それは見事なまでの調和――新型MacBook Proを触れて感じた“上手な革新”(2/2 ページ)

» 2016年10月28日 18時30分 公開
[神尾寿ITmedia]
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iPhone 7/7Plusと同様に画面が美しく

 Touch Barと並んで、一見して分かる変化がディスプレイの美しさだ。むろん、MacBook ProシリーズはRetinaディスプレイの発端であり、以前から画面は美しかった。しかし今回はMacBookシリーズとして初めて広色域に対応し、iPad ProやiPhone 7シリーズ並みに美しい色の表現ができるようになった。これはiPhone 7/7Plusのカメラで撮影した写真を楽しむのに、とても重要な進化といえる。

 さらに今回のMacBook Proでは、ディスプレイの明るさが向上し、視野角も広がった。これはハンズオン会場でもはっきりと分かる違いであり、少し斜めから展示してあるMacBook Proをのぞき込むような形でも、表示されている写真や映像が美しいままだった。これは例えば、グループでのミーティングやブレインストーミング中に、MacBook Proの画面をまわりのメンバーに見せるといった場面でとても重宝しそうな性能強化である。

薄く軽くパワフルに デザインはシンプルかつ合理的

 デザイン面にも目を向けてみよう。

 まず外観デザインは先代から金属製のユニボディーを踏襲しつつ、より薄く、シンプルなデザインになった。ディスプレイの横のベゼルが縮小したこともあり、全体的にコンパクトになった印象を強く受ける。13型のMacBook ProとMacBook Airを比較すると、底面積ではひとまわりほど小さく、最厚部ではMacBook Proの方が薄い。MacBook Airはくさび形デザインなので手元側はMacBook Proよりも薄くなるが、手に持った時のサイズ感ではMacBook Proの13型の方が小さく感じる。

 一方、15型のMacBook Proはというと、これまでのMacBook Proよりもグッとコンパクトになった。むろん、常時携帯するモバイル用途ではやや大きいが、オフィスや家庭内での持ち歩きや、出張用のカバンに入れるのは苦にならない。

 UIデザイン面では、キーボードが第2世代のバタフライ構造になり、現行MacBookと同じく各キーの面積が広がった。またトラックパッドが従来の最大2倍に巨大化し、横幅はキーボードの3分の2まで達している。この効果は絶大で、通常の操作はもちろん、トラックパッドだと操作に慣れが必要な写真加工などもスムーズにできる。他方で、ここまでトラックパッドが拡大すると、キーボード入力時に掌が触れてしまいそうだが、Appleによると、実際の操作とパームレストとしての接触を誤認識しないように制御しているという。

 そして、もう1つ。今回のMacBook Proで注目されているのが電源や外部周辺機器と接続するインタフェースの刷新だ。これまでのMacBook Proは、ノートPCのハイエンドモデルとして、電源コネクターのMagSafe2やUSB-Aのポートに始まり、Thunderbolt、HDMI、SDカードスロットなど多くの外部インタフェースを備えていた。しかし新型のMacBook Proでは、これらが全て刷新されて、Thunderbolt 3コネクターのみに統一。15型と13型のTouch Bar搭載機は4つ、13型のTouch Bar非搭載機は2つのThunderbolt 3コネクターを搭載。これ以外には3.5mmのステレオミニジャックを備えるのみとなっている。

MacBook Pro
MacBook Pro 新型MacBook Proでは、Thunderbolt 3コネクターにインタフェースが一新された。これで充電から周辺機器との接続まで全て賄う。充電はどのポートからも可能だ

先鋭と保守とのちょうどよいバランス

 今回の新型MacBook Proについて、筆者がハンズオン会場で実際に触れて感じた印象は「ノートPCの上手な革新」である。ノートPCとしての基本スタイルを崩すことなく、かといって旧弊は一刀のもとに斬り捨て、新しい価値とユーザー体験を実現している。Touch Barへの移行やThunderbolt 3への統一といったドラスティックなことをしつつ、正統派のクラムシェルフォルムのままデザインを洗練させ、ディスプレイ性能の向上で万人向けのユーザー体験向上を図るといった手堅いこともしている。そして何より、ハードウェアとソフトウェアが協調し、他にはないMacBook Proだけの価値を作りあげたことが何よりもすばらしい。

 MacBook Proは単なる最新鋭の高機能ノートPCではなく、クリエーターからビジネスマンまで、全てのプロフェッショナルが納得する最良のツールだといえるだろう。

取材協力:アップルジャパン

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