KDDIが2015年春モデルとして発表した「AQUOS K SHF31」は、“ガラケー”(ガラパゴスケータイ)のような外観にスマートフォンと同等の性能を持たせたフィーチャーフォンだ。
1月19日に行われたKDDIの発表会では、田中孝司社長がAQUOS Kについて「我々は『スマホケータイ』『ガラホ』などと呼んでいる。中身がAndroidで、LINEや4G LTEがサクサク使えるなど、まさにケータイの形をしたスマホ(※実際はスマートフォンではない)」と紹介した。Wi-Fiテザリングも可能で、タブレットとの2台持ちニーズも強く意識している。
そのAQUOS Kには専用の「auスマートパス」メニューも用意。auスマートパスはスマホやタブレット向けのサービスだが、AQUOS KはAndroid 4.4をプラットフォームを採用していることから、AQUOS Kに最適化したアプリ(コンテンツ)やサポートメニューを提供するという。
気になる通信料金もスマホ並み。LTEによる高速・大容量のデータ通信を前提としているためか、スマホ向けの新料金プラン「カケホとデジラ」、あるいは従来型の「LTEプラン」をベースに、利用料金から毎月1000円(税別、以下同)を最大4年間割り引く「AQUOS Kスタート割」を適用する。55歳以上のユーザーなら、基本使用料と0.7Gバイト(700Mバイト)分のデータ定額料金をセットにした「シニアプラン」(月額4280円)を選択できる。このシニアプランは、京セラ製のシニアスマホ「BASIO KYV32」でも契約できる料金だ。
と、まさに中身はスマホなAQUOS Kだが、auの製品ラインアップ上はフィーチャーフォンとして扱っている。田中社長もあくまで「スマホとケータイの間をいく存在」と位置付けた。では、AQUOS Kのどんな点がスマホじゃないのだろうか? 発表会場の説明員に聞いたところ、「Google Playに非対応でアプリを自由に追加できないのが大きい」という。
AQUOS Kはauスマートパス経由でアプリを提供する予定だが、発表時点でアナウンスされているのは辞書アプリ「デジタル大辞泉」や週刊誌の電子版「FRIDAYデジタル」、「ぷよぷよ!」「四人打ち麻雀」などのゲームを合わせた約20種。目玉のLINEも提供時期は未定で、「アプリになるのかWebブラウザ方式での提供になるのかは、現時点では未定」(説明員)だという。
AQUOS K向けアプリを開発するには、auスマートパスのコンテンツプロバイダーとして加盟する必要があるとのこと。プラットフォームにAndroidを採用してはいるが、さまざまなアプリを利用したり、また自由に開発できる環境でないなら、確かにスマホとは呼べないだろう。ちなみにAQUOS Kは、WebやSDカード経由でアプリの実行ファイル(apkファイル)をインストールすることもできない。
またタッチパネル操作に対応していない点も、スマホとは呼びにくい。ダイヤルキーの表面をタッチパッドのように操作する「タッチクルーザーEX」を備えてはいるが、これはPCに近い操作性のユーザーインタフェース。ちなみにタッチクルーザーは過去のシャープ製フィーチャーフォンにも搭載されており、Androidならではの機能ではない。
シャープは過去にも折りたたみボディの「AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH」やスライドボディの「AQUOS PHONE THE HYBRID 101SH」(共にソフトバンクモバイル向け)、「AQUOS PHONE slider SH-02D」(NTTドコモ)、「AQUOS PHONE IS11SH」(au向け)など、ケータイっぽいAndroid端末を開発しているが、これらはGoogle Play(Android Market)にも対応するれっきとしたスマホだった。ケータイ感覚で操作できるダイヤルキーがあるものの、フィーチャーフォンとして使うことを目指したAQUOS Kとは成り立ちから異なる。
とはいえAQUOS KはAndroid端末であり、これまでKDDIが販売してきたauケータイとは全く違う面も持っている。なぜAQUOS KがAndroidを採用したのか、どんなメリット・デメリットがあるかは追ってレビューしたい。ともかく、田中プロがあえて“ガラホ”と呼ばざるを得ないほど、カテゴリ分けが難しい製品なのは間違いなさそうだ。
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