RTX 4060 Ti/4070とも十分に渡り合えるパフォーマンスを備え、特に動画のエンコードについては明らかな優位性を備えていることも魅力だ。WQHDゲーミングやクリエイティブ用途における“狙い目”のGPUであることは間違いないだろう。

 消費電力についても、アイドル時で81W、3DMarkの「Time Spy Extreme」実行時のピーク時でRadeon RX 7800 XTは392W、Radeon RX 7700 XTは378Wと、巨大なPCケースでなくとも十分に扱える。現在のPC市場におけるメインストリームの構成に組み込み易い点も評価したい。

 そうなると気になるのはグラフィックスカードの価格だ。先述の通り、税込みの実売価格はRadeon RX 7700 XT搭載カードで7万円台半ば〜8万円台前半、Radeon RX 7800 XT搭載カードで8万円台半ば〜9万円台前半で、ライバル製品と同程度か、むしろ高めである。動画の書き出し性能を考慮しなくてもいいのであれば、ライバル製品の方がお手頃な可能性もある。ここは悩ましい。初物価格後の変動をにらみつつ、動画のエンコードを重視するかどうかで決めてもよさそうだ。

 余談だが、本テスト中に筆者は10年ぶりに傭兵(レイヴン)となった。Radeon RX 7700 XT/7800 XTでも動かしてみたが、非常に快適に任務に赴くことができた。両GPUには、話題の最新ゲームタイトルを満足に遊べる性能備わっていることは強調しておきたい。

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