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» 2014年03月11日 21時56分 UPDATE

KDDI、陸上自衛隊中部方面隊と災害協定を締結――南海トラフ地震に備えて連携強化

KDDIと陸上自衛隊中部方面隊は、災害時の相互協力を目的とした協定を締結した。九州を除く西日本全域を管轄する方面隊との連携により、南海トラフ地震への対策を強化する。

[平賀洋一,ITmedia]

 陸上自衛隊中部方面隊とKDDIは3月10日、「陸上自衛隊中部方面隊とKDDI株式会社との間の災害時における通信確保のための相互協力に関する協定」(以下、災害協定)を締結した。

photophoto 協定締結式(写真=左)。左から、KDDI中部総支社長 兼 北陸総支社長の吉満雅文氏、KDDI 理事 関西総支社長 兼 四国総支社長の長尾毅氏、陸上自衛隊中部方面 総監部 防衛部長 1等陸佐 滝澤博文氏、KDDI中国総支社長の松尾恭志氏(写真=右)

 協定の内容は、

  1. 被災地の災害復旧活動に関する情報を相互に提供すること。
  2. 陸上自衛隊中部方面隊が必要とする衛星携帯電話、携帯電話等の貸し出しをKDDIが行うこと。
  3. KDDIの通信復旧活動において、KDDI単独では被災地に入ることが難しい場合に、条件が許せば陸上自衛隊中部方面隊の車両やヘリコプターで、KDDIの人員や可搬型基地局を運搬すること。
  4. 連絡調整のための会議と、協同訓練を年1回以上実施すること。

 というもの。

 大規模災害が発生した際、中部方面隊は通信手段を確保するために活動するKDDIに対し、物資の輸送や各種施設・設備の使用、燃料・資材等の物資および機材の貸し出しなどを協力。またKDDIは復旧や人命救助活動に必要な通信手段として、衛星携帯電話やau携帯電話等の通信機器を中部方面隊に優先的に提供する。

 例えば被災した基地局を復旧する場合、民間企業であるKDDIは基地局に通じる道路や敷地外にあるがれきなどを処理できない(管理者や所有者が処理の責任を負う)。しかし災害派遣された自衛隊であれば公的処理が可能で、今回のような協定を結んでおく具体的なメリットになるという。また自衛隊も自前の通信機器を補完する形で、衛星電話や携帯電話など民間の通信サービスを利用する方針をとっており、災害時の活用が期待されている。

 KDDIは2013年11月に防衛省と「災害協定(中央協定)」を結んでおり、中部方面隊との協定締結はこれに基づくもの。中部方面隊は兵庫県伊丹市の伊丹駐屯地を拠点に、東海・北陸・近畿・中国・四国の2府19県と九州を除く西日本全域が管轄。今後発生が予想されている南海トラフ地震で甚大な被害が想定されているエリアもあることから、災害時における通信確保に向けた広範な相互協力を行い、迅速な復旧活動を図ることを目的としている。

 伊丹駐屯地で行われた協定締結式の後、会見に応じたKDDI 理事 関西総支社長 兼 四国総支社長の長尾毅氏は「東日本大震災の教訓から、連絡窓口など情報交換の場を陸上自衛隊と設定しておくことが重要と認識している。今回の災害協定締結はその第1歩であり、今後は訓練や勉強会などを通じて南海トラフ地震への対策を強化したい」とコメント。また「被災地に派遣された部隊にとっても通信手段の確保は重要で、そのお手伝いをKDDIでさせていただく。またKDDI自身の増備を強化することに加え、自衛隊が初動でどう動くのかをご教授いただき、今後に備えたい」と述べた。

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 KDDIでは中央協定のほか2010年3月に東北方面隊(東北)、また2013年3月18日に北部方面隊(北海道)と協定を結んでいる。今後、2013年度中をめどに、西部方面隊(九州)と東部方面隊(関東甲信越)とも協定を結ぶ予定だ。また防衛省と各方面隊はNTTドコモとも同様の災害協定を結んでいるが、「各社の協力要請については災害時の部隊運用計画に照らし合わせて対応する」(陸上自衛隊)としており、人命救助活動を最優先に、被災地の現状と各社要望のバランスを取りながら活動していく方針だ。

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