米Appleは9月12日(現地時間)、iPhoneのプレミアムモデル「iPhone X」(Xはテンと読む)を発表した。日本を含む世界各国で10月27日に予約を開始し、11月3日に発売する。本体の正面ほとんどを覆う5.8型の有機ELディスプレイが目を引くが、一方でiPhoneに欠かせない「ホームボタン」がなくなったのも大きな変更点だ。
Androidスマートフォンではホームボタンがないデザインは当たり前だが、iPhoneでは使いやすさや分かりやすさを考慮して、初代からずっとホームボタンを搭載し続けてきた歴史がある。そのホームボタンがなくなった初めてのモデルとなるiPhone Xは、果たして操作がどう変わるのだろうか。
これまでのiPhoneはホームボタンを押すとロックが解除できたが、iPhone Xでは画面を見つめるだけで瞬時にロックが解除できる。
ホームボタンには指紋認証機能の「Touch ID」が内蔵されていたので、パスコードを入力しなくても、ボタンを押すだけでセキュアにロックを解除できた。
iPhone XはTouch IDが省かれているが、代わりに高度な顔認証機能の「Face ID」が搭載されているので、これを利用してパスコードの入力なしでセキュアにロックを解除できる。このFace IDは、セキュリティを高めるため、ユーザーが目を開けてiPhone Xの方を見ているときしかロックを解除しない。Touch IDは5万分の1の確率で誤認識があったが、Face IDは100万分の1に改善したという。
Face IDは、赤外線カメラと赤外線の投光イルミネーター、ドットプロジェクターを内蔵したTrueDepthカメラシステムで実現している。まずは3万以上の細かな目に見えないドットを顔に投写して解析することで、ユーザーの顔の精緻な深度マップを作成。ロック解除では、赤外線カメラで顔を撮影し、マップと照合することで、素早くセキュアにユーザーを認識する仕組みだ(この処理はiPhone X上で行われ、プライバシー保護のため、クラウドには流れない)。
写真やマスクなどを使ったなりすましを防げる他、内蔵のA11 Bionicチップによる機械学習を利用することで、メガネをかけたり、帽子をかぶったり、ひげを生やしたりしても、iPhone Xならユーザーを正しく認識できるという。もちろん、赤外線なので、暗い場所でも顔を認識できる。
画面を見るだけでロックは瞬時に解除されるが、ホームボタンがなくなって、どうやってホーム画面に移動すればいいのか? 答えは簡単。画面の下端に細長いバーが表示されるので、画面の1番下から上にスワイプすると、ホームに移動できる。アプリ操作中などにホームへ戻りたくなったときも同じ操作だ。
ちなみにこのフリック操作は、これまで「コントロールセンター」の呼び出しに使っていた(コントロールセンターはどう呼び出せばいいのかは後述)。
これまではホームボタンをダブルクリックすると、アプリ切り替え画面が表示されていた。iPhone Xでは、画面を下から上にスワイプするとホームに戻れるが、スワイプの途中で指を止めると、開いている全てのアプリが表示された切り替え画面になる。
前述の通り、これまでは画面の下端から上にスワイプすると、コントロールセンターが表示されていた。iPhone Xでは、この動作がホームに戻るジェスチャーになったことから、コントロールセンターは画面を下にスワイプすると表示されるようになった。
慣れないうちは、コントロールセンターを立ち上げるつもりで、ホーム画面に戻ってしまう誤操作に注意した方がよさそうだ。
これまでホームボタンの長押しで呼び出せた「Siri」。iPhone Xではサイドボタンを長押しすると、Siriを呼び出せる。片手で本体を握って操作するには、こちらの方がSiriを呼び出しやすそうだ。
「Apple Pay」を使う場合は、サイドボタンをダブルクリックする。Touch IDはないため、こちらもFace IDを利用する仕組みだ。Apple Payが呼び出されたら、画面を一目見ればFace IDにより認証されて支払いができる。
Touch IDは指紋が読み取りにくい場合があるので、Face IDが高精度に顔認識してくれるならば、操作はより手軽になるだろう。
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