マルチフリップヒンジを備えた2in1デバイスとしてはVAIO Fit 13A、画面サイズ11.6型の軽量モバイルノートPCとしてはVAIO Pro 11――それぞれ実績があるだけに、それらを融合させたようなモデルであるVAIO Fit 11Aの完成度も高い。VAIO Fit Aシリーズのよく練られた変形機構を保ちつつ、VAIO Pro 11とほぼ同じフットプリントで、より持ち運びやすくなったボディサイズは大いに魅力的だ。
また、Bay Trail-Mのパフォーマンスも最近注目度が増しているタブレット用のBay Trail-T(Atom Z3000シリーズ)に勝り、Windows 8.1をストレスなく操作できる。Bay Trail-Tほど省電力ではなく、InstantGoには非対応ながら、ノートPCの体験をベースに、タブレットの価値を付加する思想のVAIO Fit 11Aでは、Bay Trail-Mを選択して正解ではないか。熱設計にも余裕が感じられ、モバイルPCとして実にスマートな仕上がりだ。
VAIO Fit 13Aの重さや画面サイズを考えると、約1.28キロという重量は惜しいが、軽さを追求したモバイルノートPCとしてはすでにVAIO Pro 11があり、手軽に持ち運んで使える薄型かつ高性能のWindowsタブレットとしてはVAIO Tap 11もある。完全にこれまでと同じモバイルノートPCのスタイルで持ち運びつつ、タブレットとしても活用できる2in1を、より入手しやすい価格帯にまとめていること、それがVAIO Fit 11Aの強みだ。
店頭モデルのSVF11N19EJSは、Celeron N2920(1.86GHz)、4Gバイトメモリ、128GバイトSSDの構成で、実売価格が13万円前後(税込)の見込みだ。Office Home and Business 2013やPhotoshop Elements 12をプリインストールしていることを考えれば、競争力は十分あるだろう。
とはいえ、オフィススイートが不要、あるいはよりハイスペックな構成を求めるならば、ソニーストアが取り扱うVOMモデル(SVF11N1A1J)のほうが、買い得感は高い。最小構成では10万2800円(税込)から購入でき、今回テストしたハイスペック構成でもオフィス抜きで13万9800円(税込)におさまるからだ。VAIO Fit 11Aのコンセプトに共感したユーザーは、同ストアで仕様と価格をシミュレーションしてみることをおすすめしたい。
なお、PC USERでは今後、VAIO Fit 11Aをさらに掘り下げてレビューしていく。店頭モデルとVOMモデルの性能比較や、独自アプリを含めた使い勝手のチェックなどを順次行う予定だ。
・レビュー追補編(1)→VAIO Fit 11Aをもっと知りたい(性能検証編):「VAIO Fit 11A」の直販ハイエンド構成と店頭モデルを徹底比較する
・レビュー追補編(2)→VAIO Fit 11Aをもっと知りたい(使い勝手編):「VAIO Fit 11A」のペン入力、画質、音質をじっくりチェックする
VAIO Fit 11A(SVF11N1A1J)の主な仕様 ※今回試用した評価機の構成 | |
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製品名 | VAIO Fit 11A(SVF11N1A1J) |
メーカー | ソニー |
OS | 64ビット版Windows 8.1 |
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約285×198×16.5〜19ミリ |
重量(実測値) | 約1.28キロ(1.211キロ) |
画面サイズ(液晶方式) | 11.6型ワイド(IPS)、トリルミナスディスプレイ for mobile、オプティコントラストパネル搭載 |
アスペクト比 | 16:9 |
タッチパネル | 静電容量式(10点マルチタッチ) |
デジタイザ | −(オプションで筆圧対応のデジタイザスタイラスを用意) |
ディスプレイ解像度 | 1920×1080ドット(約190ppi) |
CPU(コア数/スレッド数) | Pentium N3520(4/4) ※BTO選択可 |
動作周波数 | 2.166GHz/最大2.42GHz |
チップセット | CPU内蔵 |
vPro | − |
GPU | CPU統合(HD Graphics) |
メモリ | 8Gバイト(DDR3L 1333MHz/最大8Gバイト) ※BTO選択可 |
メモリスロット(空きスロット数) | オンボード、デュアルチャンネル転送対応 |
ストレージ(評価機実装) | 256GバイトSSD(TOSHIBA「THNSNJ256GVNU」) ※BTO選択可 |
ストレージフォームファクタ | M.2 |
ストレージ接続インタフェース | Serial ATA 3Gbps |
光学ドライブ | − |
無線LAN | IEEE802.11b/g/n(Broadcom「BCM43142」) |
Bluetooth | Bluetooth 4.0+HS |
NFC | 搭載 |
センサー | 加速度、ジャイロ、地磁気、照度 |
有線LAN | −(オプションでACアダプタ接続用の小型Wi-Fiルータを用意) |
ワイヤレスWAN | − |
キーボード | 日本語JIS 87キー |
キートップ仕様・形状 | アイソレーション |
キーピッチ | 約16.95ミリ(縦実測約16.5ミリ) |
キーストローク | 約1.35ミリ |
キーボードバックライト | 搭載 ※BTO選択可 |
ポインティングデバイス | タッチパッド(左右ボタン統合) |
主なインタフェース | USB 3.0×2(1基は電源オフチャージ対応)、HDMI出力×1、ヘッドフォン(3.5ミリ)、DC入力(丸形)、Webカメラ(イン92万画素“Exmor R for PC” CMOS/アウト799万画素“Exmor RS for PC” CMOS) |
メモリカードスロット | SDメモリーカード(SDXC対応) |
SIMカードスロット | − |
その他カードスロット | − |
スピーカー(音質補正ソフトウェア) | ステレオ(ClearAudio+、xLOUD、CLEAR PHASE、S-FORCE Front Surround 3D、VPT、Voice Zoom、Sound Optimizer) |
マイク | モノラル |
指紋センサー | − |
セキュリティデバイス | − |
セキュリティロックポート | − |
バッテリー動作時間 | 約8時間 |
バッテリー仕様 | 23ワットアワー |
ACアダプタ実測サイズ(幅×奥行き×高さ) ※プラグ含まず | 39×104×27ミリ |
ACアダプタ実測重量(本体のみ/ケーブル込み) | 171グラム/214グラム |
ACアダプタ出力仕様 | 19.5ボルト/2.0アンペア、5ボルト/1.0アンペア(USB) |
ACアダプタ対応電圧 | 100〜240ボルト(50/60Hz) |
DC端子形状 | 丸形 |
プラグケーブル端子形状(ACアダプタ側) | 2ピンメガネ型 |
防水/防滴 | − |
カラーバリエーション | ブラック ※BTOでピンク、シルバー選択可 |
オフィススイート | − ※BTO選択可 |
価格(税込) | 13万9800円 |
発売日 | 2014年2月22日 |
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