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» 2011年06月16日 10時00分 UPDATE

同情が非難に変わるとき:日本と海外で感じる“原発”の温度差 (1/2)

震災発生直後は米国でも震災関連のニュースが毎日のように報道されていた。海外でも日本国内とほぼ同じ情報が得られるが、その解釈は“住む場所”で異なる。

[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,ITmedia]

海外にいても情報は手に入るが

 海外在住の日本人は、普段からWebページやソーシャルメディアなどを利用して日本に住む友人や家族とコミュニケーションを取ったり、自分の近くに住む同じような境遇の日本人を探したりしていることが多い。そういう事情もあって、震災のときに海外在住日本人が情報収集で最も利用していたのもインターネットだった。

 特に、NHKなどが実施していたストリーミングのニュースを見ていた人が多く、それ以外にも、大手新聞社などのWebページ、さらには、個人のブログまで積極的に情報収集をしている。こうして得られる情報は日本に住む人たちと基本的には変わらない。

 実際、この記事のために話を聞いた在米日本人の多くは「情報不足は感じない」と答えた。しかし、2歳半の子どもを持つ母親は、「情報は十分に得られるが、実際の街の空気感が分からないため現実感がなく、どうしていいか分からなくなった」と語っている。

 情報が十分に得られるからといって、不安が払拭されるわけではないようだ。逆に個人のブログなどで情報を得ている人たちからは「さまざまな意見や情報がありすぎて何を信じればいいか分からない」といった声も聞かれた。

kn_nclrprbrm_01.jpg 震災直後は、NHKだけでなく民放各社の放送も(手段はいろいろあれど)ストリーミングで視聴できた。公式なものはすでに終了しているが、TBSはYouTubeのTBS News-iチャンネルで東京電力福島第一原子力発電所の近くに設置したカメラの映像のライブ配信を行っているほか(写真=上)、NHKは、東北の震災復興関連情報をインターネット上で配信している(写真=下)

帰国を取りやめる理由はさまざま

 国際結婚のための指南書「国際結婚一年生」の著者で国際結婚を考えている多くのカップルに向けた情報をブログで発信し、カウンセリングも行っている塚越悦子氏は、「在米日本人は程度の差こそあれ、みんな不安を感じており、多くの人たちが帰国の予定をキャンセルしている。ただ、その不安を口に出していうのは日本に住む人たちに申し訳ない、と思っている人も多いようだ」とコメントしている。実際、旅行会社では米国発日本行きの申し込みが震災以後に前年比減になっているという。

 日本への帰国をためらう理由は原子力発電所の事故への不安もあるが、それだけではない。子どもがいる人の中には、一緒に帰国して再び米国に戻ったとき、子どもが差別を受けるのではないかと心配する母親もいた。また、塚越氏のコメントにもあるように、日本に住む人の感情を気遣い「わざわざこの時期に帰らなくても」と思っている人もいる。

 これに関しては、インターネットの掲示板で米国在住の主婦が「日本への帰国を迷っているが危険はないか」といった質問のトピックを立てたところ、日本に住む日本人から「そんなことをいうヤツは帰ってくるな」というコメントが多数寄せられ、トピックが削除されたという出来事もあった。

 自身も3歳と4歳の子どもの母親である塚越氏も夏の帰国を迷っているという。その理由は節電による暑さへの懸念だ。同じように猛暑への不安で夏の帰国を迷っている、または取りやめたという母親は多い。

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