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» 2005年03月25日 13時48分 UPDATE

W31S 開発者インタビュー(前編):「W31Sでポータブルオーディオ市場を置き換える」〜ソニー・エリクソン

『音楽ケータイ』の急先鋒といえるのがソニー・エリクソン初の着うたフル対応端末「W31S」だ。CDリッピングに本格対応し、ポータブルオーディオのリプレースを狙う。

[斎藤健二,ITmedia]
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 “音楽プレーヤーとしての携帯”が脚光を浴びている。auが2004年末に開始した携帯初の音楽配信サービス「着うたフル」に続き(2004年10月13日の記事参照)、海外では「iTunesケータイ」も登場が待たれている(3月24日の記事参照)。世界中で、カメラの次は音楽というトレンドが動き始めているのだ。

 そんな中、ソニー・エリクソンが4月に投入するau端末「W31S」は“ポータブル音楽プレーヤーとしての携帯電話”を追求した機種となる(3月14日の記事参照)

 同端末を企画したソニー・エリクソンの高橋映里子氏は、「W31Sで、ポータブルオーディオ市場をリプレースしていく」と意気込む。

「いままでの音楽も、これからの音楽も」

 W31Sの最大の特徴は多彩な音楽機能だ。「着うたフル」のダウンロードが可能なほか、FMラジオチューナーも搭載。そして、CDリッピングに積極的に取り組んでいるところが、従来の音楽系の携帯と大きく違う点だ。

 「着うたや着メロなど携帯向け音楽の市場規模が約1100億円、PCやNetMDなどの音楽ダウンロードが約450億円。それに対して、CDの市場規模は4800億円ある。やはりここを取り込んでいかなくてはならない」(高橋氏)

 FMラジオや着うたフルだけではなく、手持ちのCDの音楽もすべて聴けるようにしていくこと──。それがW31Sのキャッチコピーである、「いままでの音楽も、これからの音楽も」の意味だ。

 CDの楽曲をPCに取り込みW31Sに転送できる音楽管理ソフトウェア「SonicStage Ver.3.0」が付属し、さらにPCとW31Sを接続するためのUSBケーブルも同梱されている。購入した日から、音楽をたっぷり携帯に入れられるわけだ。

音楽再生中も、携帯の動作は支障なし

 本格的な音楽携帯を目指して、「W21S」をベースとしたソフトウェアも大きく改良した。音楽を聴きながら、さまざまな携帯の操作が行える「BGM再生」がその1つだ。

 いわゆる音楽プレーヤーとは異なり、携帯電話にはさまざまな割り込み動作が起こる。メールも届くし、電話も鳴る。音楽再生中にWebも見たいし、メールの読み書きもしたい。それぞれの場面場面で、音楽を再生し続けていいのか、一時停止すべきか……。BGM再生に完全対応するには、ソフトウェア開発者はすべてをテストし、対応しなくてはならない。

 「CPUの負荷や音の競合があるところ以外、(BGM再生が)できるものは全部やる」──。そう取り組みを話すのは、auソフトウェア開発部第1チームの安部信好氏だ。

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 例えば音楽再生中にカメラを起動すると、音楽は一時停止するがカメラを終了すると再生に復帰する。メールも、音楽を再生したままバックグラウンドで受信し、メール受信音が鳴っている間だけ一時停止。鳴り終わると再生が再開する。

 ゲームなどBREWアプリケーションの動作や、着うたフルのダウンロードなど、CPU負荷などの理由から一部に音楽再生と同時に利用できないところも残る。それでも実用的に使う上で何の問題もなく、携帯電話としての機能を利用できる。

 さらに、いわゆる音楽プレーヤーとしての機能は、ほぼすべて網羅する。イコライザ機能や、BASS、AVLS(音漏れ防止)設定、ランダム再生やリピート再生も可能だ。最大30曲×5つのプレイリストも作成できる。再生ボリュームを32段階に細かく調整できるのも、うれしい部分だ。

FMラジオの操作も可能〜付属のリモコン

 音楽を聴くためのイヤホンだけでなく、専用のリモコンが付属するのも、W31Sがいかに音楽にこだわっているかを表している。

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W31Sと同じ形状の十字キーのほか、イヤホンマイクとして使えるマイクと、電話を取るためのボタンが付いている。「FMラジオの選局やボリューム調整も行える。これはau初」(高橋氏)

 「携帯としてのコントローラ文化を作りたい」。そう意図を説明してくれたのは、デザインを統括した佐藤敏明氏だ。

 カバンや服のポケットに本体を入れて持ち歩くことの多いポータブルオーディオプレーヤーの場合、その“顔”はリモコンであるともいえる。リモコンを見て、「あ、ウォークマンだ」「iPodだ」と分かることもしばしばだ。ここで、「W31Sだ。と分かるようなアピールをできるようにしたかった」と佐藤氏。

 リモコンの裏側には服などに留められるクリップが付いており、これが360度回転する。これはどんな場所にリモコンを付けてもマイクの部分が上を向くようにするためだ。単なる音楽プレーヤーのリモコンではなく、イヤホンマイクでもあることからこんな形状が生まれた。

 W31Sからリモコンまでのケーブルは、FMラジオのアンテナを兼ねており、リモコンには好きなイヤホンを接続できるよう丸形のピンジャックが付いている。音楽プレーヤーでは当たり前のこんな取り組みも、携帯電話では珍しい(3月9日の記事参照)

携帯で音楽を楽しむ環境が整いつつある

 本格オーディオプレイヤーとして登場するW31Sだが、実はソニー・エリクソンの前身であるソニー時代にも、音楽プレーヤー機能を兼ね備えた携帯があった。「C404S DIVA」だ。当時もソニーのバイオなどのPCと接続すればCDリッピングした音楽が再生でき、一部に熱烈なファンもいた。

 携帯と音楽の相性がいいことは当時から指摘されており、ITmediaでも携帯と音楽を両立させるための記事を2001年に連載している(第1回第2回第3回第4回)

 しかし当時はやっとメモリースティックウォークマンが出た頃で、カメラ付き携帯電話も黎明期。着うたもiPodももちろんなく、携帯で音楽どころか、デジタルデータの音楽を聴くことが珍しかった時代だ。まさに、早すぎた登場だったといえる。

 PCが普及し音楽をデジタルデータで扱う、さらに「着うたフル」など音楽をダウンロードして聴くという習慣が根付いてきたのは、この1、2年だ。やっと“音楽プレーヤー”としての携帯が登場する環境が整いつつある。

 「生活を楽しむという意味では、カメラ以上に身近なものがポータブルオーディオ。携帯と親和性が高いのもポータブルオーディオ。必ず流れが来る」(高橋氏)

 ユーザー調査によると、使ってみたい機能としてユーザーの6割以上が「音楽を聴ける機能」を挙げており、メガピクセルカメラに迫る要素となってきている(3月22日の記事参照)。“ポストカメラ”の時代にあって、音楽プレーヤー機能は、FeliCaや地上デジタル放送への対応と並んで注目される(2004年12月16日の記事参照)。本格的音楽プレーヤーへの進化に先駆けたW31Sの発売が待たれる。

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