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» 2013年12月16日 09時06分 UPDATE

iPhone普及の裏で動く巨大ビジネス 第2回:女性向けiPhone周辺機器で売上10倍に――INNOVA GLOBALにその秘密を聞く (1/2)

iPhone普及の陰でうごめくさまざまな業種マーケットにフォーカスを当て、その裏で動く巨大ビジネスに迫る連載企画。今回は、女性向けアクセサリーにいち早く注目し、大成功を納めた企業の戦略を解説しつつ、これからの周辺機器マーケットを読み解いていく。

[大野泰敬(4001field),ITmedia]

 iPhoneが急激に女性に受け入れられるようになったのは、端末の性能だけでなく、今までのスマートフォンにはなかった「ファッション性」という新しい要素が加わったことが最も大きい。何百種類もあるケースの中から、自分に合ったものを選び、洋服と同じ感覚でオシャレに着こなすというスタイルが受け入れられてきた。そうした、今までスマートフォンにはなかった「オシャレ」を、日本で一番早く仕掛け、成功したidea4living(アイディアフォーリビング)を運営するINNOVA GLOBAL代表取締役社長 藤嶋京子氏とEC事業部課長 石渡尉浩氏に話をうかがった。

photo 代表取締役社長 藤嶋京子氏(右)とEC事業部課長 石渡尉浩氏(左)

きっかけは、自分でかわいいケースがほしい

 iPhone 4が発売された2010年ごろから急激にスマートフォンが一般的に普及し始め、ハイテク端末に興味のなかった女性層がiPhoneを手にするようになってきた。雑誌では有名モデルが自分のお気に入りのケースや特注で作ったケースなどを紹介するという光景をよく目にしたが、発売当初はそういったケースはまったく存在なかった。ほとんどはラバーやシンプルなカラーなプラスチックなケースで、あくまでもiPhoneを守るという役割を担うものが主流だった。

 そんな市場に突然女性が好きそうなケースを大量に販売する企業が現れた。それがINNOVA GLOBALだ。INNOVA GLOBALはもともとiPod nano系のケースを販売する会社だったが、iPhone 3Gの発売を期にiPhoneのケースを専門に扱う会社へと事業を変更。きっかけは、「自分が持ちたい、かわいいiPhoneケースがなかった」と藤嶋氏は語る。当時iPhoneの男女比率は9:1で男性が大半を占めていた。そのため、ケースも女性向けのケースはほとんど市場に流通していない状態だった。

 最初は女性向けという意識はなかったが、自分が欲しいかわいいケースという商品構成にしていたため、女性向けのラインアップが多くなっていったという。女性の購入者が増えて、「もっと、かわいいケースが欲しい」「こんなケースが欲しい!」という要望や問い合わせが多くなり、ユーザーの声に応えていった。

ファッション性を取り入れ、国内トップクラスに成長

 そんなiPhone市場に対して可能性を感じた藤嶋氏は、iPhone 4発売のタイミングで勝負に出た。その当時の国内メーカーとしては珍しく「iPhoneをオシャレに」というコンセプトに、カラフル、ナチュラル、ロハス、ファッションというキーワードを打ち出し、ユーザーの利用シーンに合わせて提案するスタイルにシフト。商品点数も1000種類以上へ拡大し、女性向けiPhoneケースのラインアップは国内最大級へと拡大していった。

 今まではシンプルな形や素材が多かったが、そこにファッションという要素を加え、顧客の心をつかみ、かわいいケースを買うならここ! というイメージを形成することに成功。楽天市場にも2010年に出店を始め、iPhoneケースランキングの30位中、自社商品20個が常時ランクインする状態が続き、2010年のiPhoneケース販売年間ナンバー1にも輝いたという。「商品に求めるニーズも多く、要望に応えていたら、必然的にラインアップが増えた」と藤嶋氏は語る。

徹底的にこだわったクオリティー

 その中で、とにかくこだわったのは商品の品質。取引しているサプライヤーは30社以上。そのすべての会社、工場までも見学し、商品ができるまでの行程やクオリティーを確認しながら、一つ一つチェックしていたという。「女性のお客様は非常に細かいし、厳しい。商品開発、調達には非常に気を遣った」と語る藤嶋氏が中心となり、女性が好むケース作りや商品調達に力を注いだ。そうした商品は自社販売だけではなく、量販店、ショップなど数千店舗で展開され、「iPhoneはオシャレ」というキーメッセージが一気に世の中に浸透していった。

photophoto 素材にこだわったシリーズを続々追加(写真=左)。商品は社長自身が工場からチェックしているという(写真=右)

ライバル出現で過去最低の業績へ

 2011年には女性向けのiPhoneケースが市場に大量に流通し始め、量販店や百貨店の店頭でiPhoneケース専用コーナーなどが大々的に設置され、次々に新規業者が参入した。そのため、大きな流通販路や資本金の大きな会社に太刀打ちするのが非常に困難な状況に陥り、かつ卸事業拡大で売り場面積を確保した一方、機種変更に伴う大量の返品などで業績が過去最低にまで落ち込んだという。このころからマーケットの75%を大手周辺機器メーカー4社が占めるようになり、何千種類ものケースが売り場を埋め尽くしていた。

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