「海外でスマホを使うと料金が高いんだよなぁ……」というイメージを持っている人は少なくないと思います。それゆえに、海外用のレンタルルーターを借りたり、現地でプリペイドSIMカードを購入したりといった節約策をとっている人もいるでしょう。
しかし、最近は大手キャリアの国際データローミングサービスの低廉化が進み、「eSIM」「クラウドSIM」を活用して海外でも安価に使えるモバイルWi-Fiルーターも充実してきました。
そこで今回は、海外渡航者向け通信サービスの最新情報をお届けします。
まず紹介するのは、大手キャリアの国際ローミングサービスを利用する方法です。
ローミングでデータ通信するには、海外に到着後「データローミング」をオンにするだけ。特別な設定は不要で、すぐにデータ通信できます。
しかし、利用料金は各キャリアが横並びで安いものでも「2980円/1日」という設定の時代が長く続きました。ある意味で「一番手軽だけど最も高い」選択肢だったのです。
この状況を最初に変えたのはNTTドコモです。
ドコモが2013年12月に提供を開始した「海外1dayパケ」は渡航先によって「24時間あたり980〜1580円」という価格設定で、従来の「海外パケ・ホーダイ」より安価な上、利用時間が「利用開始操作から24時間」と分かりやすいことが大なメリットでした。
しかし、データ通信容量の上限が24時間あたり30MBで、制限後の通信速度が上下最大16kbpsと超が付くほど低速であるという弱点がありました。
そこに対抗してきたのが、au(KDDIと沖縄セルラー電話)です。
auが2016年8月から提供を開始した「世界データ定額」は「24時間あたり980円」というワンプライスな上、国内のデータ(パケット)定額プランの通信容量の範囲内で高速通信できるというドコモの海外1dayパケにはない大きな強みを持っています。
「追加料金を払えば、国内の通信容量を持ち出せる」というサービスの作りは、非常に分かりやすいです。その追加料金は980円という“高くも安くもない”絶妙な設計で、auにとってもにユーザーにとっても、ある意味で「Win-Win」なサービスです。
「料金は高いけど通信容量に制限なし」か「料金は安いけど通信容量に厳しい制限あり」しか選択肢がなかったデータローミングの世界に、auは「風穴」を開けたのです。
このauの動きに対抗してか、ドコモは2016年7月から4カ国を対象に海外dayパケの通信容量制限を実質ゼロにするキャンペーンを開始。最終的に17の国・地域まで対象を広げ2018年3月14日までキャンペーンを継続しました。
キャンペーンが終了した翌3月15日からは、海外1dayパケの事実上の後継サービス「パケットパック海外オプション」の提供を開始しました。海外1dayパケからの変更点は料金が一律「24時間あたり980円」となったことと、データ容量を国内のパケットパック(データ定額)と共有するようになったこと。
ある意味でauの世界データ定額に追いついたともいえますが、追いつくのにちょっと時間がかかりすぎた印象もあります。今後、ドコモが海外ローミングでどこまで巻き返せるのか、注目したいところです。
ドコモのパケットパック海外オプションとauの海外データ定額は、下手に海外用モバイルルーターを借りたり、現地のプリペイドSIMカードを買ったりするよりも安価です。「海外ローミング=高い」の図式は、少なくともデータ通信の面では必ずしも当てはまらなくなったといえるでしょう。
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