このように、同じIntel製GPUでもXeSSの実行形態が微妙に変わってきたことを受けて、IntelはXeSSのSDKを「バージョン1.2」にアップデートした。
新バージョンのSDKでは、XeSSの動作仕様が微妙に変更されている。XMXを備えるIntel Arc Aシリーズでは、XMXの高性能な推論処理機能をフル活用するチューニングがなされたカーネル(中核プログラム)が利用されるようになった。規模の大きめな学習データを活用することで、より精緻な超解像/アンチエイリアス処理が可能となる。
なお、この上位のXeSSには「XeSS Advanced Upscaling Model」という名称が与えられている。
一方で、Xe-LPGアーキテクチャを含むXMX非搭載のGPUでは、従来通りSM 6.4ベースのコードでXeSSが稼働する。その際に用いられる学習データは「XeSS Upscaling Model」と呼ばれ、Advanced Upscaling Modelと比べるとモデルとパラメーターが“軽量化”されている。
XeSS Upscaling Modelでは、Xe-LPアーキテクチャ以降のIntel製GPUに一層最適化されたカーネルも用意されている。このカーネルはDP4a演算ユニットをより積極的に使うようになったため、他社製GPU用のカーネルと比べると実行効率は良くなる。
なお、XeSS SDK 1.2では、推論で用いる学習用データを、開発中のゲームに最適化されたものに差し替える機能も用意されている。
「学習用データの差し替えに意味があるのか?」と思うかもしれないが、説明会では参考例として、セガの「龍が如く 維新!」においてXeSSを利用するデモンストレーションが行われた。
XeSSを含めて超解像処理を行うと、岩などで見られる「微細な凹凸」ではチラツキが、自動車のフロングリルのように「複数のスリット状の穴が並ぶパネル」ではモアレが発生してしまうことが多い。下の画像は、左側が学習データの最適化(差し替え)前、右が最適化後だが、差し替え後の映像では、超解像処理に伴うモアレがほぼなくなっている。
このように、超解像/アンチエイリアス用の学習データをゲームごとに最適できるのは“非常にありがたい”ことが分かる。
その他、Xe-LPGアーキテクチャにおける注目トピックをまとめていこう。
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