“Ivy Bridge”で自作を始めたいあなたに勧める“PCパーツ購入指南”イマドキのイタモノ番外編(1/4 ページ)

» 2012年07月06日 17時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

パーツ選びは、慣れると楽しいが最初は混乱するばかり

 “Ivy Bridge”こと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーのCPUが登場してから、“PCを自作してみたい”というユーザーが増えてきている。PC DIY Expoでも、「初めてきた」「PCを自分で組み立ててみたい」という来場者がいつになく多かったという声が、出展した複数のPCパーツベンダーから上がっている。

 新世代のCPUが登場するタイミングは、ユーザーがPCの自作に興味を示すタイミングでもある。ただ、「では、なにをどうすれば、PCを組み立てられるの?」というユーザーが、意外と少なくない。ベテランの自作PCユーザーなら、一番楽しいと思う「購入するパーツ選び」も、これから始めるユーザーには、なにをそろえたらいいのか、で頭を悩ませてしまう、意外にも最初に遭遇してあきらめてしまう障害になるという。

 自作PCの組み立ては難しくない。定められたところに定められたものを差す、コネクタやケーブルを正しく方向で接続するといったあたりに注意すればいい。以前は、男性ユーザーが圧倒的に多かったが、最近では自作PCを“自分で”組む女性も増えてきた。実際、秋葉原のPCパーツショップで女性が購入する製品を探しているのを目撃する機会も増えてきた。

 やはり、楽しくも難しいのはPCパーツの選択だろう。PCパーツベンダーがたくさんあった以前ほどではないが、同じチップを実装した製品が多数並んでいる店頭から、自分に必要なものを選んでいくのは、初めてPCの自作に挑もうとするユーザーには難しい。

 この記事では、これからPCを組み立ててみたいユーザーに向けた入門講座として、「なにをそろえて、どう組み立てたらいいのか」を紹介したい。今回は日本ギガバイトとCFD販売の協力を得て、現時点で、最もコストパフォーマンスに優れているモデルを選んでみた。ここで紹介するモデルをベースにして、パーツ選びのポイントを整理しよう。「なにを買ったらいいのか分からなーい」という理由でPCの自作をあきらめてしまう前に、この記事を参考に、購入するパーツを確認してほしい。

PCの性格を決める「5種類のパーツ」

 製品それぞれについては、後ほど個別に説明するので、まずは、どんなものが必要なのかを把握しておこう。CPUやシステムメモリ、マザーボードというのは、PCパーツの“種類”で、右に掲げたのは実際に用意した製品の名前だ。このほか、PCとして使うにはディスプレイ、キーボード、マウス、光学ドライブ、そしてPCケースにOSが必要になる。ここまで含めて1台のPCを自作する予算として用意しておきたい。

 今回、CPU、マザーボード、システムメモリ、グラフィックスカード、データストレージ、そして、電源ユニットの5種類に絞って説明をするのは、この5種類が、組み立てるPCの“性格”を決定する重要なパーツだからだ。使っているときの快適さはもちろん、何ができて何ができないかも決まってくる。

今回選んだPCパーツ集合! CPUにマザーボード、システムメモリにグラフィックスカード、データストレージのSSDに電源ユニットを集めてみた

今回選んだPCパーツ
CPU Core i7-3770K(3.5GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz)
システムメモリ ELIXIR W3U1600HQ-2G(DDR3-1600、2Gバイト×2枚セット)
マザーボード GIGABYTE GA-Z77X-UD5H(ATXフォームファクタ対応。Intel Z77 Express チップセット)
グラフィックスカード GIGABYTE GV-N670OC-2GD(GeForce GTX 670)
データストレージ CFD SSD S6M4Qシリーズ CSSD-S6M128NM4Q(容量128Gバイト、Serial ATA 6Gbps対応)
電源ユニット 玄人志向 KRPW-PS700W/88+(容量700ワット、80PLUS Silver)

高性能なCPUほど多様な用途に対応できる

CPUは、インテルのCore i7-3770Kを選んだ。“Ivy Bridge”世代のCPUで、現在のところ最上位モデルになる。とはいえ、価格は3万円弱で、最上位モデルとしては割安感がある

 CPUは、現在最新の“第3世代Coreプロセッサー・ファミリー”から、最上位モデルのCore i7-3770Kを選んでいる。自作PCに関するWebページや雑誌などでは、“Ivy Bridge”世代のCPUと紹介することも多いが、この、Ivy Bridgeは開発の呼称(開発コード名という)で、インテルの正式な名称では、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーとなる。

 同じ、第3世代Core プロセッサー・ファミリーのCore i7シリーズでも複数の製品ラインアップがある。“i7-3770”でも、今回選んだCore i7-3770Kのほかに、i7-3770、そして、より消費電力を抑えたCore i7-3770SやCore i7-3770Tもある。製品名の末尾にある記号は「オーバークロックに対応」(K)や、「消費電力が低い」(S、T)ことを示すが、CPUの処理性能は、多くの場合で「動作クロック」で決まる。Core i7-3770Kは標準で3.5GHz、「Turbo Boost Technology 有効時で最大」3.9GHzとされている。基本的に、この数字が大きいとより高性能となる。ちなみに、消費電力を抑えたというCore i7-3770Sは、最大の動作クロックが3.9GHzと同じだが、標準の動作クロックは3.1GHzと、低く設定している。

 第3世代Coreプロセッサー・ファミリーはCore i7シリーズだけでない。その下位モデルには「Core i5」というシリーズもある。Core i5シリーズでも、Core i5-3570KやCore i5-3570Sといった「オーバークロック対応モデル」「低消費電力モデル」に加え、Core i5-3550やCore i5-3450といった“型番”(インテルの正式名称はプロセッサー・ナンバー)が小さいものもある。先と同様、消費電力や動作クロックが異なり、原則として型番の数字が大きいと処理速度が速いと考えていい。

 PCパーツショップの店頭(多くのショップではキャッシュカウンターのショーケースにしまっていて、価格はその天井に掲げた大きな価格表に示していることが多い)にたくさん並ぶCPUからどれを選ぶか。ベテランの自作PCユーザーの間では、「長く使いたいというのであれば2万円前後より上」という“経験則”が長年にわたって言い伝えられている。

 最新の第3世代Coreプロセッサー・ファミリーなら、Core i7であってもCore i5であっても、メールやWebページの閲覧、オフィスソフトを使った文章や表の作成、そして、音楽や動画コンテンツの視聴など、一般的な用途ではどれも十分な性能を発揮する。ただし、エンコードを要する映像関連や写真加工、3DCG、などの用途を検討しているならば、少しでも高性能なCPUを選んでおきたい。これらは、CPU性能が大きく影響するからだ。特に利用目的を決めていない場合でも、いや、その場合はなおさら、この先何をしたくなるか分からないので、何を望んでも耐えられる高性能なCPUを選んでおきたい。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー