フラグシップモデルも必要だが、まずはローエンドで勝負――ZTEの反撃なるかSIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)

» 2016年07月12日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

au端末に対応させるのが難しい理由

―― 対応バンドを増やし、使えるキャリアをドコモ、ソフトバンクを増やしてきましたが、auはいかがですか。

吉本氏 今、代理店さんと一緒になって、どのぐらいの規模がありそうなのかを調査しているところです。auに対応しようとすると、VoLTEをやらざるをえません。キャリアの試験をするまで突っ込んでいき、投資する価値があるかないのかを調べています。本国からは、「ある程度台数が固まるならやってもいい」と言われている状況です。

―― やはり、VoLTE対応は開発やコスト的に、なかなか大変ということでしょうか。

吉本氏 難しいんですよ。というもの、VoLTEには事実上、世界標準がありません。共通規格はあるのですが、オプションが多すぎて、みんなが勝手にインプリ(実装)している状態で、グローバルでもこのオペレーターで動いても、こっちではダメとなるため、結局はカスタマイズが必要になってきます。実はQualcommさんのチップも、ドコモモード、auモード、ソフトバンクモードと3つのモードを持っていて、オペレーターごとに別々の仕様で動かしています。

―― なるほど。コスト面でいうと、キャリアの試験なしで投入するという方向性はいかがですか。

吉本氏 基本的にはTELECやJATEを通っていればしょうがないというスタンスですが、やはりオペレーター側は嫌がります。基本的には、試験をしてほしいというスタンスですね。ただ、やはりお金がかかる。

―― 音声通話は携帯電話の基本中の基本だけに、万が一でもトラブルがあると困りますからね。

吉本氏 そうなんです。ですから、チップベンダーも試験をしていないというようなものは、さすがに怖くて使うことができません。

ZTEの認知度向上に努める

―― MVNOの導入に関しては、今回は楽天モバイル1社だけでした。ここは増やしていくお考えでしょうか。

コミコミプラン 楽天モバイルでは、BladeE01の端末代+通信費で月額1880円からの「コミコミプランS」を提供している

吉本氏 そこには、一生懸命アプローチしています。アプローチはしていて、いくつかいいお話も来ている状況です。MVNOもいくつかスタンスがあり、きちんと端末で差を出していくところもあれば、売れたものを取り扱うというところもあります。(販売台数を伸ばすには)後者の「売れたら持ってきて」というところにまで広がらないといけません。それまでは、楽天さんのように、端末で差を出していくところにアプローチを続けていきます。

―― 認知度を上げるという意味では、PR活動も重要になってくると思います。

吉本氏 広報とマーケティングが、そこをやっています。最初に改善したのが、まずWeb(ZTEジャパンのWebサイト)を何とかしましょうというところで、少し見やすくしました。今やっているのが、交通広告で6月ぐらいから、名前を知ってもらう活動をしています。第2弾も7月から、JRの駅でやる予定です。その他、デジタル系の広告を出し、検索したらすぐに出てくるようにしたり、ターゲットマーケティングも始めています。

 あとは、雑誌に記事広告を入れています。テクニカル系だけでなく、一般層、女性層にアピールするために、女性誌にも対象を広げています。これも、7月、8月に出てくると思います。

 認知度の調査をしても、まだ知っている人は少ない。今は、そもそも「ZTEってなんだっけ」というところです。その中で、製品を知ってもらおうと、ヨドバシカメラでタッチ&トライイベントをやらせていただいたりもしました。とにかく、見て、覚えていただかないとと考えています。発表会でもスポーツやエンターテインメントの話をしましたし、hitomiさんにも登場していただきました。あれはワンショットですが、“大使”のようなものも今、検討しているところです。

取材を終えて:完成度の高い端末をきっちり投入すべき

 コストパフォーマンスの高い端末を作り、一部のユーザーからは評価も高いZTEだが、今はまだ知る人ぞ知る存在。同社が課題だと認識しているように、知名度は早急に向上させていく必要がある。そのためにも、AXON 7のような完成度の高い端末は、きっちり市場に投入にしていく必要がありそうだ。

 シェアを取るという意味では、MVNOとの協力も不可欠になってくる。急成長している楽天モバイルからBlade E01が発売されたのは、ZTEにとってプラスだが、1社だけでは規模が出せない。同様の取り組みをいかに広げていけるかが、今後の行方を決めるカギになりそうだ。

基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO

格安SIM、SIMロックフリースマホのすべてが分かる

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年