大解説! Tegra 4シリーズの「性能密度」に迫るMobile World Congress 2013(4/4 ページ)

» 2013年02月26日 12時30分 公開
[本間文,ITmedia]
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Tegra 4で改善した「4+1コア」の動き

 Tegra 4では、この機能に改良を加え、CPUが繰り返し利用するデータを格納しておく2次キャッシュメモリを、4つのコアで共有する2Mバイトの領域とは別に、省電力動作のシングルコアにも専用の512Kバイトの領域を確保することで、省電力動作時は2Mバイトの2次キャッシュメモリも完全にオフにして、さらに消費電力を削減できるようにしている。NVIDIAは、Tegra 4シリーズの開発にあたり、数ミリワット単位の省電力化を積み重ねることで、このシリーズを搭載するスマートフォンの待機電力を10ミリワット台にまで抑えることを可能にしている。

Tegra 4搭載スマートフォンの消費電力。ライバルとなるQualcommのSnapdragon S4 Pro搭載スマートフォンよりも優れた省電力性を見せる

 NVIDIAが普及価格帯のスマートフォン向けとする、Tegra 4iでは、同社が2011年に買収した英IceraのLTEモデムも統合し、スマートフォンの設計を容易にしている。しかも、Iceraの携帯通信用モデムは、ソフトウェアモデムという手法を取ることで、アップグレードも容易にできる特徴を持つ。Tegra 4iに統合する「i500」ソフトウェアモデムは、より高速なLTE規格にも将来的に対応できる半導体設計を実現している(ただし、通信規格の認証などを受ける必要があるため、製品レベルでアップデートができるとは限らない)。

 NVIDIAは、Tegra 4iを第2四半期中に顧客向けにサンプル出荷を開始する予定だ。このとき、Chimeraなどもサポートしたスマートフォンのリファレンスデザインも示すことで、パートナーメーカーが製品を開発する時間の短縮や負荷軽減を図る。これにより、2013年の年末にはTegra 4iを搭載したスマートフォンが市場に登場する見込みで、Tegra 4iのバリュークラスモデルを採用する製品の実売予想価格は100ドル台と、従来の高性能なスマートフォンが低価格で購入できるようになりそうだ。一方、上位モデルのTegra 4については、2013年第2四半期中に採用モデルが登場し、2013年後半には日本市場でも製品が店頭に並ぶとみられている。新しい写真表現をスマートフォンやタブレットデバイスで楽しめるようになる時期も、そう遠いことではなさそうだ。

Tegra 4iのリファレンススマートフォンプラットフォーム「Phoenix」(写真=左)とその基板(写真=中央)。Phoenixには、Tegra 4iだけでなくTegra 4も搭載できるようにリファレンス基板を設計している。上がTegra 4で下がTegra 4i搭載モデルの基板だ(写真=右)

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