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» 2011年08月29日 15時00分 UPDATE

「5GHz帯無線LANルータ」導入のススメ:第1回 無線LANのもう1つのスペック──「5GHz帯」のメリットを改めて考察 (1/2)

昨今のデジタルモノ好きであればたいてい1つは持っている「無線LAN搭載デバイス」。ただ、その中で「5GHz帯」のユーザーはどれだけいるだろうか。今回は同じ無線LANでも「5GHz帯」に注目し、メリットや利用シーンを改めて考察する。

[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]

改めて知る「5GHz帯」無線LAN

photo 5GHz帯と2.4GHz帯、2つの周波数帯に対応した最新無線LANルータの1例であるNECアクセステクニカ「AtermWM8600N」は、マルチSSID機能により5GHz帯と2.4GHz帯の2つずつ、計4つのSSIDを同時に利用できる。有線LAN搭載テレビを無線LAN対応にするイーサネットコンバータ「WL300NE-AG」(写真=右)が付属するセットパッケージも用意する

 無線LAN(Wi-Fi)は、いまやPCだけでなく、スマートフォンや携帯ゲーム機、AV機器などでのインターネット接続、相互の通信などに広く使われる無線通信手段だ。

 最大11MbpsのIEEE802.11b規格から一般ユーザーに普及してきた無線LANは、最大54MbpsのIEEE802.11a/gを経て、2011年8月現在発売される無線LAN対応機器の多くが最大150M〜450MbpsのIEEE802.11n規格(規格上は最大600Mbps)に対応する。一部3G対応のポータブル型などでIEEE802.11g止まりの製品もあるが、それは利用シーンを考慮したあえての仕様となる。基本的に、昨今の無線LANの主流はIEEE802.11nといってもいいだろう。

 そのIEEE802.11nがこれまでの規格と大きく異なるのは、送信側と受信側にそれぞれ複数のアンテナを用い、その反射波も活用してデータを同時に送受信するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術の採用や、IEEE802.11b/g比で倍となる40MHzの帯域幅を利用できる点が挙げられる。これらの技術で規格上最大600Mbpsまでの通信を可能とし、2011年8月現在、最大450Mbpsの通信速度を持つ製品も登場している。

 一方、主流のIEEE802.11nへ移行しつつ通信速度や安定性を求めるならば、無線LANには「2種類の周波数帯」があることも忘れてはならない要素だ。無線LANは、多くのユーザーが使う2.4GHz帯以外に「5GHz帯」の周波数帯でも使用できる。もちろん知っている人は多いと思うが、意外に使われていないようだ。それはかなりもったいない。

 そこで今回は、改めて「5GHz帯無線LAN」に注目してみることにした。5GHz帯とは何か、どんなメリットがあり、どんなシーンに向くかを解説する。



photo ある繁華街でチェックした2.4GHz帯無線LANアクセスポイントの電波状況。多くの人が無線LANを使う場所では電波がそれぞれ干渉しあい、ひどく混雑していることが分かる

 一般的に、無線通信における周波数帯は低い方が有利と言われる。電波は周波数が高いほど直進性が強くなり、障害物への浸透度が低く回折しにくくなるため、理論上では周波数が低い方が広く電波が届く傾向にある。

 現在広く普及しているのも2.4GHz帯を使うIEEE802.11b/g/n対応製品であり、スマートフォンや携帯ゲーム機といったPC以外のデバイスも、無線LAN対応であれば2.4GHz帯の無線LANに対応することを示している。このように2.4GHz帯に対応した製品は広く普及しており、事実上の標準。対して、2.4GHz帯と5GHz帯、両方の周波数帯に対応するには無線モジュールやアンテナも含めてそれぞれ対応する必要がある関係で、PCや一部のタブレットデバイス(iPadなど)、そして据え置き型の無線LANルータなど、少し大型、あるいは据え置き型の機器に限られてくる傾向はある。

 それなら標準である2.4GHz帯だけよいではないかと思ってしまうが、IEEE802.11n世代だからこそ無視できない2.4GHz帯と5GHz帯の相違点は多く存在する。

 まず周波数帯に関する基本点から触れよう。2.4GHz近辺の周波数帯はISMバンドと呼び、産業(Industry)、科学(Science)、医療(Medical)用途などに、一定出力以下であれば自由に使えるように解放されている。また、身近な機器では電子レンジ、PC向け機器ではBluetooth、ワイヤレスキーボードキーボード/マウス、独自規格のAV無線送受信ユニット、R/Cカーの操縦装置など、一般ユーザーの中でもかなり多くのカテゴリに渡って利用されている。つまり、2.4GHz帯は広く使われ、ユーザーも多い。ほかの2.4GHz帯無線に影響される可能性が高いわけだ。

 次に、IEEE802.11n世代だからこその2.4GHz帯における課題として、チャネル数があまりに足りないことが挙げられる。

 2.4GHz帯の無線LANでは、利用可能なチャネルとして1〜14(このうち、IEEE802.11b専用が1チャネル)までのチャネルが準備されている。それぞれチャネルの間隔は5MHzで、1チャネルあたり約20MHz幅の帯域を利用する。これを電波が重ならないよう(干渉しないよう)できるだけ多くチャネル割り当てるとなると、1/6/11(あるいは2/7/12、3/8/13)チャネルの3つしか存在しない(あとは4/9、5/10チャネルの2つ)ことになる。さらにIEEE802.11nで40MHz幅の帯域を使用する倍速モード(デュアルチャネル)となると、2つしか確保できない。

 自分1人だけ1台で使うならいいが、別の部屋、ほかの人、隣家や街の公衆無線LANサービス、ポータブル無線LANルータでも使っているとなると……ということだ。


photophoto 2.4GHz帯(IEEE802.11n)無線LANでは全13チャネルを使用できるが、チャネルの間隔が狭いために隣り合うチャネルとは帯域幅が重なってしまう。重ならないよう設定するとなるとシングルチャネルで最大3つ、40MHz幅のデュアルチャネルでは2つしか確保できない

 個人向け無線アクセスポイントは直線距離で数100メートルほどは電波が届くとされるが、こちらはあくまで最大値だ。屋内で使用するなら、特に日本のようにマンションなどで世帯が壁や床、天井越しに密接しているとなると、2.4GHz帯の無線LAN電波はそれぞれが干渉してどうしても速度の低下を招いてしまう。自身でチャネルを切り替えて干渉を避けようと努力しても、先に述べた理由で完全に干渉を避けるのは難しい。



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