インタビュー
» 2011年02月24日 20時22分 公開

先行する巨大アプリマーケットに勝てるか――WACの副社長に聞く、戦略とロードマップMobile World Congress 2011(2/2 ページ)

[末岡洋子,ITmedia]
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―― WACアプリケーションは現在、どのくらいリリースされていますか?

クルーン氏 1万2000以上のアプリケーションがあります。ゲーム、地図、位置情報ベースのサービス、SNSやIMなどが多く、既存のアプリストアと同じような内容です。

―― 有料アプリの課金はどのようなモデルとなるのでしょうか? また、広告展開に関するプランを教えてください。

クルーン氏 全体の仕組みとしては、開発者が自分のアプリケーションを提供したい市場を設定しておき、WAC対応のアプリストアを提供する通信オペレーターやメーカー(ストアオーナー)がここから選択します。有料アプリについては、売り上げの分配比率はストアのオーナーが設定し、開発者とシェアします。比率は業界標準の3(ストア)対7(開発者)が多いと聞いています。

 有料アプリについては、WAC 3.0からアプリ内課金(サブスクリプションを含む)が可能になります。通信オペレーターが利用料と合わせて一括請求する課金方式は非常に便利で、ユーザーが求めている機能です。通信オペレーター課金が可能となれば、WACの魅力はさらに増すでしょう。

 広告については、現在すでに、開発者はWACで既存の広告事業者を利用できます。今後、ターゲット広告の仕組みをWACが提供できればと思っていますが、現在の最優先課題ではありません。

先行するAppleやGoogleのマーケットに対するアドバンテージは

―― WACはAppleやGoogleのマーケットに対して、どのように対抗するのでしょうか。市場規模やApp Storeの実績、SDKからマーケットまでのステップが分かりやすいことから、現在、多くのモバイル開発者が最初にiOSをターゲットにするといわれています。開発者に対するWACの優位性を教えてください。

クルーン氏 まず、われわれの強みからお話しましょう。WACは標準技術を使っており、WACプラットフォームで使えるツールは「jQuery Mobile」などたくさんあります。HTML5開発者向けの優れたツールがあり、開発者はこれらのツールでもWAC向けアプリを開発できます。

 AppleやGoogleはクローズドであり、彼ら自身がツールキットを作る必要があります。WACはオープンなプラットフォームなので、われわれもリファレンスSDKを公開してはいますが、外部でもHTML/WAC向けのツールが作成されています。今後はここで、技術革新が起こってくるでしょう。

 実際のアプリ開発も容易で、Web向けにアプリを作成するのと同じです。開発者は、モバイル特有の機能(アクセロメーター、カメラ、アドレス帳、位置情報など)も利用できますが、HTML5だけでもWACアプリを作成できます。

 AppleとGoogleは、たしかにモバイル業界を変えました。携帯電話でデータサービスを利用することが簡単になり、よい変化をもたらしました。それまでコンピュータでいうと初期のメインフレームのような状態でしたが、モバイルはオープンになりました。

 AppleとGoogleは垂直統合することで携帯電話の使い方を変えましたが、今後の方向性としては水平にオープンになっていくと見ています。

―― 業界団体の場合、明確なリーダーシップがとれず、成功が難しいと見る向きもあります。WACが成功するために必要なことは何だと考えていますか?

クルーン氏 開発者からみてシンプルにすることです。Appleは同社がリリースする端末しかなく、シンプルですし、Androidも少し複雑ですが、Google1社が決めています。WACは端末もオペレータも異なり、複雑になる可能性があるため、気をつける必要があります。

 各アプリストア側では、エンドユーザーに新しくて面白いものを提供することが必要です。エンドユーザーの多くはすでにAndroidやiPhoneを持っており、すでにアプリストアを利用しています。WACを利用する通信オペレーターやメーカーは、差別化したサービスや優れたユーザー体験を提供してユーザーをひきつける必要があります。たくさんのアプリが集まれば、ストア側も革新されていくのではと期待しています。

―― Android陣営がWeb版のAndroid Marketを発表しましたが、WACもWebベースのストアを提供できますか?

クルーン氏 Android MarketのWeb版はいいアプローチだと思います。WACでもツールを提供しており、Web版アプリストアの提供は可能です。

―― タブレットがブームですが、ターゲットをタブレットにも拡大する予定はありますか?

クルーン氏 すでにタブレットで動くバージョンを提供しており、技術的には可能です。ただ、現時点では携帯電話にフォーカスしているため、タブレットは将来、力を入れていくことになるでしょう。

―― 今年の最優先課題は?

クルーン氏 1つ目がコンテンツ流通の部分ですね。WACのアプリケーションを少しでも多くのストアに流通させることが重要です。8社のアプリストアが登場し、WACには70社弱が参加しています。他のメンバーにもWACアプリを提供してもらいたいと思っています。

 2つ目が開発者に対する取り組みの強化です。われわれが利用するHTML技術はすでに開発者が慣れ親しんでいるものなので、開発者はWACに対して良い反応を示しています。開発者は、少しでも多くのストアで自分のアプリを提供し、収益を上げたいと考えており、WACとしてこれを支援していきたいと考えています。

Photo フィリピンの通信オペレーター「SMART」が、WAC対応端末を見せてくれた。同社のユーザーはフィーチャーフォンが主流。WACを利用して、アプリストアの利用促進を目指す

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