記事前半では実際のファイルコピー速度などを実測するテストを行ったが、ここからは定番のベンチマークテストプログラムでPortable SSD T3の基本的なパフォーマンスをチェックしていく。PC環境は実測でのテストと同様だ。
ストレージ性能を計測する定番のベンチマークテスト、CrystalDiskMark 5.1.2の結果から見てみよう。Portable SSD T3は外付けのポータブルストレージということで、ファイルのコピーが中心の使い方になる。従って、QD1のシーケンシャルリード/ライト(上から3段目の数値)が最も参考になるだろう。
デスクトップPC環境でのスコアは、QD1シーケンシャルリード/ライトとも410MB/秒前後と公称値に近いスコアが出ている。同環境で測定した先代のPortable SSD T1とほとんど同じだ。QD1シーケンシャルリード/ライトだけでなく、QD1のランダムリード/ライトやQD32のテストでもほとんど同じだった。Portable SSD T3に関しては、ノートPCの環境でも測定した。若干ライト性能のスコアが下がっている。
比較用の外付けHDDは、QD1シーケンシャルリード/ライトが110MB/秒前後だった。2.5インチの外付けHDDとしては速い方だろう。Portable SSD T3のスコアは4倍には少し届いていないが、4倍近いスコアではある。
また、Portable SSD T3については、AS SSD Benchmark 1.8.5636.37293、ATTO Disk Benchmark 2.46でも測定した(いずれもデスクトップPC環境)。前者のシーケンシャルリード/ライトのスコアは、CrystalDiskMarkにおけるQD1シーケンシャルリード/ライトのスコアとほぼ同じだ。後者のシーケンシャルリード/ライトは最高で470MB/秒前後と、公称値を上回るスコアが出た。総合的に見て、リード/ライトともに公称値近い性能をしっかり発揮できている。
今回テストしたPortable SSD T3の250GBモデル(MU-PT250B)は、1万7980円前後(税込)で販売されている。その他のモデルは、500GB(MU-PT500B)が2万7980円前後、1TB(MU-PT1T0B)が5万3980円前後、2TB(MU-PT2T0B)が10万7800円前後だ。
2.5インチのSSDは低価格化が進んでおり、同社の製品でも、V-NANDを採用した「850 EVO」の250GBモデルは1万円〜1万1000円前後で買える。2.5インチSSD/HDDを外付けにできるケースも2000円程度からあり、それと比べれば少し割高かもしれない。
しかし、この小型軽量ボディーがもたらす携帯性は、そうした2.5インチSSDを外付けストレージ化することでは得られない大きなアドバンテージだ。金属製で質感に優れ、耐衝撃性という点でも安心感が高い。さらに将来有望なUSB Type-Cポートを搭載していることや、パスワード保護ツールも付属していることを考えると、コストパフォーマンスは悪くない。
HDDとの性能比較では、一部で差が小さい内容もあったものの、ベンチマークテストのスコアだけでなく、リアルな活用シーンでもはっきりと優位があることを確認できた。携帯での利用を考えると、動く部品がない安心感も大きなメリットだ。既にシステムドライブとしてSSDを導入しているユーザーは多いだろうが、いよいよポータブルストレージにも導入を考えていい段階に来ているのではないか。
中でもこのPortable SSD T3は、実際に携帯するうえで魅力的な要素がそろっており、ポータブルSSDの有力な選択肢と言える。
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