ケイ・オプティコムは、提供中のMVNOサービス「mineo」(マイネオ)の通信料値下げや通信量の増量などを含む料金プランの変更、モバイルWi-Fiルーターを含む新機種の投入、直近3日間の通信量を元にした速度制限の撤廃を発表した。
新料金プランは、通信量1Gバイトが月額850円(税別、以下同)、2Gバイトが980円、4Gバイトが1580円の3つのプランで、音声通話を利用可能な「デュアルタイプ」は、それぞれのプランにプラス610円/月の支払で利用可能。新料金プランは2月1日より適用される。
mineoでは、2014年11月から1月までの間、全てのユーザーに対して通常利用可能な容量に1Gバイトを追加する「1GBパケットギフトキャンペーン」を開催していたため、料金プランの変更前からキャンペーンによって通信量2Gバイトが月額980円で利用可能だった。
しかし、このキャンペーンを抜きにすると「1Gバイトで月額980円」のプランであったため、ドコモ系のMVNOで一般的な「2Gバイトで月額980円」と比べると割高になる点を考慮し、より競争力のある料金プランが新たに設定された。
新料金プランの提供開始日である2月1日にあわせて、通信速度制限も緩和される。mineoでは、直近3日間での通信量が500Mバイトを超えたユーザーに対して通信速度制限を行っているが、2月1日以降は全てのプランでこの制限が撤廃される。料金プランの改定だけでなく、通信速度制限の緩和も嬉しいサービス改善と言える。
また、新機種としてNEC製のモバイルWi-Fiルーター「MR03LE」や京セラのスマートフォン「LUCE」(ルーチェ)が発表された。WiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルーターを除けば、MR03LEはKDDIのLTEに対応する初の個人向けモバイルWi-Fiルーターとなる。なお、MR03LEはmineoのSIMカードとのセット販売のみとなっており、端末単体での販売は行われていない。
MR03LEは、ドコモのMVNO向けに販売されているモバイルWi-Fiルーター「MR03LN」の兄弟機といえる仕様となっており、Bluetoothテザリングでの連続通信時間が24時間、タッチパネル操作への対応、IEEE802.11acへの対応など、両機種の主要スペックはほぼ同一だ。
KDDIのLTEネットワークは、2014年3月の時点で実人口カバー率が99%を超えているほか、下り最大150Mbpsに対応する基地局が2万局を突破しており、LTE対応エリアの広さ&速度面は魅力的。ただし、mineoにて販売されるMR03LEはキャリアアグリゲーションに非対応となっているため、下り最大150Mbpsで利用可能なエリアはキャリアアグリゲーション対応機種と比べると狭くなっている点に注意が必要だ。
KDDIの子会社「KDDIバリューイネイブラー」は、auの4G LTEに対応するサービス「UQ mobile」を開始した。
データ通信量2Gバイトで月額980円、データ通信量に制限のない「データ無制限プラン」は月額1980円にて提供される。データ無制限プランの通信速度は300kbpsに制限されるが、2015年12月31日までのキャンペーン期間中は500kbpsで利用できる。
音声通話対応プランは、それぞれのデータ通信専用プランに700円が上乗せされるほか、契約から12カ月間の最低利用期間が設定され、最低利用期間中にサービスを解約すると9500円の契約解除料が発生する。
UQ mobileはケイ・オプティコムの「mineo」に続いて、KDDIのMVNOサービスとしては2社目になる。mineoが店頭での申込を受け付けていないのに対して、UQ mobileではエディオン、ビックカメラ、ソフマップ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラなど家電量販店で申込が可能なため、オンラインでの契約にハードルを感じるユーザでも安心して契約ができる。また、一部店舗では即時開通にも対応しており、MNPでの乗換を考えているユーザには嬉しい。
提供元のKDDIバリューイネイブラーという社名から、同社の役割がMVNOを支援するMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)にも思えるが、家電量販店などで取扱いされるUQ mobileは同社ブランドのMVNOサービスであり、WiMAXサービスのように各家電量販店自身が別ブランドでMVNOサービスを提供するモデルとは異なっている。
なお、UQ mobileは、KDDIグループである「UQコミュニケーションズ」が展開する“UQ”ブランドを使ったサービスとなっているが、UQ mobileとUQコミュニケーションズの提供するUQ WiMAXサービスとの連携などは一切無い。
mineoの新料金プランや、UQ mobileのスタートによって、ドコモ系のMVNOが大半を占めているMVNO市場でどれだけ契約者数を伸ばせるか、KDDIのMVNO陣営にも注目したい。
ドコモ系のMVNOでは、DMM.comがデータ通信量1Gバイトで月額660円からとなる「DMM Mobile」を提供開始した他、OCN モバイル ONEが通信容量の繰り越しサービスを発表するなど、新規参入だけでなく既存の事業者を含めて厳しい競争が続いている。
新規参入となるDMM mobileの武器は、データ通信が月額660円からという安さに加えて、通信量が1Gバイト/3Gバイト/5Gバイト/7Gバイト/8Gバイト/10Gバイトと必要に応じた容量を選択できることだが、料金プランの変更には非対応となっているため、料金プランの決定は慎重に行う必要がある。
DMM mobileのサービスはデータ通信のみに対応する「データSIMプラン」と、音声通話にも対応する「通話SIMプラン」があり、料金は以下の通り。プラン(データ容量)によって通話対応で加算される月額料金が異なる。最低利用期間はデータSIMプランで利用開始月の月末まで、通話SIMプランは12カ月間で解除料は9000円。
プラン | 1Gバイト | 3Gバイト | 5Gバイト | 7Gバイト | 8Gバイト | 10Gバイト |
---|---|---|---|---|---|---|
データSIMプラン | 660円 | 1280円 | 1780円 | 2280円 | 2780円 | 3680円 |
通話SIMプラン | 1460円 | 1980円 | 2380円 | 2880円 | 3580円 | 4480円 |
差額 | 800円 | 700円 | 600円 | 600円 | 800円 | 800円 |
上記のほか、8Gバイトおよび10GバイトプランにはSIMカードを最大で3枚まで追加できるプランが提供されており、データSIMプランの場合は追加費用なし、通話SIMプランの場合は1枚あたり月額800円でSIMカードを追加できる。データSIMであれば追加費用が無いので、複数の端末でデータ通信を利用するユーザにとってはうれしい。
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