なぜ「ポタアンを使うと音がよくなる」と言われているのか野村ケンジのぶらんにゅ〜PCオーディオ コラム(2/2 ページ)

» 2012年08月30日 17時00分 公開
[ 野村ケンジ,ITmedia]
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ポータブルプレーヤー、3つのウィークポイント

photo ウォークマンNW-A860とNW-A850

 このことから「ポータブルヘッドフォンアンプを使うと、機能面で無駄こそ生じるが、音がよくなってくれる可能性は高い」といえるが、それは本当か。最近のポータブルオーディオ機器が持つ音質につながる機器・構成的な弱点を確認し、ポータブルヘッドフォンアンプがそれをどのように改善してくれるのかを紹介していこう。

 まず、iPodやウォークマンのようなデジタルオーディオ機器において、音質の要となるパートがある。それは「DAC(Digital to Analog Converter)」「増幅回路」「ボリューム装置」の3つ。このほかにも基本回路設計など、音質に影響を与える部分はいろいろあるが、中でも影響が大きく、かつスマートフォンなどでは特に弱点になりがちなところである。

 まず「DAC」については、音声信号専用のICの内部で処理される(デジタル信号をアナログ信号に変換する)のがほとんどとなっている。こちら、変換するだけといってもそのレベルは意外と幅がある。高級モデルではノイズの影響を極力抑え、原音に忠実なアナログ信号に近づけるため、わざわざチャンネルごとに個別のDACを用意するほど重要なパートだが、ポータブル機器においてはそこまですると、サイズや重量、そして価格、バッテリー動作時間などなど音楽以外の部分の使い勝手に大きく影響してしまう。


photo iPod接続専用のUSB端子を備えるフォステクス「HP-P1」

 続いての「増幅回路」はいわゆるアンプ部分だが、信号を増幅するパートだけあって、増幅後の信号にゆがみが生じてしまいやすいパートでもある。こだわりのあるメーカーは、ゆがみを極力抑えられる高級パーツを、あるいはゆがみっぽく感じさせない音声補正的な演出を行うなど、さまざまな工夫を凝らして良質な信号を作り上げたりするのだが、この部分も機器によっては「数値的に○倍増幅されているから問題なし」と処理されることも少なからずある。結果として、質の低い信号になってしまう。

 最後の「ボリューム装置」は、「増幅回路」が音量を大きくするのに対し、逆に、聴きやすいよう好みの音量に“小さくする”ためのもの。実は、昔から音質劣化をいかに抑えるかが難しいといわれ続けた部分だ。それは抵抗などを使用して制御するアナログボリュームの話のことで、昨今のデジタルデータを直接コントロールするデジタルボリュームはもう少し容易(品質の劣化が少ない)といわれているものの、今度はビット落ち──ボリュームを小さくすると信号の情報そのものが削られてしまうという別の問題が発生する。良品質の信号を保つには、実はかなり大仰なパーツ(もしくはプログラム)が必要となってくる。ポータブル機器では“そこまではいろいろ無理”と判断されることが増えてしまう。

 このように、音質を大きく左右する3つの重大なポイントが、ポータブル機器(特にスマートフォンなど)ではおざなりに処理されてしまう。よって、音質を重視した機器ゆえにそこ補うポータブルヘッドフォンアンプは、それと比較して“いい音になる”と仮定できるといえる。

 ポータブルヘッドフォンアンプは、サウンドに関わる重要な部分を改善する特性を持つので、いい/悪い・好き/嫌いは別にして効果・変化は確実に表れる。その効果は、利用するプレーヤーやヘッドフォン/イヤフォンの種類、接続スタイルによって変わるわけだ。

 (続く

 次回は、それならiPod/iPhone、ウォークマン、スマホに、例えばどんな仕様のものが向くのか──を紹介する。

 ※一部記述に誤記がありましたので上記の通り修正いたします



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