8日から12日まで幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2009」にフリービットが出展し、Windows Mobile端末やiPhoneをサーバとして利用可能にする無料アプリケーション「ServersMan」(サーバーズマン)を披露した。
ServersManは、Windows Mobile端末やiPhone上で動くサーバアプリケーション。このソフトがユニークなのは、モバイル端末がそのままサーバとして動作する点にある。説明員の石川氏によると、ServersManをインストールしたモバイル端末へ仮想的にIPv6のアドレスを割り当て、サーバ化するのだという。日本ではグローバルIPの利用が浸透しているが、アメリカなどではローカルIPを使う場合が多いため、仮想IPを割り当てるという手法を用いているという。
セキュアなネット接続を実現するため、同社のVPN通信技術「Emotion Link」を活用。個人的なファイル管理も行える。石川氏によると、従来のサーバ依存型インターネットアクセスではなく、各ノードを直接接続する通信方式を用いることにより、モバイル端末のサーバ化が実現できたという。
フリービットがServersManの用途として想定するのは、自分のWebサイトの作成や、オンラインストレージとしての活用など。Webサイトについては、登録時から画像の公開やGPSによる位置情報公開などができるようになっているほか、さらにページや機能を追加することも可能だ。
オンラインストレージとして活用する場合は、PCなどで専用のログインページからモバイル端末上のサーバ領域へアクセスし、各種ファイルをアップロードするだけ。容量はモバイル端末のストレージ容量に依存する。
通常、サーバの管理やオンラインストレージの設定などには一定の知識が必要だが、ServersManはそのハードルをかなり低くしている点が新しい。また石川氏によれば、3GやPHS回線などでも利用できるサーバは世界初だという。「アクセススピードは回線速度に依存するものの、どこからでもサーバを公開でき、すでに持っているモバイル端末をそのままサーバとして利用できる」(石川氏)など、ファイルサーバやオンラインストレージ、画像や情報の公開手段として気軽に利用するには最適だと話す。
対応OSは、Windows Mobile 6.0、Windows Mobile 6.1、iPhone OSとなっており、端末が動画撮影に対応していれば、Webサイト上での動画の公開なども可能であるという。動画が公開できるのは現在のところWindows Mobile版だけだが、「iPhone 3G S」の発売に合わせる形でiPhone版の動画対応バージョンを開発中だという。
ブースではServersManの活用例として、Windows Mobile端末を利用したフォトストレージを展示。端末をServersManによってサーバ化し、外部から画像を転送することによってリアルタイムに画像を表示するデモを行っていた。これはServersManユーザーのアイデアによるもので、実際に利用した人のコメントなども一緒に公開されていた。
ServersManを無料で公開している点について石川氏は「いずれは追加オプションなどによって収益モデルを作りたいと思っているが、まずは広く使ってもらって、そこからまたアイデアを頂きたい。今はまだユーザーとともにアプリケーションを作っている最中」とし、同技術の将来性に大きな自信を見せていた。
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