各社のモバイルOSがARMプラットフォームをターゲットにしてきたこともあり、Intelのスマートフォン向けCPUを採用する製品は多くが市場に投入されることなく、長らく受難の時期にあった。だが、2011年9月のIntel Developer FormでGoogleとの提携を発表し、Android OSのx86プラットフォームへのポーティングを積極的に推進する方針を明らかにしたことで、2012年にはAndroidとAtomを採用するスマートフォン7機種が市場に登場した。
2013年におけるIntelの目標は、この路線を維持するとともに、新たにバリューセグメントと呼ばれる低価格端末市場をターゲットとした「Lexington」プラットフォームを投入することを発表した。
日本はハイエンドモデルが中心ということもあり、低価格モデルは身近な存在ではないかもしれないが、中国を中心としたアジア、南米、アフリカなど、主に発展途上国への提供を念頭に置いたものとなる。低価格モデルとはいっても一昔前のハイエンドスマートフォンクラスの性能がある。Intelが提示するLexingtonのリファレンスプラットフォームは、3.5型ディスプレイ、デュアルSIMを搭載、FMラジオ受信、microSDカードスロット、そして、Intel Wireless Display(WiDi)にまで対応する。ただ、実際に導入する機能の選択は、デバイスメーカーに委ねられるが、Atom Z2420のSoCに、HSPA+対応のXMM 6265モデムチップを加える構成で、低価格ながら高い性能を持つデバイスの開発に必要十分な環境を用意している。
米Intelモバイル&コミュニケーション部門ジェネラルマネージャー 兼 バイスプレジデントのマイク・ベル氏は、「2015年までに5億台という急成長市場」と説明しており、今後この市場がデバイスメーカー各社のシェアを決定する重要な要素になると考えている。今後も成長を望むのであれば、新興国市場やミドルレンジ以下のデバイスを充実することは、メーカーにとって避けて通れない問題だからだ。現時点でAcer、Safaricom、Lavaの3社が、Lexingtonを搭載するデバイスの投入を表明している。
このほか、Intelでは従来のハイエンド市場向けCPUとして「Clover Trail+」の提供を表明しているが、この詳細は2月末にスペインのバルセロナで開催するMobile World Congress(MWC)で公開することになる。Lexington搭載デバイスと合わせて、Clover Trail+搭載デバイスについてもIntelから改めて発表があるはずだ。
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