店頭訴求力の高い冬春モデル+iPhone――したたかなラインアップで冬春商戦に臨むソフトバンクモバイル神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2009年11月18日 18時27分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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際立つ「シャープ」と「パナソニック モバイル」の2強体制

 端末ラインアップの方も見てみよう。

 前述のとおり、ソフトバンクモバイルの冬春商戦向け新モデルは22機種。ケータイWi-Fiを軸とするハイエンドから、孫氏が「ハイタッチなケータイ」と呼ぶポップなローエンドモデルまで豊富に用意されており、ラインアップ全体のバランス感はかなりよい。全モデルが並ぶさまをパッと見ても、豊富なカラーバリエーションと形状で人目をつきやすく、特に他キャリアと同じ売り場に並ぶ「家電量販店」や「一般量販店」での視覚効果は高いと言えるだろう。このあたりの店頭での訴求力の作り方、ユーザーに対する見せ方作りは、ソフトバンクモバイルのお家芸である。

 一方で、ラインアップの内容を見ると、シャープ製とパナソニック モバイルコミュニケーションズ製のモデルの多さが際立つ。前者は7機種、後者は5機種をエントリーしており、今期のラインアップを支える「両輪」になっている。

 個々の端末を見ても、特徴的なモデル、魅力的なモデルは、シャープとパナソニックに集中する。特に今回、筆者が高く評価したのが「VIERAケータイ 941P」と、「THE PREMIUM5 942SH」である。

Photo 「VIERAケータイ 941P」(左)と「THE PREMIUM5 942SH」(右)

 VIERAケータイ 941Pは、2年前に爆発的な人気を博したドコモの「P905i」の流れをくんでおり、進化したWオープンスタイルとケータイWi-Fiに対応するハイエンドモデルだ。前回のコラムで書いたとおり、今年の冬春商戦はドコモの905iユーザーの買い換え期を狙う「ポスト905i商戦」の側面がある。その中でもP905iは当時もっとも人気のあった端末であり、数百万台が売れた機種だ。VIERAケータイ 941Pは、その系統につながるモデルであり、完成度も高い。MNPでのキャリア変更では新端末が安く買えることもあり、価格設定によってはVIERAケータイ 941Pが、P905iユーザーの心を揺さぶる可能性がある。

 THE PREMIUM5 942SHは、ケータイWi-Fiに対応しておらず、9xxシリーズだが限りなくミドルレンジに近い1台である。しかし、デザインや質感のクオリティは高く、手に持った時の収まり感やボタンの押し心地のよさなど、日常的に使って心地よい作りになっている。同じシャープの「AQUOS SHOT 940SH」や「AQUOSケータイ FULLTOUCH 941SH」と比較すると地味な印象だが、幅広いユーザー層に対してロングセラーが狙えそうなモデルだる。

 一方、エントリーモデルでは、カラーバリエーションと基本機能を重視した「COLOR LIFE 840P」と、同じくポップ路線の「Jelly Beans 840SH」が販売の柱になる。両者は“カラフルさ”を徹底的に追求したこともさることながら、低コストにこだわりぬき、Bluetoothやワンセグはおろか、おサイフケータイにすら対応しない。ドコモのエントリーモデルの中でも特に低価格路線を担うSTYLEシリーズのLGエレクトロニクス製端末でも、ワンセグやおサイフケータイに対応していることを考えると(L-03Bはワンセグのみ)、840Pと840SHがどれだけ「デザインと安さ」に特化したモデルか分かるだろう。

Photo 「COLOR LIFE 840P」(左)と「Jelly Beans 840SH」(右)

 むろん、こういった安価なエントリーモデルは、10代の新規契約をはじめ幅広いユーザー層の需要がある春商戦においては重要だ。840Pと840SHはデザインとポップなイメージ作りがうまいので、その点では巧みな商品企画と言えるだろう。しかし、マクドナルドの「かざす会員証」が学生層・女性層を中心に大ブームになっている中で、おサイフケータイ機能まで外してしまったのはコスト削減の“やりすぎ”とも言えそうだ。ワンセグはともかくとして、おサイフケータイ機能は残しておくべきだっただろう。このあたりは次期モデルで改善して欲しいところである。

ソフトバンクは「量販店に強いラインアップ」

 やや厳しい評価もしたが、今期のソフトバンクモバイルのラインアップが高い訴求力・競争力を持つことは間違いない。一言でいえば、新製品・新サービスともに「したたか」な内容になっている。

 ハイエンドモデルとカラフルな端末群で量販店での視線誘導・訴求効果を最大限に図りながら、ドコモの顧客囲い込みが弱くなるタイミングに合わせて、“ドコモユーザー好み”の新製品もしっかりと用意している。一方、ケータイWi-Fiもインフラ負担を軽減しながら、ライバル同様に動画や電子書籍など大容量コンテンツをアピールするなど、新端末・新サービスの見せ方はかなりうまい。店頭での販売競争力は高く、とりわけ量販店ではドコモやKDDI相手に互角以上の勝負ができそうだ。

 そして、もう1つ忘れてはならない強力な武器が、Appleの「iPhone 3GS」だろう。iPhoneは今夏の“ひとり勝ち”状態から依然として好調を維持。とりわけ東京など大都市圏では、若い女性など一般ユーザー層の間で、かつてのiPodのように新しいライフスタイルのシンボルとして受け入れられ始めている。今期の冬春商戦でもiPhoneの快進撃が続くのは確実である。この勢いをどれだけ新規ユーザー獲得につなげられるかも、冬春商戦におけるソフトバンクモバイルの重要なミッションになるだろう。

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