サンクスカードで「コミュニケーション」を見える化する「現場の情報」を見える化する

小さなことをたくさん褒められると、人はやる気が出ます。そこで「武蔵野」では、小さなことをたくさん褒めるしくみとして、「サンクスカード」を取り入れました。

» 2010年04月20日 19時16分 公開
[小山昇,Business Media 誠]
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 長引く不況の中、自社の経営に悩みを抱えている中小企業の経営者が多いのではないでしょうか。そんな中、経営の内部を社員に公開し、徹底的な透明化(=見える化)を継続することで、社員のモチベーションを高め、増収増益を達成した会社があります。それが経営サポート事業などを行なう武蔵野――。

 とはいえ仕事の見える化は言うほど簡単ではありません。誠 Biz.IDの読者にも悩んでいる人が多いはず。そんな読者に「中小企業のカリスマ」と呼ばれる同社の小山昇社長が「現場の見える化」の方法を伝授します。


この連載は書籍『経営の見える化』から抜粋、編集したものです


小さなことをたくさん褒められると、人はやる気が出る

 大きな契約を取ってきたり、大きな手柄を立てるのは、せいぜい1年に1、2回でしょう。そうなると社員は、1年に1、2回しか褒められないことになります。けれど人間は、「小さなことをたくさん褒められる」ほうがやる気になるものです。そこで武蔵野では、小さなことをたくさん褒めるしくみとして、「サンクスカード」を取り入れました。

 「サンクスカード」は、「○○くん、忙しいときに手伝ってくれてありがとう」、「○○さん、成果を上げてくれてありがとう」と、感謝の気持ちを伝えるツールです。感謝の気持ちをメールで伝えるのもいい。けれど、心(=感情)は、手間をかけないと通じないものだと私は思います。だから「手書きのカード」を送るわけです。

 とはいえ、「サンクスカードを書こう」と提案したところで、社員はなかなか書こうとしません。人は誰しも、面倒なことはしたがりません。そこでは、私はこう決めました。

 「月に5枚以上書くと、500円もらえる」

 お金でつったのか? そうです。しかも、それだけではありません。

 「一般社員は月10枚、管理職は月20枚以上出さなければ罰金5000円」と決めました。ちなみに私は、サンクスカードをハガキに貼って、社員の元に郵送しています。その数、年間で約3600枚。社長から届いたサンクスカードを経営計画書に挟む、持ち歩く社員もいます。嬉しいじゃないですか。

心にもないことを書いてもいい。動機が不純でもかまわない

 たとえ「罰金を取られたくないから」という不純な気持ちで「サンクスカード」を書いたとしても、まったく問題ありません。送るほうは「罰金を払いたくないからキミにサンクスカードを書いたんだ」なんてネタばらしをするわけはありませんから、もらったほうは素直に喜べるはずです。

 さらに、「サンクスカード」を定期的に集計し、「誰が何枚あげて、誰が何枚もらったか」を見える化しています。毎月の集計は「半期で送った枚数の一番少なかった社員が次の半期の集計担当をする」と経営計画書に規定。そして年に一度、「1年間でもっとも多くサンクスカードを書いた人」と「1年間でもっとも多くサンクスカードをもらった人」を表彰しています。

 大切なのは、動機は不純でもいいから、「ありがとう」の気持ちを相手に伝えること。「褒める、褒められる」の関係が、社内のコミュニケーションを円滑にします。

「ありがとう」の気持ちを見える化する

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著者紹介 小山昇(こやま・のぼる)

 株式会社武蔵野の代表取締役社長。その経営手法には定評があり、2000年に日本IBMと並んで、日本経営品質賞を受賞した。「中小企業のカリスマ社長」と呼ばれ、現在は全国300社以上の中小企業に経営のサポートを行っている。



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