外見の姿はほとんど変わらない(違いが出るのは無線接続の対応ぐらい)、“Sandy Bridge”なモデルと“Fusion APU”なモデルも、その中身はCPU、チップセット、そして、CPUに統合されたグラフィックスコアなど、かなり異なる。とはいえ、TDPがほぼ同じ(Core i3-2357Mが17ワット、E-350が18ワット)で、構成チップの数が同じ(どちらも2チップ構成)であることから、システムボードの基本的なレイアウトや熱設計が同様で済むことで、同じボディを利用できたといえる。
しかし、その性能に違いはないのか。PCMark 7、PCMark Vantage、CrystalDislMark 3.0、CINEBENCH R10、CINEBENCH R11.5、そして、グラフィックスコアの性能比較としてモンスターハンターオンラインベンチマークテストとThe Last Remnantを走らせてその結果を並べてみた。動作クロックとしてはCore i3-2357Mが1.3GHz、E-350が1.6GHzと、E-350が優勢であるが、結果はCore i3-2357Mが圧倒的であったりする。
デスクトップPCではあるが、E-350のレビューで比較したベンチマークテストの結果でも紹介しているように、Core i3-2357MとE-350が、同じクラスとして比較できるモデルではない(E-350は、旧世代のCeleronと比べてもベンチマークテストの測定結果は低かった)。ここでベンチマークテストの測定結果を並べているのも、「“Sandy Bridge”世代で省電力タイプのCore i3とFusion APUで省電力タイプの“Zacate”の優劣」を示すためではなく、それぞれのプラットフォームを採用したThinkPad X121eでどの程度の性能が発揮できるのかの指標を示すためであることを注意して欲しい。
ベンチマークテスト項目 | ThinkPad X121e(Core i3-2357M) | ThinkPad X121e(E-350) | ||
---|---|---|---|---|
PCMark7 | PCMarks | 1500 | 948 | |
lightweight | 1151 | 988 | ||
productivity | 737 | 606 | ||
creativity | 2508 | 1199 | ||
entertainment | 1641 | 919 | ||
computation | 4602 | 724 | ||
system_storage | 1276 | 1347 | ||
PCMarkVantage | PCMarks | 3384 | 2029 | |
Memories | 2467 | 1591 | ||
TV and Movies | 2726 | 1552 | ||
Gaming | 2630 | 1773 | ||
Music | 3519 | 2350 | ||
Communications | 3025 | 2042 | ||
Productivity | 2599 | 1542 | ||
HDD | 3104 | 2392 | ||
CrystalDiskMark3.0 | 1000M | Seq | 62.24 | 67.91 |
512K | 24.56 | 23.77 | ||
4K | 0.3 | 0.278 | ||
4K QD32 | 0.523 | 0.603 | ||
Seq | 63.98 | 65.23 | ||
512K | 23.73 | 26.82 | ||
4K | 0.713 | 0.614 | ||
4K QD32 | 0.689 | 0.638 | ||
CINEBENCH R11.5 | OpenGL | 7.21 | 7.58 | |
CPU | 1.13 | 0.63 | ||
CINEBENCH R10 | Single CPU | 1705 | 1052 | |
Multi CPU | 3300 | 2009 | ||
モンスターハンターフロンティア オンライン ベンチマークテスト | 1360×768ドット | 1332 | 724 | |
The Last Remnant | 1366×768ドット | 17.94 | 12.53 | |
レノボ・ジャパンは、E-350搭載モデル(そして、C-50搭載モデルも)を「大企業向け導入モデル」と位置づける一方で、Core i3-2357M搭載モデル(そして、Pentium 975搭載モデルも)は中小企業導入モデルという位置づけだ。また、個人ユーザーも想定した量販店モデルには、Core i3-2357M搭載モデルを投入する。価格設定は、大量導入を想定するE-350搭載モデルが最小構成例(30532DJ)価格で6万9300円、最上位構成例(305322J)価格で8万4000円であるのに対し、中小企業向けのCore i3-2357M搭載モデルが最小構成例(30456FJ)価格で9万300円、最上位構成例(30456HJ)価格で10万6050円になる。このような、価格設定とベンチマークテストの結果で示された結果の値を参考に、自分の利用目的に“十分な”モデルを選べるのが、幅広いプラットフォームに対応したThinkPad X121eのメリットとなる。
見た目にThinkPad Edgeと違わないではないか、という意見もあるが、それについては、ソフトウェアとして導入されたThinkPad Vantageユーティリティや、Windows 7の高速起動などが実現する“Lenovo Enhanced Experience 2”が、ようやくThinkPad X121eに導入されたことで(ThinkPad X100eでは対象外だった)、ビジネス利用の使い勝手を優先させるユーザーには、ThinkPad Edgeとの違いが明確になった。
“Fusion APUを採用したThinkPad”として注目されたThinkPad X120eの後継として、ThinkPad X121eが日本市場に投入される。しかし、Core i3-2357MやPentium 975など、インテルプラットフォームも登場することで、Fusion APU搭載という側面に注目するより、自分にあったモデルを予算に合わせて細かく選択できる(CTOにも対応する)ことが、ユーザーには意味があるだろう。“ThinkPad Classic”を愛するベテランユーザーには、ThinkPad Edgeに近い外観が残念と映るかもしれないが、キーボードをはじめとする使い勝手は悪くない。
10万円を切る、または、6万円台から8万円で、ThinkPadシリーズに相当するユーティティを利用できるノートPCを探している企業ユーザーにとって、ThinkPad X121eは十分な性能とユーティリティを提供してくれる選択肢となるだろう。
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