通話もデータ通信も安くて満足いくものを――エックスモバイル木野社長が語る“通話定額”の狙い速度も出ます(1/2 ページ)

» 2015年08月11日 09時53分 公開
[田中聡ITmedia]

 MVNOとして「もしもシークス」を提供するエックスモバイルが、一定時間の通話を一定回数定額で行える「かけたい放題」プランを発表。8月17日に申し込み受付を開始し、9月4日から提供する。記事で紹介している価格はいずれも税別。

 エックスモバイルは8月10日に発表会を開催し、 代表取締役社長兼CEOの木野将徳氏が、新料金プランの狙いや、MVNO事業を立ち上げた経緯を説明した。

世界各国の良質のスマートフォンを扱いたい

photo エックスモバイルの木野将徳氏

 エックスモバイルは2013年8月に、マレーシアのクアラルンプールにて「XMOBILE」として創業し、2013年10月に京都で「エックスモバイル株式会社」を設立した。2014年3月には本社を京都から東京へ移転し、同年10月にMVNOサービス「もしもシークス」の提供を開始した。独自ルートで調達したアウトレット品ではあるが、iPhone 6/6 PlusやXperia Z3/Z3 Compactなど、ほかのMVNOが扱っていない人気機種を比較的安価に販売しているのも特徴だ。

 そんな同社、というより木野氏が並々ならぬこだわりを見せるのが「端末」だ。「創業から今までに800〜1000機種のスマートフォンを購入し、いいと思った製品は、どこにあろうが、自ら訪れてメーカーと交渉して、日本で売れれば売っていく。そういった活動をこれまでやってきた」と木野氏は振り返り、「iPhoneやXperiaだけでなく、世界各国の優れた低価格のスマートフォンを扱っていきたい」と意気込む。

photo エックスモバイルの歩み
photo 木野氏自身も大のガジェット好きで、数々の端末メーカーと交渉を重ねてきた

 今回同時に発表した「BlackBerry Classic」も、「BlackBerryが日本で売られなくなったことが非常に悲しく、香港支社で交渉を重ねた」(木野氏)結果、取り扱いが決定した。本機も「独自のルートで調達した並行輸入品」とのこと。

photophoto 9月に発売する「BlackBerry Classic」。価格は4万9800円
photo 画面上に技適マークを表示できる
photophoto QWERTYキーボード付きスマートフォンを待ち望んでいた人にはうれしいモデルだ

 さらに、エックスモバイルが扱っているiPhone 6/6 Plusを、限定1000台で割り引くキャンペーンを実施する。詳細は以下の通り。

  • iPhone 6 16Gバイト 通常価格 7万9800円 →限定価格 5万9800円
  • iPhone 6 64Gバイト 通常価格9万2800円 →限定価格 7万2800円
  • iPhone 6 128Gバイト 通常価格10万5800円 →限定価格 8万5800円
  • iPhone 6 Plus 16Gバイト 通常価格8万9800円 →限定価格 6万9800円
  • iPhone 6 Plus 64Gバイト 通常価格10万5800円 →限定価格 8万5800円
  • iPhone 6 Plus 128Gバイト 通常価格11万8800円 →限定価格 9万8800円

従来プランの新規受付は終了、今後は「かけたい放題」を主力プランに

 木野氏は「エックスモバイルが独立系のMVNOであること」も強調する。「大手MVNOは、どこかの資本が入っているか、大きな母体があって新規事業としてやっているが、我々は、いちから創業して、どこの資本も入っていない。ほかの事業は一切やっておらず、MVNO専業で100%フォーカスしている」と力を込める。専業ゆえに失敗は許されない。それだけに、木野氏の覚悟が垣間見えた。

 もしもシークスでは「携帯代を半額以下にし、人々の生活を豊かにする」ことを目指す。その背景には、日本の携帯事業はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社による寡占状態であること、人々の家計を通信費が圧迫していることを木野氏は挙げる。しかしもしもシークスの開始当初は、すでに多くの競合他社がMVNOに参入していた。そこで木野氏は「安くて分かりやすい」プラン作りにこだわり、月額3980円でネットし放題+音声通話も可能な「UNLIMITED・プラス」と、月額2980円でネットし放題の「UNLIMITED」プランを提供した。

 ただし従来プランは8月16日で新規申し込みを停止し、今後はメインのプランをかけたい放題に変更していく(現ユーザーが従来プランを継続利用することは可能)。なお、新プランの提供に際して、エックスモバイルはMVNOインフラの提供元であるMVNEを変更した。これに伴い、現在は「UNLIMITED・プラス」「UNLIMITED」の通信容量を、「完全無制限」から「3日間のデータ容量が合計1.2Gバイトを超えると200kbpsにする」措置に切り替えている。

photo 海外でも多くのMVNOが存在する
photo 日本では3キャリアが大きなシェアを占めている
photo 通信費が生活費の多くを占めており、家計を圧迫している
photo 今の格安SIMは何を基準に選んでいいか分かりにくいと木野氏は考える
photo そこで考案したのが、MVNO初の通話定額だ

 木野氏は「ユーザーは電話とインターネットの対価として料金を支払っている」という基本に立ち返った結果、現在のMVNOは、通話で満足のいくサービスを提供できていないことに着目。そこで、MVNOでは初となる通話定額サービスの提供に踏み切った。ただし、大手キャリアが提供している完全定額ではなく、

  • 3分の通話が月30回まで(3600円分)と月1Gバイトのデータ容量=月額1980円の「基本コース」
  • 5分の通話が月30回まで(6000円分)と月7Gバイトのデータ容量=月額2980円の「あんしんコース」
  • 10分の通話が月100回まで(4万円分)と月7Gバイトのデータ容量=月額3980円の「まんぞくコース」

 という制限付きの3コースを用意した。これは「どのくらいの料金ならボリュームゾーンにマッチするかを検証した」結果で、ユーザーのニーズに十分合ったプランという木野氏考えに基づく。

photo 「かけたい放題」の3プラン

 プリインストールされている専用のアプリを使うと、スマートフォンのアドレス帳を自動で読み込む。アプリ経由で発信をすると、プレフィックス番号が付加されるが、相手の端末画面にはもともとの電話番号が表示される。3分/5分/10分を超えたときの通話料は30秒あたり19.9円。通常の20円よりわずかに安いのは「少しでも安くしたい」(木野氏)ため。

photophoto プレフィックス回線を使い、専用アプリから発信することで安価な料金で通話ができる

 「これまで法人向けにも(もしもシークスを)提案していたが、通話料が従量課金なのが大きな障壁になっていた」(木野氏)ため、法人向けに「かけたい放題 for Business」を提供する。3コースという区分はコンシューマー向けと変わらないが、料金は据え置きで、あんしんコースは5分の通話が月100回まで、まんぞくコースは10分の通話が月200回までに増えている。

photo 法人向けの「かけたい放題 for Business」

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