Akamaiとの提携が快適なモバイルネットサービスを生み出す――Ericssonのギルストラップ氏Ericsson Innovation Forum 2011

» 2011年05月25日 00時05分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
Photo Ericsson CSOのギルストラップ氏

 スマートフォンやタブレット端末の普及で、モバイルインターネットのニーズが急速に高まっている。無線通信インフラ大手のEricssonはモバイル通信の新時代に向け、「モビリティ」「ブロードバンド」「クラウド」の3つを柱に、業界内での優位性を保ちたい考えだ。

 同社CSO(最高戦略責任者)のダグラス・ギルストラップ(Douglas Gilstrap)氏に、500億台の端末がネットにつながる“ネットワーク社会”に向けた戦略について聞いた。

―― (聞き手:末岡洋子) Ericssonは、500億台の端末がネットにつながる“ネットワーク社会”の実現に向けてさまざまな取り組みを行っています。ビジネスの方向性は、どのように変わるのでしょうか?

ダグラス・ギルストラップ氏(以下ギルストラップ氏) Ericssonの中核事業は無線接続とモバイルブロードバンドであり、この2つをIP製品やソフトウェア関連製品など、他のサービスや製品と結び付けていきます。ネットワーク社会では、これらの全てにM2M(Machine to Machine)アプリケーションとサービスを可能にするプラットフォームが加わります。

 Ericssonはネットワーク社会の到来を前に、車や家電など、“ネットに接続するとメリットがあるすべてのもの”を容易かつ効率よく接続することを考えています。

 現在、ネット接続に対応する数億台の端末があり、次々と新しいアプリケーションが生まれてはネットワークに流れ込んでいます。M2Mの活用が本格化すると、スマートフォンやタブレット端末だけでなく、種類が異なる膨大な数の端末とアプリケーションがつながることになります。それは、これまでにはなかった世界です。

 さまざまな端末を新たなニーズやビジネスケースに対応させるのは、容易なことではありません。Ericssonの目標は、ネットワークとサービスの両方で最高の品質を持つ技術を全世界に提供することです。これまでの無線とブロードバンドに加えて、クラウドを強化している理由もここにあります。

―― そのクラウド分野で、この2月に米Akamai Technologiesとの提携を発表しました。この提携の内容と、顧客にもたらすメリットについて教えてください。

ギルストラップ氏 Akamaiはコンテンツ配信ネットワークで65%のシェアを持つ企業です。Ericssonはモバイル側の技術を持ち、Akamaiは世界で分散CDN(Content Delivery Network)を構築しています。この2つの組み合わせが、最高のユーザー体験の提供につながると考えています。

 Akamaiは世界70カ国に8万5000台のサーバーを持つ分散ネットワークを構築しており、固定インターネット向けにコンテンツの高速配信を実現してきました。

 モバイルブロードバンドでは、ソーシャルメディア、企業の業務アプリケーション、動画のライブストリーミングなどのコンテンツがクラウドを経由して端末に届くわけですが、Akamaiは現在、モバイルオペレーターとの接点までを高速化しており、ここから先はベストエフォート型となります。

 EricssonはAkamaiと提携することで、Akamaiの分散ネットワークをモバイルインフラに組み込みます。これにより、モバイルオペレーターレベルでの通信の優先化とエンドユーザーのモバイル端末までの高速配信が実現し、高速なレスポンスや遅延改善などのさまざまなメリットをもたらします。

 ネットサービスを利用する際、ユーザーはどれだけレスポンスが速いかを重要視しており、レスポンスが遅いとあっという間に別のサービスに移ってしまいます。AkamaiとEricssonの提携は、オンラインショッピング、動画配信などのさまざまなコンテンツの配信をスムーズにするとともに、それを手がける通信オペレーター、エンドユーザーにメリットをもたらします。中でも、われわれの顧客である通信オペレーターは、自社サービスを差別化し、エンドユーザーに優れたサービス体験を提供できるようになります。

―― 通信オペレーターは、定額制と価格競争の激化で、インフラへの投資と売上のバランスをとるのに苦しんでいます。

ギルストラップ氏 通信オペレーターはトラフィックと売上のバランスをとるために、価格体系を細分化する傾向にあります。ユーザーの中には、「それほど利用しないので払いたくない」という人もいれば、「たまにしか利用しないが、強固なセキュリティが欲しい」という人もいるなど、利用形態もニーズもさまざまです。こうしたことから、ユーザーを獲得するために市場セグメントに応じた価格プランを用意する動きがあります。

 Ericssonはここでも、差別化につながるサービスパッケージの提供、多様な課金方法のサポート、コンサルティングを含むマネージドサービスなど、さまざまな形で支援しています。

―― 日本市場の位置付けは。

ギルストラップ氏 データ利用が進んでおり、世界的にみても先進的な市場です。例えばデータトラフィックの比率を上げて売上増につなげているソフトバンクモバイルなどは世界的にも注目されており、業界のモデルとなっています。Ericssonはソフトバンクモバイル向けベンダーの1社であり、これは戦略的にみても重要なことといえるでしょう。

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