・→Xperia Tablet Z マニアックス(2):密閉された極薄ボディは熱くならないのか?――「Xperia Tablet Z」
昨今は膨大な数のタブレットデバイスが登場し、市場をにぎわせているが、突出した魅力を放つ製品となると非常に少ない。そんなスペシャルな製品の1つが、ソニーの3世代目となるAndroidタブレット「Xperia Tablet Z」だ。
1920×1200ドット(WUXGA)の10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載していながら、厚さ6.9ミリ(最厚部で7.2ミリ)、重さ約495グラムという“超”薄型軽量ボディを実現したうえ、防水(IPX5/7相当)と防塵(IP5X相当)の性能まで兼ね備えた挑戦的な1枚に仕上がっている。
その磨き上げたスリムボディは、10型クラスの液晶ディスプレイを搭載するタブレットで世界最薄にして国内最軽量。10型以上の防水タブレットでは、世界最軽量を誇る(2013年2月26日現在/ソニー調べ)。
もちろん、持ち運びやすさだけにこだわったタブレットでは注目に値しない。Xperia Tablet Zは、内部アーキテクチャの刷新、液晶ディスプレイの高画質化、カメラの強化など、タブレットとしての性能と機能にも力を入れているのだ。
それでは、薄型軽量と、高性能および高機能、これら相反する要素をどのようにバランスさせているのか。今回からスタートする特集では、Xperia Tablet Z(主にWi-Fiモデルの「SGP312JP/B・W」)をよりディープに検証していく。第1回目のテーマは「パフォーマンス」だ。
なお、PC USERではこれまでにXperia Tablet Zの試作機によるレビューや開発者インタビューを数回に渡ってお届けしてきた。詳しくは以下の記事をご覧いただきたい。
極薄の外観に目を奪われがちなXperia Tablet Zだが、前モデルの「Xperia Tablet S」から基本スペックを大幅に変更しているのも見逃せない。Xperia Tablet Zはスマートフォンの「Xperia Z(SO-02E)」と平行して開発が行われ、2つを一緒に使うことで、ソニーならではの付加価値をもたらすことが重要な製品コンセプトになっている。
具体的には、スマートフォンとハードウェアの基本設計を共通化するため、核となるSoC(System-on-a-Chip)はXperia Tablet SのNVIDIA Tegra 3からQualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064に切り替えた。性能を確保しながら、消費電力を抑え、放熱設計が比較的容易なSoCを選択した結果という。メモリ(RAM)は従来比で2倍となる2Gバイト、ストレージ容量は32Gバイトで、足りないぶんは本体内蔵のSDXC対応microSDカードスロットで補うことになる。
今回は各種ベンチマークテストでXperia Tablet Zのパフォーマンスを調べていこう。比較対象として、前モデルのXperia Tablet S(SGPT123JP/S)も同条件でテストしたほか、参考までにハイスペックな10型タブレット「Nexus 10」、人気の7型タブレット「Nexus 7」、そして5型フルHD液晶のスマートフォン「Xperia Z(SO-02E)」といったAndroid搭載デバイスのスコアも併記した。
テスト結果を比較したタブレットの仕様は下表にまとめた(スマートフォンのXperia Zは除く)。ハードウェアスペックに加えて、Android OSのバージョンも少しずつ違う点にはご留意いただきたい。
今回テストしたタブレット | ||||
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製品名 | Xperia Tablet Z Wi-Fi (SGP312JP/B) | Xperia Tablet S (SGPT123JP/S) | Nexus 10 (16Gバイトモデル) | Nexus 7 (16Gバイトモデル) |
メーカー | ソニー | ソニー | Google (Samsung Electronics製) | Google (ASUSTeK Computer製) |
OS | Android 4.1.2 | Android 4.1.1 | Android 4.2.2 | Android 4.2.1 |
液晶ディスプレイ | 10.1型IPS | 9.4型IPS | 10.055型IPS ※PLS | 7型IPS |
画面解像度 | 1920×1200ドット (約224ppi) | 1280×800ドット (約160ppi) | 2560×1600ドット (約300ppi) | 1280×800ドット (約216ppi) |
SoC | Qualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064 | NVIDIA Tegra 3 | Samsung Electronics Exynos 5 | NVIDIA Tegra 3 |
