Tegra 4シリーズの最上位モデル「Tegra 4」では、CPUコアにARMの最新CPUコア「Cortex-A15」を採用することで、現行製品のTegra 3よりも高い性能を実現している。一方、エントリーモデルとなる「Tegra 4i」では、Tegra 3が組み込んでいるARM Cortex-A9コアの改良版を採用し、グラフィックスコアはTegra 4より少ない60コアを統合している。
Tegra 4iでは、プロセスルールを従来の40ナノメートルから28ナノメートルに変更することで、CPUコアの面積を抑えるとともに、省電力化も可能にした。しかし、同じCPUコアである以上、動作クロックが同じならCPUそのもののパフォーマンスは変わらない。そこで、NVIDIAはTegra 4とで採用している省電力デバイス向けの28ナノメートルプロセスルールとは異なり、高性能モバイルデバイス向けの最新プロセスを採用することで、より高速な動作を可能にして高性能化を図っている。
この工夫は、レーシングカー向けの素材を使ってエンジンの小型・軽量化を図り、通常よりも高い性能を実現した改良にも似ている。Tegra 4を「強力な新型エンジンを搭載したスポーツカー」とするならば、Tegra 4iはボディを軽量化することで性能を追究したライトウェイトスポーツカー」に例えることができる。しかも、両モデルとも、ハイブリッド車のように通常のエンジンのほかに、もう1つの省電力コアを搭載しているのも特徴だ。
同社が「4+1」と呼ぶ、4つのCPUコア(クアッドコア)と、省電力オペレーション専用のシングルコア(+1)の組み合わせは、現行のTegra 3から採用した、競合製品にはない構成だ。NVIDIAは、Tegra 4においてこの構成と挙動に改良を加え、省電力性を高めている。
この4+1コア構成は、通常の状態で高性能なクアッドコアに対してCPU負荷に応じて利用するコア数を動的に制御することで、積極的に消費電力を抑えている。しかし、スマートフォンやタブレットデバイスで利用するモバイルプロセッサは、CPUやグラフィックス機能のほかに、デジタルカメラの画像処理を行なうイメージプロセッサや、ビデオ専用エンジン、オーディオ機能など、さまざまな固有機能を統合しており、ビデオ再生などでは、ほとんどCPUに負荷がかからない。そこで、Tegra 3から採用している4+1コア機能では、CPUの負荷が極端に低くなった場合、クアッドコアのシングルコア動作から、省電力処理専用コアに切り替えることで、さらなる省電力化を図る。
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