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» 2010年09月13日 18時28分 UPDATE

あいまいさ残るAppleの「App Store審査ガイドライン」

AppleがApp Storeのアプリ審査ガイドラインを公開し、開発者が満たすべき条件を示した。だが、あいまいな部分や恣意的なところは残っている。

[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米Appleが、「App Store Review Guidelines(App Store審査ガイドライン)」を公開した。問題は、これで特定のアプリが適切かどうかをめぐって定期的に起きる議論を抑えられるかどうかだ。

 このガイドラインは9月9日に公開され、その直後にGIZMODOなどのブログに掲載された。その内容は、次の「Plants vs. Zombies」や「Angry Birds」のようなヒットアプリを作りたい開発者が満たすべき条件を詳しく挙げたものとなっている。Appleのコーポレートコピーの特徴である友好的な言葉で書かれた導入部分では、アプリの承認基準となる「幅広いテーマ」を以下のように説明している。

 

当社には多くの子供のユーザーがおり、たくさんのアプリをダウンロードしている。ペアレンタルコントロールは、保護者が設定しなければ機能しない(多くの保護者は設定しない)。このため、われわれは子供のためにアプリを監視しているということを知っておいてほしい

 

アプリが却下された場合は、Review Board(審査会)に異議申し立てができる。マスコミにわれわれを悪く言っても、決してプラスにはならない

 

たった2〜3日で急ごしらえしたように見えるアプリの場合、あるいは初めて作ったアプリを友人に自慢するためにApp Storeに登録しようとしている場合は、却下を覚悟してほしい。真剣にアプリを作っている開発者はたくさんおり、彼らは自分たちの高品質のアプリがアマチュア作品に埋もれることを望んでいない

 このほかにも「テーマ」はあるが、意図的にあいまいにされているようだ。

 

アプリの内容や振る舞いが一線を越えたと判断した場合は却下する。「一線」とはどの線なのかというと、かつて最高裁判事が「見れば分かる」と言ったように、アプリ開発者も一線を越えれば自分でそれが分かると思う

 

App Storeには25万種を超えるアプリがある。もうこれ以上Fart(おならの音を出す)アプリは必要ない。役に立つ、あるいは持続的な娯楽を提供するアプリでなければ、承認されない可能性がある

 App Storeのガイドラインは「生きた文書」であり、「新しいアプリによって新たな疑問が生まれれば、その結果新しいルールが生まれることもある」と導入部は締めくくられている。

 Appleは、特定のユーザー層向けに「リアルな」暴力、武器、敵を売りにしたゲームやロシアンルーレットを却下する権利を留保しているようだ。「主にユーザーを怒らせたり、不快にさせたりするために作られた」アプリや、「あまりに好ましくない、あるいは下品な内容」のアプリは却下されるという。アダルトコンテンツも禁止対象だ。

 予想されたことではあるが、App Storeの拡大――調査会社IDCの予想では、2010年末にはアプリ数は30万種に達する見込み――に伴い、一部のアプリをめぐっては議論が起きている。例えば2月には、サードパーティーのアダルト向けアプリが複数App Storeから削除された。その際にある開発者が受け取った「iPhoneアプリ審査」という署名入りの電子メールには、この開発者のアプリは「当初は配信してもいいと考えていたコンテンツを含んでいたが、最近顧客からこの種のコンテンツについて多数の苦情があった」と書かれていたという。

 2月22日付のNew York Timesの記事では、Appleのワールドワイドプロダクトマーケティング責任者フィリップ・シラー氏が、複数の団体から一部のコンテンツに「あまりに下品でいかがわしい」という苦情があり、これらのアプリをApp Storeから削除することにしたと認めた。Appleは特定のアプリを削除することは正当な行為だと、iPhone SDKの条項を引き合いに出して主張している。その条項には「アプリケーションには、わいせつ、ポルノ、不快感を催す内容、あるいは中傷するような内容を含んではならない」とある。

 一部の開発者は反対の声を上げ、Appleのポリシーや承認基準の一貫性に疑問を呈している。Appleに対して、一部アプリの承認決定について、もっと透明性のある説明をするよう公然と要求している開発者もいる。削除されたアプリと似たような内容なのに、Sports Illustratedなどの大手企業のアプリはApp Storeに残っているという事実も、開発者たちを仰天させている

 さらにAppleは決定を撤回することもあるため、さらに基準が不透明になっている。同社は4月にピュリッツァー賞を受賞した漫画家の政治風刺アプリを削除したが、抗議を受けてApp Storeに戻した。

 Appleのライバルは、App Storeをめぐる議論をあからさまに当てこすっている。「われわれは透明性と一貫性のあるポリシーで、開発者に対し、彼らにふさわしい尊敬を払っている」とMicrosoftのWindows Phone 7開発者担当ディレクター、ブランドン・ワトソン氏は6月7日のThe Windows Blogで述べている。「このポリシーは開発者がクリエイティブな販売・マーケティングモデルを模索するのに必要な情報や柔軟性を与えている」

 Microsoftは夏の間に、Windows Phone for Developers Websiteに同社のポリシーの完全なリストを掲載した。同社のポリシーはAppleのガイドラインと似ており、暴力的なコンテンツやわいせつなコンテンツは禁止される。

 いずれにしても、Appleはアプリ承認プロセスの形を整えるための策を取っているようだ――たとえ、同社の「ルール」の多くが依然として恣意的なものだとしても。ガイドラインの最後には、「iOSアプリを開発してくれて感謝する。この文書では、開発者がやってはいけないことを物々しく並べてはいるが、やらなければいけないことはもっと少ないことも覚えておいてほしい」と書かれている。

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