一般的に、スマートフォンのグレードはハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドの3種類に大別されるだろう。しかしスマホ人気が沸騰し、ハイエンドを遥かに上回る価格であっても飛ぶように売れる製品や、これまでには考えられなかった低価格の製品も登場するようになった。
その結果、ハイエンドの上位グレードといえる「プレミアム」、そしてローエンドよりさらに安い「エントリーモデル」という価格帯も誕生し、おおむね5つの価格帯に分けることもできる。
今回紹介するソニー モバイルコミュニケーションズの「Xperia Z3」は一括価格が9万円近い(NTTドコモの場合)。“プレミアムグレード”のスマホは一般的に600〜650ドル以上の価格帯と言われており、約700以上ドルというのはプレミアムの中でも上の方だ。ブランドとして高価格路線を行くことに加え、他のグレードでは採用が難しい高額な部品や機構も使用されている。今回はプレミアム端末ならではの部品や材料、採用された技術について論じたい。
チップセットとは、スマホや携帯電話の主要な機能を担当する主要なICの一式を指す。主要なICとは具体的に、3GやLTEといった各通信方式で送受信を行う通信用ICの「RFトランシーバ」、無線信号と端末内で処理するための信号を変換する「ベースバンドプロセッサ」、情報を処理し端末全体を制御する「アプリケーションプロセッサ」、バッテリーから供給される電力を管理する「電源管理IC」の4種類である。
1つのICで複数の機能を兼ねるのがチップセットであり、必ずしも4つのICがあるとは限らない。実際、Xperia Z3にはベースバンドプロセッサとアプリケーションプロセッサを統合した米Qualcomm製のチップセット「Snapdragon801 MSM8974AC」が使われている。Qualcommはチップセット市場で大きなシェアを持つのがであり、シェアが約7割と大きいことに加え、有力な特許を多く保有している企業だ。
MSM8974ACは演算ブロックを4基搭載するクアッドコアのプロセッサであり、動作周波数も2.5GHzと、発表時点では最も高速な部類の製品である。標準的なクアッドコアプロセッサの価格は約18ドル=2160円前後(1ドル120円換算、以下同)と言われており、最速クラスのMSM8974ACはさらに高価な部品と予想される。
またXperia Z3のLTE通信速度は最大150Mbpsである。従来、高速通信を実現するために2つのRFトランシーバを積んでいたが、Xperia Z3ではQualcomm製のRFトランシーバ「WTR1625L」1つで下り150Mbpsを実現した。通信用ICを統合することでコストは下がったと予想されるが、最新技術が詰まった高性能で高価なICを使っているのは間違いないだろう。
Xperia Z3が搭載する5.2型フルHD(1080×1920ピクセル)表示の液晶パネルは、ジャパンディスプレイ製である。液晶パネルにはサイズさえ合っていればどの製品にも使える汎用タイプと、製品に合わせてカスタムデザインされるものがある。プレミアム端末の多くはカスタムデザインの専用のパネルを使用しており、価格は高いが製品に向け最適化されている。
TFT液晶のTFTとはThin Film Transistor、つまり薄膜トランジスタのことで、液晶パネルには無数のトランジスタが組み込まれている。これらを駆動するために細長いICが液晶内に埋め込まれており、さらにその中には各種メモリが搭載され、補正用データを格納したり一時的にデータをプールする役割がある。価格はタッチパネルを含めて約30ドル=3600円前後と予想される。
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