CPUコア | Krait (クアッドコア、1.5GHz) | Cortex-A9 (クアッドコア+コンパニオンコア、1.3GHz) | Cortex-A15 (デュアルコア、1.7GHz) | Cortex-A9 (クアッドコア+コンパニオンコア、1.3GHz) |
GPUコア | Adreno 320 | ULP GeForce (12コア) | Mali T604 MP4 (クアッドコア) | ULP GeForce (12コア) |
メモリ | 2Gバイト | 1Gバイト | 2Gバイト | 1Gバイト |
ストレージ | 32Gバイト | 64Gバイト | 16Gバイト | 16Gバイト |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、NFC | IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0 | IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC | IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC |
カメラ | 220万画素(イン)、810万画素(アウト) ※いずれも「Exmor R for mobile」 | 100万画素(イン)、800万画素(アウト) ※アウトのみ裏面照射型CMOS | 約190万画素(イン)、約500万画素(アウト) | 約120万画素(イン) |
搭載センサー類 | GPS、デジタルコンパス、照度、3軸加速度、ジャイロ、FMラジオ | GPS、デジタルコンパス、照度、3軸加速度、ジャイロ | GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ、気圧計 | GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ |
カードスロット | microSDXCカード(SDXC対応) | SDメモリーカード(SDHC対応) | − | − |
インタフェース | Micro USB(MHL対応)×1、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用×1、赤外線(リモコン用) | マルチポート(HDMI出力、USBにオプション対応)×1、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用×1、赤外線(リモコン用) | Micro USB、Micro HDMI、ヘッドフォン出力 | Micro USB、ヘッドフォン出力 |
スピーカー | ステレオ | ステレオ | ステレオ | ステレオ |
マイク | モノラル | モノラル | モノラル | モノラル |
バッテリー駆動時間 | 音楽再生時:約110時間、ビデオ再生時:約10時間、Wi-Fi Web閲覧時:約8.2時間 | スタンバイ時:約1050時間、ビデオ再生時:約12時間、Wi-Fi Web閲覧時:約10時間 | スタンバイ時:約500時間、ビデオ再生時:最大9時間、Wi-Fi Web閲覧時:最大7時間、音楽再生:最大90時間 | ビデオ再生時:最大9.5時間 |
外形寸法(幅×高さ×厚さ) | 266×172×6.9〜7.2ミリ | 239.8×174.4×8.8〜11.85ミリ | 263.9×177.6×8.9ミリ | 198.5×120×10.4ミリ |
質量 | 約495グラム | 約570グラム | 約603グラム | 約340グラム |
防水/防塵 | 防水(IPX5/7)、防塵(IPX5X) | 防滴(IPX4) | − | − |
まず実行したのは、CPU、メモリ、2D/3Dグラフィックス、インタフェースなど総合的なパフォーマンスを測定する定番ベンチマークテストの「Quadrant Professional Edition 2.1.1」(Aurora Softworks)と「AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.3」(AnTuTu)だ。
結果は、どちらのテストもXperia Tablet ZとXperia Zが飛び出し、Quadrantで8000以上、AnTuTuで約2万という優秀なスコアだった。Xperia Zは同じSoCを採用したスマートフォン(メモリは1Gバイト、ストレージは16Gバイト)だが、全体的にXperia Tablet Zのほうがわずかに上回っている。ちなみに、Xperia Zは何度か連続してベンチマークテストを実行すると、ボディが発熱し、放熱面の配慮からスコアが低下することもあった。
前モデルのXperia Tablet Sと比較した場合、Quadrantの総合スコアは約1.85倍、AnTuTuの総合スコアは約1.67倍も伸びており、予想以上の好結果だ。Xperia Tablet Sと同じくNVIDIA Tegra 3を搭載したNexus 7はもちろん、Samsung ElectronicsのExynos 5を備えたNexus 10にも大差を付ける結果となった。体感では、テスト結果の差ほど速度に違いを感じないが、パフォーマンスは良好といえる。
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