次世代の「Core Ultraプロセッサ」に採用! リアルタイムレイトレに対応したIntel内蔵GPUの“秘密”に迫るIntel Innovation 2023(1/6 ページ)

» 2023年11月09日 12時00分 公開
[西川善司ITmedia]

 Intelが12月15日(米国太平洋時間)に発表する予定のモバイル向け新型CPU「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)について、2本の記事で技術面の解説を行ってきた。

 同社が9月に開催したイベント「Intel Innovation 2023」では、Core Ultraプロセッサの内蔵GPUのアーキテクチャについて“深掘り”するセッション「Developing Next-Gen Game with Intel Graphics Software and Hardware」が行われた。プロセッサ全体の解説セッションではハッキリしなかった、内蔵GPUの詳細な情報も出てきたので、本稿で詳しく紹介したい。

トリオレット氏 Core Ultraプロセッサの内蔵GPUを解説するIntelのダミエン・トリオレット氏(Intel Graphics Product Team)

Intelの「CPU内蔵GPU」の歩み

 IntelのCPU内蔵GPUは、かなりゆっくりなペースではあるものの、継続的に進化はしてきた。

 2015年以降に絞って話をすると、同年に登場した第6世代Coreプロセッサ(開発コード名:Skylake)の内蔵GPUは「Intel HD Graphics 500シリーズ」だった。これは、同社の内蔵GPUとしては第9世代に当たる。

 その後、第10世代の内蔵GPUは“欠番”となり、2019年にリリースされたモバイル向け第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Ice Lake)では、第11世代GPUが「Intel UHD Graphics」または「Intel Iris Plus Graphics」として搭載された。

 そして、現行最新の第12世代の内蔵GPUは「Xe-LPアーキテクチャ」に基づく「Intel UHD Graphics」と「Intel Iris Xe Graphics」だ。2020年に登場したモバイル向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)で初採用され、2022年の第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)、2023年の第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)でも使われている。

Iris Xe Graphics 第12世代の内蔵GPUは「Xe-LPアーキテクチャ」で、モバイル向けCPUでは、一定の性能要件を満たすと「Intel Iris Xe Graphics」というブランド名が付く

 このXe-LPアーキテクチャをベースにして、さらに高性能化された独立GPUが「Xe-HPGアーキテクチャ」、製品名でいうと「Intel Arc A Series Graphics」だ。

 今回、Core Ultraプロセッサに搭載される内蔵GPUは、Xe-HPGアーキテクチャから派生した「Xe-LPGアーキテクチャ」を採用する。LPGは「Low Power Graphics」の略で、その名の通り省電力性を重視している。

 下のスライドを見ると分かるが、Intel的には「HPGが“フルスペック版”で、LPGが“デチューン版”」との位置付けを取っている。

LPGの位置付け Core UltraプロセッサのGPUは「He-LPGアーキテクチャ」を採用する。このスライドにもある通り、独立GPU向けの「Xe-HPGアーキテクチャ」をデチューンしたものという位置付けとなる
高クロック動作 Xe-LPGアーキテクチャは、現行の「Xe-LPアーキテクチャ」と比べると低電圧で高いパフォーマンスを発揮できるようになっている。最高動作クロックも引き上げられている

 では、Core Ultraプロセッサに採用されるXe-LPGアーキテクチャについて、詳しく見ていこう。

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