“紙の絵本×iPhone”で、新たなエンタメ体験を――「PhoneBook」の世界観

» 2010年02月19日 10時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 端末販売ランキング上位の常連となっているiPhone。1年前にはApp Storeの登録数が1万5000タイトルほどだったiPhoneアプリは今や16万を数え、日々、幅広いジャンルの新タイトルが続々と登場している。

 こうした中、iPhoneで“新たなエンターテインメント体験”を提供しようという動きも活発化している。アップルストア銀座で開催されたiPhoneアプリ紹介イベント「I Love iPhone × Application Marketing vol.1」には、「PhoneBook」「iButterfly」という2本のユニークなiPhoneアプリが登場した。

 両アプリを手がけたのは、モバイルを通じた新たな価値作りへの挑戦を目的に、電通とロボットが設立したモバイル表現研究所。同研究所はこれまでにも、2台のケータイを並べると1つの動画が表示される「ペアムービー」や、2台の携帯電話の待ち受け画面がずっとシンクロし続ける「HANBUNKO」など、“モバイルならでは”の表現手法を追求した作品を発表している。

iPhone×アナログの可能性を追求――「PhoneBook」

 「“iPhone×アナログ”を、もう一回、考えてみよう」――。iPhoneと紙の本を融合させた「PhoneBook」が生まれたきっかけを、モバイル表現研究所のコミュニケーション・デザイナー、岸勇希氏はこう振り返る。“iPhoneだけではできないこと”に向き合う中で生まれたのがPhoneBookだった。

 PhoneBookは、紙の絵本にiPhoneをセットしてアプリを起動し、絵本のページをめくって読み進める新感覚の絵本。絵本の中央にはiPhoneのアプリ画面が表示され、絵とアプリがシンクロしながらストーリーが進行する。紙の手触りやページをめくる操作といったアナログ感覚と、iPhoneの持つタッチパネルや加速度センサーなどの技術を駆使したアプリを融合させることで、新たな体験を提供しようという試みだ。

Photo 絵本にiPhoneをセットしてアプリを起動

Photo 紙の絵本とiPhoneを融合。ページをめくる“紙ならでは”の操作と、タッチ操作や傾き検知を生かした“iPhoneならでは”の操作が違和感なく組み合わされている

 “デジタルを使って親子の時間をどうつくるか”を考える上で重視したのは、ページをめくる感覚や親の膝の上で本を開くという体験。PhoneBookで目指すのは「お父さんが家に帰って子供にiPhoneを差し出し、子供はお父さんに絵本を差し出して、2人で一緒に親子の時間を作る」(岸氏)という世界観だ。

 モバイル表現研究所のサイトで公開したPhoneBookの紹介ムービーは、1カ月で60万アクセスを記録し、世界20カ国から問い合わせが殺到。5月の中旬には講談社からPhoneBookがリリースされる予定で、講談社インターナショナルから米国版も同時に発売されるという。「アプリという形ではなく、“本という体裁”をとるだけでいろいろな可能性が広がることを、手応えとして感じている」(岸氏)

クーポン取得をゲーム感覚で――「iButterfly」

 面倒な携帯操作をエンターテインメントにしてしまったのが、クーポンやデジタルコンテンツを配信するiPhoneアプリの「iButterfly」。仮想現実空間に飛ぶクーポンやデジタルコンテンツを運ぶ蝶を、ユーザーがiPhoneを虫取り網のように振ってキャッチするというものだ。

 面倒なメニュー操作をすることなく、“iPhoneを振る”操作だけで、クーポンやデジタルコンテンツを入手できるのがポイント。場所ごとに異なる蝶を飛ばすなど、コレクター心を刺激する仕組みも用意した。現在、300羽ねほどの蝶が飛んでいるといい、“単語ちょう”や“背広ちょう”といった“だじゃれ系”の蝶も生息。雑誌「iPhone Magazine」の協力を得て、コンテンツへのURLがついた蝶も飛ばしはじめたという。「たくさんのアプリがあって選べない人も、偶然の出会いによって思いもしないアプリに出会えるかもしれない」(電通 コミュニケーション・デザイン・センター モバイルコミュニケーション開発部 コミュニケーション・プランナーの中野華奈氏)

Photo iButterflyの利用イメージ

Photo ケータイカメラ越しに蝶が出現(左)。端末を振って捕獲する(中)。おみくじちょうにはおみくじが仕込まれている(右)
Photo 採ったちょうはコレクションで確認可能(左)。生息地はマップ上で確認できる(右)

 生息地が限定される蝶も存在し、東海道五十三次の宿場町に飛んでいる“東海道五十三次ちょう”、ひこにゃんやノッポンなどゆるきゃらのお膝元で飛んでいる“ご当地キャラちょう”などは、その場所にいかないと捕獲できない。音楽を聴ける店を案内する“東京音楽MAPちょう”といった、付近の店を知るのに役立つ蝶も登場するなど、今後も新種が続々登場する予定だ。

 現状、iButterflyはiPhone 3GSのみの対応となっているが、近日中にiPhone 3G対応版を公開する予定。蝶の新種は、ヤマダ電機の割引クーポンを運ぶ蝶や、東京ガスの人気キャラ「ガス・パッ・チョ!」の蝶がおめみえするという。

Photo 蝶がクーポンやコンテンツを運ぶ。コレクターアイテム的な“生息地限定種”も

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