読者の方々が利用している音楽ソフト・サービスで最も多いのは、恐らく「iTunes」ではないだろうか。iPod時代から含めて十数年、取り込んだ曲数や購入した楽曲の数を合計すると1万曲は優に超えているという人も、そう珍しくはないだろう。
現在は、クラウドにアップロードしたiTunesの楽曲を複数のデバイスで聴ける「iTunes Match」というサービスが有料で用意されている。Appleはこれ以外に「Apple Music」という音楽配信サービスを運営しており、関係性が少々ややこしいのだが(筆者もDRMの有無が違うこと以外に正確に説明できる自信がない)、いずれにせよ言えるのは、現在これらはGoogle Homeとは連携していないということだ。
Appleが年内に米国などで発売を予告しているSiri対応スマートスピーカー「HomePod」は、Apple Musicに最適化していることが大きな強みであり、それ故ライバルにあたるGoogle Home上で、Apple MusicやiTunesの楽曲を聴けるようになる可能性は、かなり低いと言っていいだろう(ちなみにAlexa対応スマートスピーカー「Amazon Echo」も現状ではApple Musicと連携していない)。
しかし、ある方法を使えば、iTunesに登録されている曲、さらにはプレイリストに至るまで、Google Homeから呼び出して再生できるようになる。今回はその手順を紹介する。
詳しい人は既にピンと来ていると思うが、iTunesの曲をGoogle Homeで再生するには、「Google Play Music」の活用がキモとなる。
Google Play Musicには、手持ちの楽曲(最大5万曲)をクラウドにアップロードできる機能がある。ご丁寧にも、アップロードを行うためのソフト「Google Play Music Manager」には、iTunesの曲やプレイリストを丸ごと取り込む機能が用意されているほどだ。
つまりこの機能を使えば、iTunesの曲を、Google Play Musicが利用できるデバイスで聴けるようになる。「iTunesの曲をAndroidスマホで聴きたい!」と思って調べを進めると、大抵はこの方法に行き着くので、試したことがある人も多いはずだ。一度設定すれば、iTunesに新しい曲を追加すると、自動的にGoogle Play Musicに同期されるのも魅力だ。
そしてこのGoogle Play Musicは、前回も紹介したように、Google Homeから呼び出しての再生に対応する。つまりこの両者を組み合わせれば、iTunesの曲をGoogle Homeで聴くことが可能になるというわけだ。手持ちの音楽ファイルを全てiTunesで管理している人にとっては朗報だろう。
では具体的な手順を紹介しよう(今回はWindows版を使って紹介する)。詳細な手順はスクリーンショットを参照いただければと思うが、大まかな流れはこうだ。
まずはiTunesをインストールしているPCに、「Google Play Music Manager」をインストールする。iTunesの曲が置かれているフォルダを指定し、対象の曲またはプレイリストを指定してアップロードを行う。楽曲の数が多かったり、回線速度が遅かったりするとアップロードに一晩かかることがあるかもしれないので、まずは特定のプレイリストだけをアップロードして挙動を試すのも手だ。
また並行して、Google Homeアプリをインストールしているスマートフォンに、Google Play Musicアプリをインストールし、Google Homeアプリとひも付けておく。楽曲のアップロードが完了すれば、試しにGoogle Play Musicアプリ上で、アップロードした楽曲が再生できるかを試してみるとよい。
問題なく再生できれば、Google Homeで「ねえ Google、Play Musicで○○をかけて」とリクエストしてみよう。Google Play Musicにアップロードした曲が、Google Homeで再生できるはずだ。先にGoogle Play Musicアプリ上で楽曲の再生を開始し、そのキャスト先としてGoogle Homeを選ぶこともできる。
Google Play Musicのこの機能が登場した当時は、アップロードした曲の日本語タイトルが文字化けする問題があり、筆者はそれ以来放ったらかしだったのだが、今回あらためて楽曲を全削除のうえで再アップロードしたところ、文字化けもなく正常に表示された。以前同様のトラブルに遭った経験がある人も、再度試してみる価値はありそうだ。
なお、これから上記の手順を試す方におすすめしたいのは、iTunesに登録されているプレイリストの名称を、あらかじめ読み上げやすい名前に変更しておくことだ。というのも、Google Homeからプレイリストを指定して再生する場合、それが声で読み上げにくい名称だと、なかなか認識されないからだ。
例えば筆者の場合、過去のある時期にヘビーローテーションしていた曲を集めたプレイリストに「1990-91」や「2012」など、西暦をもとにした名前を付けている。しかし、この「1990-91」といった名前はGoogle Homeではうまく認識してくれず、「2012」だと曲名やアルバム名に「2012」というワードを含むものを優先的に再生してしまう。
プレイリストの名前の変更はGoogle Play Music上でももちろん行えるのだが、そうするとiTunesのプレイリストと異なる名前になり、自動同期がおかしくなる可能性がある。なるべくアップロードよりも前、iTunesの段階で、認識されやすく、かつ曲名やアルバム名、アーティスト名とかぶらないユニークな名前にプレイリストを変更しておいた方が、将来的にも快適に使えるはずだ。
つづく。
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