今日から始めるモバイル決済

複雑化している国内の「モバイル決済サービス」を総整理する鈴木淳也のモバイル決済業界地図(3/3 ページ)

» 2017年12月12日 06時00分 公開
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新しいタイプの決済手段「LINE Pay」「楽天ペイ」

 これらとは別に、最近続々と登場しているのが、インターネットサービスの「オンラインアカウント」と決済手段を結び付けたサービスだ。具体的には「LINE Pay」「楽天ペイ」がそれに該当する。

 LINE Payでは、LINEのアカウントにクレジットカードや銀行口座を登録することで、個人間送金や店舗決済などが可能になる。LINE Payはチャージ利用が可能な一種のオンライン口座で、ここでたまっている金額を送金や決済にそのまま利用できる。

 LINE Payの決済手段は3種類ある。1つは「LINE Payカード」と呼ばれる物理的なプラスチックカードを利用する方法で、通常のクレジットカードなどと同様にJCBの加盟店で磁気カードを使った決済が行える。2つ目はオンライン決済で、LINE Pay加盟店でのオンライン決済手段の1つとしてLINE Payを選択できる。3つ目がQRコード決済で、店舗に設置されたスキャナーでスマートフォンの画面に表示されたQRコード(バーコード)を読み取ることで決済が行える。

 このLINE Payの仕組みは中国で人気のAlipayやWeChat Payに近く、将来的にもしAlipayやWeChat Payが日本ユーザーを対象にサービスを開始しようとした場合、LINE Payと競合することになる。

モバイル決済 「LINE Pay」での決済方法

 楽天ペイも、決済では似たような仕組みを採用している。楽天ペイは専用アプリをダウンロードした後に、楽天のIDでログインすることで利用可能になる。決済手段に利用するカードが登録されていれば、これを利用してのアプリ決済、あるいはQRコード(バーコード)決済が可能となる。「画面にQRコードを表示して相手に読ませる」「相手のQRコードを読み取って支払う」のいずれの方法も利用可能だ。

 最大の特徴は楽天ポイントを決済に利用できる点で、ポイントプログラムと一体運用されていることが競合サービスと比べてのメリットだろう。

モバイル決済 「楽天ペイ」ではバーコードを提示して支払う

 楽天ペイに関してややこしいのは、似たような名前で「楽天ペイ(実店舗決済)」がある点だ。こちらは店舗向けのサービスで、もともとは「楽天スマートペイ」という名称だったものが楽天ペイ登場のタイミングでリブランディングされたもので、クレジットカードから電子マネーまで複数の決済手段をサポートする店舗向け決済ツールとなっている。

 楽天ペイ(実店舗決済)へと名称が変更された後は、楽天ペイによるアプリ決済にも対応しており、当該アプリを利用するユーザーは簡単に決済を行えるメリットがある。今後は楽天IDのスケールメリットを利用して加盟店開拓を狙っていくとみられ、ユーザーベースで強みをもつLINE Payに対抗していくことになる。

 なお、LINE Payや楽天ペイに対抗するその他の国内勢力としては、ドコモらが推進している「キャリア決済+QRコード決済」を組み合わせた新しい決済サービスが挙げられる。まだ正式発表は行われていないものの、2018年の比較的早いタイミングには同社がQRコードを使った決済システムで市場参入してくるとみられる。

 店舗決済で利用する支払い手段として後払い方式(ポストペイ)である「キャリア決済」を利用できる点が特徴で、加盟店各社には「iDよりも少ない設備投資で手軽に導入できる」ことをセールスポイントとして売り込みをかけていくようだ。なお、この取り組みには他の携帯キャリア各社も相乗りするという話が出ており、場合によっては「携帯キャリア連合 vs. インターネット企業」という構図が出来上がることになる。

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