開発陣に聞く「Xperia XZ」(前編)――ループ形状実現のために見直した“中身”(2/2 ページ)

» 2016年12月21日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]
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ループ形状を実現させるために構造を変更

Xperia XZ 深谷氏

 Xperia XZのサイズは約72(幅)×146(高さ)×8.1(奥行き)mmで、Xperia X Performanceの約71(幅)×144(高さ)×8.6(奥行き)mmから大きくは変わっていない。ただ、機構設計担当の深谷友詞氏によると「中身は大きく変えている」という。

 Xperia XZでは背面と側面を固い接着剤で固定した後、内部の板金と側面を、ネジを打ち込むことによって結合させた。これによって側面の剛性を確保した。これまでは背面に防水接着テープを用いていたが、「(防水接着テープに)クッション性を持たせないといけないので、側面からの負荷がかかった際に接合部自体が変形し、接合された本体外装が正しい位置からずれてしまうことがありました」と深谷氏は言う。今回は接合部を固めるために、固い接着剤とネジを利用したというわけだ。

Xperia XZ 背面の金属と側面の樹脂を、堅い接着剤で固定した状態。ネジを打ち込んだ後も見られる。ディスプレイはまだ付けていない
Xperia XZ 上記画像の状態に、基板、バッテリー、グラファイトシートが一体になった板金のフタを被せたもの

 今回の接着方法により、Xperia XZのループ形状も実現しやすくなった。今回のように最後にディスプレイを結合させる手順だと、以下の図のように、側面を内側に出っ張らせて丸みに沿う形にできる(出っ張らせたのは接着面を広く取るため)。従来のように下から基板を入れようとすると、側面の出っ張りが邪魔になるが、上から基板を入れる形なら問題ないというわけだ。

Xperia XZ

バッテリーのスペース確保に苦労

 また、これまでは「バッテリーを寄せて基板を通すスペースを作っていたために、側面の剛性を確保するのが難しかった」(深谷氏)が、基板の形状を見直して空間効率を上げたことで、バッテリーのスペースを確保できたという。

Xperia XZ 形状を見直した基板

 Xperia Z5シリーズやXperia X Performanceで採用してきた、放熱効果を高める「ヒートパイプ」は、Xperia XZでは採用していない。その代わり、Xperia XZではグラファイトシートをより厚くし、「Zシリーズよりも放熱性能は高められている」(深谷氏)という。より広いスペースを確保したことで、XZのバッテリー容量はX Performanceの2570mAhから2900mAhに増えている。

 なお、Xperia XZのディスプレイには強化ガラス「Corning Gorilla Glass 4」が使われている。このように、XZでは多くの面で強度が高められていることが分かる。

※インタビュー後編では、カメラと「いたわり充電」について聞きます。

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